【ポタ研】AudioQuest初のヘッドホン「NightHawk」正式発表 - 価格は約8万円 - PHILE WEB
AudioQuest製バランス駆動ケーブルも発売を予定

【ポタ研】AudioQuest初のヘッドホン「NightHawk」正式発表 - 価格は約8万円

公開日 2015/02/14 16:19 編集部 小澤貴信
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中野サンプラザで本日開催されているポータブルオーディオのイベント「ポタ研」にて、ディーアンドエムホールディングスは、AudioQuestのヘッドホン「NightHawk」(関連ニュース)を正式発表した。発売は3月下旬頃を予定しており、価格はオープンだが8万円前後での実売が予想される。

「NightHawk」¥OPEN(市場想定価格8万円前後)

本機は昨年12月に発売がアナウンスされ、今年1月にラスベガスで開催されたCES 2015にて発表および実機公開が行われた。今回、日本国内での発売が正式発表されたかたちだ。CES 2015におけるNightHawkの開発者であるスカイラー・グレイ氏へのインタビューはこちら

NightHawkの開発者であるスカイラー・グレイ氏。こちらはCES 2015での一枚

今回の発表会では、出荷直前における生産管理の現場指揮で多忙を極めているというスカイラー・グレイ氏に代わって、AudioQuestのアジア・パシフィック担当であるショーン・シェッツ氏が登場。NightHawkについて詳細な説明を行った。

AudioQuest アジア・パシフィック担当のショーン・シェッツ氏

ディーアンドエムホールディングスの小菅幸一氏

NightHawkはセミオープン方式のオーバーヘッド型ヘッドホン。1.2テスラのスリット・ギャップ磁気回路を用いた50mmドライバーを搭載し、インピーダンスは25Ω、能率は100dBSPL/mW。両出しタイプの着脱可能なケーブルを採用しており、入力側は3.5mステレオミニ端子、ヘッドホン側はデュアルの2.5mm端子を採用する。ケーブル長は2.4m。ヘッドホン本体の質量は346g。

イヤーカップの素材には、ヘッドホンはもとより大量生産される工業製品での採用例も希な「リキッドウッド」を採用する。熱を加えて液化させることで、木材ながら金型を用いた成型を行うことができるリキッドウッドは。一般的なプラスチックや木材よりも音響特性に優れ、加えて様々な幾何学形態を作ることができるのが特徴となる。

リキッドウッドによるイヤーカップ

内側には補強梁が施されている

また、イヤーカップの外枠には、スピーカーキャビネットの内部補強と同様の発想で、支持梁を組み込む構造を採用して不要振動を抑制。繊維素材ながらこうした加工が可能なのは、液化して成形できるリキッドウッドならではだ。さらに不要な振動を減らすため、イヤーカップの内部にはエラストマー・コーティングを施し、さらにウールとポリエステルを混合したダンピング材を配置している

ウールとポリエステルを混合したダンピング材がイヤーカップ内に配置された

ハウジングやヘッドバンドは人間工学を用いてデザイン。ヘッドバンドはヘッドホン本体の質量を頭部にストレスなく分配するように設計されている。ハウジングは特許取得中のサスペンション技術を用いて支持されており四方に可動できるので、頭部に適切にフィットさせることができる。

ハウジング部を4つのサスペンションで支持する独自技術を採用

イヤーパッドには合皮ながら自然皮と同様の成分をもつプロテインレザーを採用。パッドは人間の耳の形状に合わせて奥に行くほど厚くなっており、さらにハウジングおよびドライバーの角度も耳の形状に合わせて傾斜が付けられているため、装着感と共に正確な音像再現も可能になる。

ドライバーには「50mm ハイエクスカーションドライバー」を搭載。バイオセルロース素材を用いたピストン式振動板を採用し、振動板のエッジ部にはゴムを使用している。バイオセルロース素材は硬く減衰が自然なため、一般的なヘッドホンで採用されるマイラー樹脂よりも正確な再現が可能になるという。

ドライバーとそれを保持する“バスケット”

裏側から見たところ。バスケットは背圧による気流を最適化する設計となっている

磁気回路にはマグネットに切り込みを入れることで安定した振動板駆動を実現させたスプリット・ギャップ磁気回路を採用。相互変調歪みを大きく減らすことに成功し、広帯域再生、時間軸領域の高い解像感を実現した。さらにドライバー周囲の空気の流れが対称に分配されるように、ドライバーユニットを支持する“バスケット”も綿密な計算に基づいて設計。気流が乱れたり、ボイスコイルが不要に振動することを防いでいる。

ドライバーには独自のスリット・ギャップ磁気回路を搭載

グリル部には光を拡散することで様々な色に輝くダイヤモンド立方体の格子細工を採用。SLS法(レーザー焼結法)を利用した3Dプリントによって形成したこの格子細工でサウンドを拡散することで、音の歪みや共振も解消する。

ディフューザーは3Dプリントだからこそ可能な特殊形状を用いている

ヘッドホンケーブルには、AudioQuestのスピーカーケーブル「Castle Rock」の技術要素を応用。導体には高純度の単線PSC+(Perfect-Surface Copper+)導体を用い、発泡ポリエチレン絶縁体、カーボンベースのNDS(Noise-Dissipation System)なども採用する。プラグ部には、Red Copperとベリリウム銅をベースにした金属に肉厚ダイレクトシルバーコーティングを施している。加えて、ヘッドホン内部の配線についても、一般的な加工しやすい線材ではなく、前述のPSC+が用いられていることも紹介された。

ヘッドホン側は2.5mmプラグ×2、プレーヤー側は3.5mmステレオミニプラグを採用

ハウジング内の端子からドライバーに至るまでの線材にもPSC+を用いている

また、ステレオ標準変換プラグも自社で開発。Red Copperをベースに直接シルバーコーティングを施すなど、音質にこだわったという。なお、NightHawk専用のバランスケーブルの発売も予定しているとのことで、おそらく限定発売になるとのことだった。

ステレオ標準変換プラグも独自開発

大型のキャリングケースが付属する

なお、発表会の詳細については追ってレポートする。

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