【広州AVフェア2015レポート】“量から質の時代”へと進化する中国のオーディオブランド
2015年11月27日(金)から29日(日)までの3日間、中国・広州市にて「広州オーディオフェア2015」が開催された。オーディオ編集部は今年も取材に伺う機会を得ることができたのでレポートをお届けしたい。
来場者数も出展社数も昨年をはるかに上回る
ショウは昨年と同じく、広州市の中心部にある東方賓館(ドンファン・ホテル)で開催された。ただし、昨年までとは展示ブースのレイアウトが大きく変更され、ホテル内で複数に点在していた会場が1カ所にまとめられたことで、来場者はより閲覧しやすくなった。
出展メーカーの数は昨年比で20%増加。来場者も大幅に増え、60元(約1,200円)の入場料をとるにもかかわらず、3日間で実に3万5,000人以上が来場した。
開催初日の金曜日は多くの(おそらく中国国内の)オーディオ関連の関係者でごった返し、この時点でも身動きが取れない状態のなか、土曜日からは一般客が押し寄せてきた。いまの日本のオーディオショウでは決して見ることのできない光景がそこにはあった。
ヘッドホンアンプやハイレゾ関連製品が人気
そんな中で、ショウ自体はやはり中国国内のメーカーの出展が多くを占めていたが、今年特に感じたのは、中国のブランドの製品も“物量より質の時代"に入ってきたという点だ。「年末の景気がよくない」「物価や賃金が上昇している」「ネット通販の人気で価格競争が起きている」……ショウを回っていても、中国の親しいメーカーの方々からはこのような声をよく聞いた。
このような状況がかえって、中国ブランドのトータルでの工業製品としてのクオリティを高めてきているのでは、と感じた。これらの流れの中心になっているのは、やはり新しいジャンルの製品である。特にDAC内蔵ヘッドホンアンプをはじめとしたネットオーディオ関連の製品で顕著に表れており、若者を中心に多くのオーディオファンが集まっていた。
ショウの会場で圧倒的多数を占めるのはまだまだ真空管アンプブランドのブースではあるものの、伝統的な同ジャンルの製品とて、精度やデザイン、音質的に洗練されたブランドが生き残っていくことになるだろう。それを証拠に日本をはじめ、欧米のオーディオファンからも高い評価を得ているオーディオスペースのブースは多くの来場者を集め、今後日本で発売されるラインアップにも期待が高まっている。
それからもう1ブランド、携帯ラジオのメーカーとして世界中で名をはせているTECSUNにも注目したい。ハイレゾ対応のUSB-DACや、DSDまで対応したポータブルプレーヤ―を次々に登場させるなど、その開発力の高さには目を見張るものがある。
日本メーカーが絶大な人気。中国にもアナログブーム到来
世界的に再ブームを迎えているアナログ再生についても、非常に関心が高く、アナログプレーヤーやトーンアーム、カートリッジまで製造する中国メーカーが年々増えてきている。ただしこの分野は技術的にも、製品の完成度からしてみても、もう少し経験が必要かもしれない。今後の新たなメーカーの参入にも期待したい。
レコード再生関連はやはり欧米、そして日本メーカーの人気が高い。香港の代理店が構えた広大なブースでは、日本を代表するアナログブランドのひとつであるテクダスが「エアフォース」シリーズを携え、光電型カートリッジのDSオーディオとのコラボにより、大規模な試聴イベントを実施。さながらコンサート会場のような熱気で多くの来場者が集まっていた。
パッケージメディアが根強い人気
音楽ソフトに関してはあいかわらずパッケージメディアが根強い。中国のレコード会社は各社ともに、CDは日本のメモリーテックが手がけるHQCDを採用するレーベルが多く見られたり、LPのリリースも増えてきている。
そんな状況でやはりひと際人気なのが、日本でもお馴染み、ABCレコードのブースである。展示規模も来場者数も、会場での売上げも他のレーベルの追従を許さない。それもそのはずで、中国国内の音楽だけでなく、欧米の古き良き時代のジャズ、クラシックを中心とした幅広いジャンル展開ができているのは同社だけであり、しかも最近ではマスターテープから1:1でCD-Rにダイレクト録音したAADシリーズが人気。高価な盤であるにもかかわらず、会場でも飛ぶように売れていた。今後はカセットテープでの販売(!?)や、WAV等でのハイレゾ・データを記録したDVD‐R盤にも興味を示していた。今後の展開も楽しみにしたい。
それでは次ページからは、写真にてショウの様子をご紹介していこう。
来場者数も出展社数も昨年をはるかに上回る
ショウは昨年と同じく、広州市の中心部にある東方賓館(ドンファン・ホテル)で開催された。ただし、昨年までとは展示ブースのレイアウトが大きく変更され、ホテル内で複数に点在していた会場が1カ所にまとめられたことで、来場者はより閲覧しやすくなった。
出展メーカーの数は昨年比で20%増加。来場者も大幅に増え、60元(約1,200円)の入場料をとるにもかかわらず、3日間で実に3万5,000人以上が来場した。
開催初日の金曜日は多くの(おそらく中国国内の)オーディオ関連の関係者でごった返し、この時点でも身動きが取れない状態のなか、土曜日からは一般客が押し寄せてきた。いまの日本のオーディオショウでは決して見ることのできない光景がそこにはあった。
ヘッドホンアンプやハイレゾ関連製品が人気
そんな中で、ショウ自体はやはり中国国内のメーカーの出展が多くを占めていたが、今年特に感じたのは、中国のブランドの製品も“物量より質の時代"に入ってきたという点だ。「年末の景気がよくない」「物価や賃金が上昇している」「ネット通販の人気で価格競争が起きている」……ショウを回っていても、中国の親しいメーカーの方々からはこのような声をよく聞いた。
このような状況がかえって、中国ブランドのトータルでの工業製品としてのクオリティを高めてきているのでは、と感じた。これらの流れの中心になっているのは、やはり新しいジャンルの製品である。特にDAC内蔵ヘッドホンアンプをはじめとしたネットオーディオ関連の製品で顕著に表れており、若者を中心に多くのオーディオファンが集まっていた。
ショウの会場で圧倒的多数を占めるのはまだまだ真空管アンプブランドのブースではあるものの、伝統的な同ジャンルの製品とて、精度やデザイン、音質的に洗練されたブランドが生き残っていくことになるだろう。それを証拠に日本をはじめ、欧米のオーディオファンからも高い評価を得ているオーディオスペースのブースは多くの来場者を集め、今後日本で発売されるラインアップにも期待が高まっている。
それからもう1ブランド、携帯ラジオのメーカーとして世界中で名をはせているTECSUNにも注目したい。ハイレゾ対応のUSB-DACや、DSDまで対応したポータブルプレーヤ―を次々に登場させるなど、その開発力の高さには目を見張るものがある。
日本メーカーが絶大な人気。中国にもアナログブーム到来
世界的に再ブームを迎えているアナログ再生についても、非常に関心が高く、アナログプレーヤーやトーンアーム、カートリッジまで製造する中国メーカーが年々増えてきている。ただしこの分野は技術的にも、製品の完成度からしてみても、もう少し経験が必要かもしれない。今後の新たなメーカーの参入にも期待したい。
レコード再生関連はやはり欧米、そして日本メーカーの人気が高い。香港の代理店が構えた広大なブースでは、日本を代表するアナログブランドのひとつであるテクダスが「エアフォース」シリーズを携え、光電型カートリッジのDSオーディオとのコラボにより、大規模な試聴イベントを実施。さながらコンサート会場のような熱気で多くの来場者が集まっていた。
パッケージメディアが根強い人気
音楽ソフトに関してはあいかわらずパッケージメディアが根強い。中国のレコード会社は各社ともに、CDは日本のメモリーテックが手がけるHQCDを採用するレーベルが多く見られたり、LPのリリースも増えてきている。
そんな状況でやはりひと際人気なのが、日本でもお馴染み、ABCレコードのブースである。展示規模も来場者数も、会場での売上げも他のレーベルの追従を許さない。それもそのはずで、中国国内の音楽だけでなく、欧米の古き良き時代のジャズ、クラシックを中心とした幅広いジャンル展開ができているのは同社だけであり、しかも最近ではマスターテープから1:1でCD-Rにダイレクト録音したAADシリーズが人気。高価な盤であるにもかかわらず、会場でも飛ぶように売れていた。今後はカセットテープでの販売(!?)や、WAV等でのハイレゾ・データを記録したDVD‐R盤にも興味を示していた。今後の展開も楽しみにしたい。
それでは次ページからは、写真にてショウの様子をご紹介していこう。
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