ワイヤレスやネットオーディオが今後のカギに
<IFA>山之内 正が見た「IFA 2012」のオーディオトレンド
■最も優れた音を聴かせていたソニーブース
2012年のIFA会場で最も優れた音を聴かせているのは、意外かもしれないが、ソニーのブースである。4KテレビやVAIOの派手な展示に目を引かれて気付かない来場者も多いようだが、今年のソニーは2つの4Kシアタールームとハイエンドオーディオの本格的な試聴室をブース内に設営し、注目すべきデモンストレーションを行なっている。
前者ではラトル指揮ベルリンフィルが演奏したワーグナー《ワルキューレの騎行》を4K映像とDSD収録のマルチチャンネル音源を組み合わて再生し、映像と音の両方で圧倒的なスケール感を再現。スピーカーはSS-AR1、プロジェクターはVPL-VW1000ESという最上位モデルの組み合わせだ。
一方、BRAVIAの4Kシアターでは欧州で今秋発売予定のSTR-DA5800ESでNAシリーズのスピーカーを駆動し、BDの4Kアップコンバート映像に見合う高解像度なサラウンド音声を再生。さらにピュアオーディオの試聴室ではSS-AR1をセッティングし、綾香のボーカルなど、ドイツの音楽ファンにはなじみのない音源をあえて再生して注目を集めていた。
この3つの試聴室は広大なソニーブースのなかに作られているのだが、周囲の大音響が信じられないほどの静かな試聴環境を実現していることが印象的だ。ARシリーズのスピーカーは北米に続いて欧州のハイエンドオーディオ市場にも今年から導入が始まっており、設計者の加来氏によれば、メディアや評論家などから高い評価を獲得しつつあるという。
この3つのデモンストレーションに共通するテーマは「感動」である。プレスカンファレンスで平井氏が訴えていた「感動体験」の重要性を、最高品位の映像と音で伝えることが狙いだ。
(山之内 正)
関連リンク