理想の点音源再生を目指す
パイオニア、新スピーカー「S-PM50/30」。20年ぶりバーチカルツイン、10年ぶりピュアモルト材採用
■アラミド繊維振動板を採用したウーファーユニット
ウーファー部には、新開発のコーン型ウーファーユニットを2基搭載。アラミド繊維振動板を採用しており、入力信号に対する正確な低域再生を可能とすると共に、ワイドレンジドライバーとの音色のつながりの良いチューニングを施しているという。また、こちらもフレームは高強度のアルミダイキャスト製を採用し、共振対策としている。なお、ユニット直径はS-PM50が13cm、S-PM30が10cmとなる。
■時間軸特性をコントロールするウェイブガイド
上位モデルであるS-PM50には、ワイドレンジドライバーにアルミダイキャスト製のウェイブガイドを採用する。S-PM50では、ウーファーとの時間軸の特性をコントロールするために、ワイドレンジドライバーはバッフル面より少し奥に配置されている。その距離の分だけ振動板からの音の流れをスムーズにするための工夫が必要であり、それがウェイブガイドを装着したことにつながっている。これにより、さらにクリアな音質と豊かな音場感を再生できるとしている。
■ウイスキー樽材による高剛性筐体
キャビネットにはウイスキー樽材を使用。ウイスキー樽材は、通常のパーチクルボード(集成材)に比べて剛性は4倍、内部損失は2倍と高い特性を持っており、ウイスキーを熟成させる前と何十年も熟成させた後では、特性が違うという。板を叩いた時の響きを測定すると、熟成前は余分な響きが多く、かつ残ってしまうのに対し、熟成させた後ではその響きが取れることから、長い間に渡り使用され、廃材として処理される前の樽材を、サントリーから仕入れているとしている。
また、内部のワイドレンジドライバー背面には、同じくウイスキー樽材を使用したオリジナル形状(特許出願中)の チャンバーを採用。これにより定在波の低減を図っている。このチャンバーは特殊な形状のため加工が難しく、ほぼハンドメイドにより製作されているという。なお、ウイスキー樽材を使用した”ピュアモルトスピーカー”は1998年の「S-PM1000-LR」からスタートし、2006年の「S-PM300」から10年ぶり。
キャビネット背面のダクトは積層したピュアモルト材から削り出しており、不要な振動を抑え、正確な低音再生に寄与している。スピーカー端子には直出し金メッキタイプを採用。S-PM50はバイワイヤリング接続、S-PM30はシングルワイヤリング接続対応となる。
■専用に新規開発されたネットワーク回路
ネットワーク回路はS-PM50、S-PM30それぞれ専用に新開発された。高域用と低域用に、回路と基板を独立させることでクロストークの影響を受けないように配置。高域用には高品位フィルムコンデンサー、空芯チョークコイル、低域用にはケイ素鋼板コアチョークコイルなど厳選された高品位パーツを採用。これにより指向性と位相特性に優れたレスポンスを実現しているという。
■スピーカーに適したチューニングを施された専用スタンド
S-PM50のS/N感を活かすため、高密度木材を使用することで外部およびスピーカーからの振動伝達を最小化する専用スタンドCP-50も用意される。S-PM50とはネジ留めが可能で、スピーカーとの一体化による不要振動の抑制や、転倒防止対応が図られている。また、音質も専用にチューニングが行われているとしている。
■主な仕様
主な仕様は以下の通り。インピーダンスは4Ω、最大入力は150W。出力音圧レベルは84dB(S-PM50)、83dB(S-PM30)。再生周波数帯域は40Hz〜40kHz(S-PM50)、50Hz〜40kHz(S-PM30)。外形寸法は237W×435H×344Dmm(S-PM50)、190W×357H×277Dmm(S-PM30)、質量は13.0kg(S-PM50)、8.0kg(S-PM30)。