正式発表前の注目機の開発背景を聞く
マランツが開発中の新ネットワークプレーヤー「NA8005」を聴いた!
■新開発「デジタル・アイソレーションシステム」で高周波ノイズを除去
スペック面で各段の進化を遂げたNA8005だが、音質面でも進化を遂げた。NA7004登場後の2013年、マランツは「NA-11S1」という最上位のUSB-DAC/ネットワークプレーヤーを世に送り出した。さらには、先行してNA8005と同じクラスの新世代SACDプレーヤーも登場した。NA8005には、それらのモデルで培われた技術要素が盛り込まれた。
音質面での最大のポイントは、新開発の「デジタル・アイソレーションシステム」だ。澤田氏も、このアイソレーションには特に力を入れたと語る。NA-11S1、SA-14S1、そしてSA8005で磨かれたノイズ・アイソレーションのノウハウが、本機に投入されているのである。
ハイエンドモデル「NA-11S1」では、“コンプリートアイソレーションシステム”が採用された。USB-B入力に対して16回路のデジタルアイソレーターを搭載し、さらにPCとの接続時にはUSB-B入力基板のグラウンドもメイン基板およびシャーシから完全に分離するという、最上位機ならではの徹底的なノイズ回避が行われた。その結果、圧倒的なS/Nを実現し、本機のUSB-DACの音質が高い評価を得たことは周知のことだろう。
しかし、“8000”型番のNA8005においては、コスト面などから同等のノイズ対策は難しい。また、NA-11S1ではUSB-B端子に絞ってこのノイズ対策が施されたが、「PC入力だけ特別扱いなのか」という声もあったという。
そこでNA8005は、D/Aコンバーターの前段に6個12回路の高速アイソレーターを配置する新開発の「デジタル・アイソレーションシステム」を採用。デコーダーIC周辺にはチップコンデンサーを配置してデカップリングも行った。NA-11S1のようにUSB-B入力の入口ではなく、DAC部の前段でノイズをシャットアウトするという方法を採ったのだ。結果、LAN、USB-B、USB-A、同軸/光デジタルの各入力からの信号が同じ条件でアイソレーターを通るので、それぞれに対して同等に高周波ノイズを除去することが可能になった。
なお、同じ8000番台のSACDプレーヤー「SA8005」では、13回路のアイソレーターを配置しているが、本機では12回路となっている。理由は、デジタル入力切り替えを行うDIR(デジタルオーディオ・インターフェース・レシーバー)部には、マスタークロックを送るのではなく、ローカルでクロックを配置したためとのこと。NA8005もSA8005と同様にマスタークロック思想に基づいており、基本的には各デジタル部でマスタークロックを共用している。しかし、ファイル再生に特化したNA8005では、場所によってはマスタークロックを引き回すより、近傍にローカルクロックを配置する方がより安定を得られるという結論に至ったという。
■「NA7004」の後継でも、「SA8005」のドライブレスモデルでもない
マスタークロックには、NA-11S1と同じ超低位相雑音クリスタルを採用。ジッターレベルをSA-7S1比で1/10に抑えた。また、様々なスペックのファイル再生に対応するため、本機も48kHz系、44.1kHz系と2個のクロックを搭載する。
アナログ回路や電源も強化された。アナログ回路は、マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM」および「HDAM-SA2」により、電流帰還型フィルターアンプ兼送り出しアンプを構成。電源はPC電源ノイズの回り込みを防ぐため、NA-11S1同様にフェライト・コアを採用してノイズをコントロールしている。トランスには、NA7004比で容量が2倍のケース入り大型IEコアトランスを採用。カスタムブロックコンデンサーはSA8005およびNA8005専用のものとなる。
DACチップは、数多くの同社製プレーヤーでも採用されているDSDダイレクトD/A変換対応の「CS4398」を搭載。これはNA7004やSA8005にも搭載されたDACだ(NA-11S1はTI製「DSD1792A」)。
1bit DSD信号のダイレクト変換に対応したシーラス・ロジック「CS4398」は、マランツのこれまでの多くのモデルに採用実績がある。このDACが内蔵するダイナミック・エレメント・マッチング回路により、信号出力の歪を大幅に低減しているという。
スペック面で各段の進化を遂げたNA8005だが、音質面でも進化を遂げた。NA7004登場後の2013年、マランツは「NA-11S1」という最上位のUSB-DAC/ネットワークプレーヤーを世に送り出した。さらには、先行してNA8005と同じクラスの新世代SACDプレーヤーも登場した。NA8005には、それらのモデルで培われた技術要素が盛り込まれた。
音質面での最大のポイントは、新開発の「デジタル・アイソレーションシステム」だ。澤田氏も、このアイソレーションには特に力を入れたと語る。NA-11S1、SA-14S1、そしてSA8005で磨かれたノイズ・アイソレーションのノウハウが、本機に投入されているのである。
ハイエンドモデル「NA-11S1」では、“コンプリートアイソレーションシステム”が採用された。USB-B入力に対して16回路のデジタルアイソレーターを搭載し、さらにPCとの接続時にはUSB-B入力基板のグラウンドもメイン基板およびシャーシから完全に分離するという、最上位機ならではの徹底的なノイズ回避が行われた。その結果、圧倒的なS/Nを実現し、本機のUSB-DACの音質が高い評価を得たことは周知のことだろう。
しかし、“8000”型番のNA8005においては、コスト面などから同等のノイズ対策は難しい。また、NA-11S1ではUSB-B端子に絞ってこのノイズ対策が施されたが、「PC入力だけ特別扱いなのか」という声もあったという。
そこでNA8005は、D/Aコンバーターの前段に6個12回路の高速アイソレーターを配置する新開発の「デジタル・アイソレーションシステム」を採用。デコーダーIC周辺にはチップコンデンサーを配置してデカップリングも行った。NA-11S1のようにUSB-B入力の入口ではなく、DAC部の前段でノイズをシャットアウトするという方法を採ったのだ。結果、LAN、USB-B、USB-A、同軸/光デジタルの各入力からの信号が同じ条件でアイソレーターを通るので、それぞれに対して同等に高周波ノイズを除去することが可能になった。
なお、同じ8000番台のSACDプレーヤー「SA8005」では、13回路のアイソレーターを配置しているが、本機では12回路となっている。理由は、デジタル入力切り替えを行うDIR(デジタルオーディオ・インターフェース・レシーバー)部には、マスタークロックを送るのではなく、ローカルでクロックを配置したためとのこと。NA8005もSA8005と同様にマスタークロック思想に基づいており、基本的には各デジタル部でマスタークロックを共用している。しかし、ファイル再生に特化したNA8005では、場所によってはマスタークロックを引き回すより、近傍にローカルクロックを配置する方がより安定を得られるという結論に至ったという。
■「NA7004」の後継でも、「SA8005」のドライブレスモデルでもない
マスタークロックには、NA-11S1と同じ超低位相雑音クリスタルを採用。ジッターレベルをSA-7S1比で1/10に抑えた。また、様々なスペックのファイル再生に対応するため、本機も48kHz系、44.1kHz系と2個のクロックを搭載する。
アナログ回路や電源も強化された。アナログ回路は、マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM」および「HDAM-SA2」により、電流帰還型フィルターアンプ兼送り出しアンプを構成。電源はPC電源ノイズの回り込みを防ぐため、NA-11S1同様にフェライト・コアを採用してノイズをコントロールしている。トランスには、NA7004比で容量が2倍のケース入り大型IEコアトランスを採用。カスタムブロックコンデンサーはSA8005およびNA8005専用のものとなる。
DACチップは、数多くの同社製プレーヤーでも採用されているDSDダイレクトD/A変換対応の「CS4398」を搭載。これはNA7004やSA8005にも搭載されたDACだ(NA-11S1はTI製「DSD1792A」)。
1bit DSD信号のダイレクト変換に対応したシーラス・ロジック「CS4398」は、マランツのこれまでの多くのモデルに採用実績がある。このDACが内蔵するダイナミック・エレメント・マッチング回路により、信号出力の歪を大幅に低減しているという。
関連リンク