家庭の録画環境をガラリと変えるレコーダーテレビ。とにかくカンタンにテレビ番組が録画できるので、これまでVHSビデオの操作も難しいと感じていた人でもテレビのタイムシフト視聴の恩恵を受けられる。BDレコーダーなどを当たり前のように使いこなすPhile-web読者にとっては、一体型レコーダーテレビの魅力はさほど大きくはないかもしれないが、例えば日ごろAV機器に触ろうともしない家族がテレビ録画をするようになるとしたら、その手軽さは家族にとって重宝することもあるはずだ。家庭内にレコーダー以外の録画機が増えることによるメリットもある。
今回はHDD搭載の東芝“REGZA ZH8000”シリーズ、日立“Wooo UT XP800”シリーズ、パナソニック“VIERA R”シリーズ、そして三菱電機の“REAL BHR”シリーズのレコーダーテレビを取り上げて、それぞれの操作性を比較してみようと思う。
■リモコンの操作性
レコーダーテレビでまず見るべきポイントは「リモコンの操作性」だ。一般的なテレビと比べて、録画機能が増えるぶん多機能になるので、ボタン数は多くなるが、それでもなお初心者にも使いやすい設計になっているかを比較したい。
筆者が最も使いやすいと感じるのは東芝REGZA ZH8000シリーズのリモコンだ。ボタン数を極端に減らすわけではなく、日ごろ使うボタンを適所に配置し、使用頻度の低いボタンを厳選してフタの中に入れている。30秒程度スキップできる「スキップ」と、「スキップバック」操作が可能なので、見飛ばしも楽だ。
次に使いやすいと感じるのはパナソニックのVIERA Rシリーズのリモコンだ。番組表、録画番組一覧がわかりやすい場所にあり、操作しやすい。再生に欠かせない「30秒スキップ」と「15秒スキップバック」操作ボタンがないのが不便に感じる。ただし録画した番組はCMと本編の間にチャプターが入力されるので、チャプタースキップボタンを使うことでCMをカンタンに見飛ばせた。
日立Wooo UTシリーズのリモコンは、機能に不足はないのだが、ボタンが密集して配置されているので、若干使いづらく感じた。操作には少し慣れが必要だろう。
三菱電機のREAL BHRシリーズのリモコンは使いづらいと感じた。
前回のレビューで、三菱電機のLCD-37BHR300を紹介した際に「弱点がある」と書いたが、それはこのリモコンの操作性だ。同じく
先のレビューで取り上げた三菱のREALブルーレイ「DVR-BZ130」のテストでも指摘したが、リモコンを簡略化しすぎるあまり、肝心の操作性が犠牲になっているように筆者は感じている。詳細はBDレコーダーの記事を参照していただきたいが、フタの開け閉めがかなりストレスに感じるはずだ。目につく部分のボタン数を減らすのは一案だと思うが、その割りに、操作の基本になる「メニュー」「CS」ボタンがフタの内側になっていている。
レコーダーテレビの操作で気になるのが、内蔵HDDへ録画した番組の再生中にテレビ画面に戻る際の手順だ。これが直感的に操作できないと、AV機器の操作が苦手なユーザーから「テレビが映らない」と苦情が出ることにもつながる。
筆者は「テレビのチャンネル切り替え」で、テレビに復帰できる操作が理想だと思っている。この方法なら録画番組も「テレビ放送の1つ」と認識しやすく、放送中の番組とシームレスで切り替えができる。チャンネル切り替えでテレビ画面に復帰できるのは東芝のREGZA、三菱電機のREAL BHRシリーズ、パナソニックのVIERAシリーズだ。日立のWoooは停止ボタンでHDDの録画番組を終了し、テレビ画面に復帰する。ちなみに、REGZA、REAL BHR、VIERAも停止ボタンを押せばテレビ表示に切り替わる。
■時短視聴の機能
録画番組の時短視聴でレコーダーテレビを比較すると、それぞれに違いが出てくる。一番優れているのはCMカット再生機能を備えているREAL BHRシリーズだ。CMカットだけでなく、スポーツ番組の見どころだけをハイライト再生できたり、音楽番組で楽曲だけを連続再生できる。便利な機能なので録画番組が増えても、効率よく視聴ができる。
VIERAシリーズとWoooシリーズは同点だ。どちらの機種も本編とCMの間に自動でチャプターを入力するので、スキップボタンを押すことで本編を効率よく楽しめる。一方で時短視聴に弱いのは東芝のREGZAだ。自動チャプター入力機能がないので、スキップボタンを押しながらの再生になってしまう。
■2番組同時録画
今回紹介した中では東芝のREGZAシリーズ「47ZH8000」と三菱電機「LCD-37BHR300」がデジタル放送の2番組同時録画に対応している。最近のBDレコーダーならば大抵の機種がダブルチューナーを搭載しており、同時刻に重なってしまった2つの番組を録画できて便利なのだが、レコーダーテレビだとそうでもない。
というのも2番組同時録画中はテレビのチャンネル切替えが、録画中の2局だけになるので、使い勝手が極端に悪くなる。2番組同時録画中に、予約した人が不在にしていて、家族の他の人がテレビを操作すると「見たい番組が見られない!」と、怒られることになる。筆者は現在、47ZH8000を使っているが、家族に怒られるのが怖いので、よっぽどのことがない限り2番組同時録画は使わないようにしている。
とはいえ、どうしても録画したい番組が重なることは多いので、いまさら同時録画非対応のモデルに戻る気はしない。これからのレコーダーテレビは2番組同時録画中でも、チャンネル切り替えが可能なトリプルチューナー機が必要だ。
レコーダーテレビはどの機種も「単体テレビ+単体レコーダー」よりも操作は簡単だ。しかし、機種ごとの操作性を精査すると違いが見えてくる。もしAV機器の操作が苦手な家族・友人にオススメするなら、少しでも使いやすい製品を選びたい。今回紹介した中で、筆者が期待しているのは、リモコンの操作性にこそ課題を感じたが、BD保存、時短再生機能を評価して、三菱のREAL BHRシリーズ「LCD-37BHR300」だ。もちろん東芝REGZAシリーズ「47ZH8000」、パナソニックVIERA「TH-P42R1」、日立Wooo「UT47-XP800」にもそれぞれの魅力があり、これからテレビを選ぶなら絶対に“HDD搭載”のレコーダーテレビを選択肢に加えるべきだと筆者は訴えたいと思う。ぜひショップなどでレコーダーテレビの違いを比較体験してみてほしい。
(レポート/鈴木桂水)