特別講演や学生の「音楽録音作品」表彰なども
アナログレコード製造の功労者を「音の匠」として顕彰。日本オーディオ協会「音の日」イベントレポート
一般社団法人日本オーディオ協会は、エジソンがフォノグラフを発明したという1877年12月6日にちなみ、1994年より12月6日を「音の日」と定めて毎年イベントを開催している。
今年2018年の同イベントでは、現在世界でわずか2社しか存在しない“ラッカー盤”(アナログレコード・マスター盤)製造会社であるパブリックレコード(株)の奥田憲一氏を始めとするアナログレコードに携わる人々を「音の匠」として表彰するなどの取り組みが行われた。
開会に先立ち同協会会長の小川理子氏は、「音の日は四半世紀にわたり色々な事業を展開してきましたが、今回は平成最後となるイベント。来年以降もどんどん音、音楽、オーディオを皆様で盛り上げ、業界の活動も社会も明るく元気にして参りたい」と挨拶した。
今回の「音の日」では、1.学生の「音楽録音作品」の表彰と受賞作品発表 2.音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として 顕彰する第23回「音の匠」顕彰式 3.音の日特別講演、4.日本オーディオ協会功労賞授賞式 の内容を展開した。順にレポートしていく。
1.力作が揃った、学生の「音楽録音作品」の表彰と受賞作品発表
音楽録音教育、オーディオ教育の啓発に取り組む日本オーディオ協会では毎年、学生の制作する音楽録音作品コンテストを開催、優秀作品の制作者を「音の日」に表彰している。同コンテスト開催5回目となる今年は、27作品が応募された。5つの優秀作品に対して制作に関わった5名を表彰、それぞれの作品が披露されるとともに審査員からの総評があった。
優秀企画賞「戸塚WINDSレコーディング」は、制作者の1人である岡澤朝輝さんの出身である神奈川県の戸塚高校吹奏楽部1~2年生110名の演奏を録音したもの。岡澤さんの所属する日本工学院専門学校の卒業制作として、持てる技術の追求にチャレンジし5.1chでの“一発録り”にチャレンジしたという。岡澤さん自身の吹奏楽経験による、スコアを活かしてのマイクセッティングの工夫など高い評価を獲得した。
優秀音楽作品賞「レイトショーの後に咲く花」は、中臺悠幸さんによる楽曲を横田創平さんが自室でレコーディングしたもの。ルームチューニングの重要性に気づき、卵パックを壁に貼った押し入れにこもってのボーカル録音など工夫を凝らしたという。モニターはヘッドホンでなくスピーカーを使用し、それがよい成果をもたらしたと実感している。緻密な音楽表現などが高く評価された。
優秀録音技術賞の「flying in future」は、加藤拓さんの作品。福岡のプログレッシブバンドの演奏をスタジオにて一発録りしたもの。スリリングなライブ感のある曲調を活かすよう演奏の質にこだわり、プレイヤーを疲れさせない心遣いで挑んだという。まとまりのいい音楽表現が高く評価された。
最優秀賞受賞の「for(art)est (アートフォレスト)」は、制作者の山下真澄さんが名古屋芸術大学の卒業制作として制作したもので、自然と人工物の融合をテーマに自ら楽曲をつくった。タイトルは“森の中に人工物(アート)がある”ことを表現したものだという。イメージを明確にしてヴァイオリン、ビオラ、チェロの奏者に演奏を依頼、自ら演奏したピアノを合わせた上に、シンセサイザーや生録での風の音や虫の声といった効果音を組み合わせ独特の空間をつくった。CMなどにすぐにも使用できそうだと絶賛された。
2. アナログレコード盤に関わる授賞、第23回「音の匠」顕彰式
つづいて、音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として 顕彰する第23回「音の匠」顕彰式が執り行なわれた。今年はアナログレコード盤に関連する「ラッカー盤」「レコードカッティング」「レコードプレス」「レコード再生針」に貢献した方々への授賞となった。
「音の日」委員会委員長の林和喜氏が、「近年アナログレコードやアナログプレーヤーが若者中心に注目され、オーディオ業界の復活につながっていること。また今年はLPレコード誕生70周年の節目にあたること」とその背景を説明した。
続いて林氏は、アナログレコードを取り巻く市況について説明。国内市場では、2001年の生産枚数は130万枚だったが、2009年には10万枚へと縮小。しかし2008年にアメリカにて始まったイベント「レコードストアデイ」をきっかけに、アナログレコードが再燃したと言われる。その後国内のアナログレコード生産は、2017年に106万枚となり前年比で133%。4年連続で数量も金額も右肩上がりの状態である。
アナログレコードのこのような人気について林氏は、「オーディオファンだけでなく、若い人を中心に魅力が認知されている。メディアや関連機器などによる音の違いを楽しむ、音楽を視覚で楽しめる、再生する手間を価値ある時間として楽しめる、といった要素がある。デジタル世代の若者に新しい体験をもたらしている」と指摘する。
日本オーディオ協会では、若い世代へオーディオ文化をさらに広げていきたい意向をもつ。アナログレコードのブームがこの方向に一致するとして、トレンドを歓迎し推奨する構え。
2018年は、1948年にコロンビアがLPレコードを開発してから70年、翌1949年にはRCAビクターがEPレコードを開発し、節目の年として、アナログレコードに関わり活躍する方々の顕彰にふさわしいとした。
<ラッカー盤分野の受賞者>
パブリックレコード株式会社 代表取締役 奥田憲一氏
金型に溝を転写する用途で、音を最初に溝として記録するディスクが「アナログレコード・マスター盤」=ラッカー盤。現在製造を手がけるのは世界中で2社、国内で1社。
<レコードカッティング分野の受賞者>
株式会社JVCケンウッドクリエイティブメディア 小鐵徹氏
株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズ 堀内寿哉氏
東洋化成株式会社 手塚和巳氏
東洋化成株式会社 西谷俊介氏
日本コロムビア株式会社 武沢茂氏
株式会社ミキサーズラボ 北村勝敏氏
スタジオで制作されたマスター音源をラッカー盤へ音溝として刻み込む作業は、専用のカッティングレースを駆使した長年の経験による正確な作業と、音楽への高い理解の力が必要。
<レコードプレス分野の受賞者>
株式会社ソニーDADCジャパン 代表取締役 石原浩一氏
東洋化成株式会社 代表取締役社長 萩原克治氏
アナログレコード盤は、音溝がカッティングされたラッカー盤からA面B面2つの金属原盤をお越し、それをプレス機に装着して、塩化ビニール製の12インチや7インチのディスクが製造される。
<レコード再生針分野の受賞者>
アダマンド並木精密宝石株式会社 代表取締役社長 並木章二氏
オグラ宝石精機工業株式会社 代表取締役社長 小倉教太郎氏
日本精密宝石工業株式会社 代表取締役社長 仲川和志氏
株式会社ナガオカ 代表取締役 長岡香江氏
アナログレコードをプレーヤーで回転させて音楽を再生するには、ピックアップカートリッジを用いるが、音溝をトレースする部分には硬い鉱石を精密に加工した専用の針が必要。
受賞者を代表し、パブリックレコードの奥田氏は「アナログレコードは4つの部門から成り立ち、それぞれの人々の働きによってもたらされる。我々はマスター盤製造を初めて36年、山あり谷ありでアナログレコードはもう存在できないかと思う時もあった。ここ数年伸びており、何とかレコードの分野の1つとしていけるかという思いになっている。変化の激しい時代に何が起こるかわからないが、我々のラッカー盤が必要とされる限り製造を続けていきたい」と語った。
3.「ベイシー」菅原氏と小川会長の特別対談。音の日特別講演
音の日特別講演として、JAZZ喫茶「ベイシー」店主の菅原正二さんと日本オーディオ協会会長でJAZZピアニストでもある小川理子氏による対談が催された。
早稲田大学在学中からドラムパート担当で演奏に携わり、1970年から50年近くにわたってJAZZ喫茶を営む菅原氏。音楽やオーディオに対する深い愛情のこもった言葉が飛び出した。
「ラジオを2台並べて聴いていた。ジャズを好きになったのは映画の影響もあって、ステレオって何ていいんだろうと思った。レコードの溝にどこまで(音が)入っているのか知りたくてそれからずっとやってきたけれど、いくら頑張っても感動はそれに比例しない、不思議だね。でも、普段は簡単なオーディオを聴いている。そういうものも同時に存在するということでオーディオをやった方がいい。人の道を踏み外す前に(笑)。たくさんの趣味をやってきたけれど、今残ったのはオーディオだけ。まだ飽きないのは、果てしがないから。結局こたえは出ないんだと思う」
菅原氏が営む「ベイシー」を訪れた経験のある小川氏は、「入った瞬間に別世界でした。全身が音に包まれる、お母さんのお腹の中に居るような体験。ずっとここにいたい、包まれていたいと思いました」との感動体験を語った。
4.オーディオ業界発展に功績を残した穴澤健明氏への功労賞授与式
平成16年から10年間日本オーディオ協会理事を務め、その後もソフト編集委員会やJASジャーナル編集委員などを務めた。今日のデジタルオーディオのさきがけも務め、日本オーディオ協会のテストレコード、CD、ハイクオリティ音源の制作にも携わり、さらに学生による録音コンテストも立ち上げるなど数々の功績を残した。
穴澤氏は60年前中学生の頃に聴いたスメタナ弦楽四重奏団に感銘を受け、スメタナが演奏するベートーベンの四重奏をすべて録音したいと、1985年にそれが完成するまで長きにわたって取り組んだという。1964年の東京オリンピック以降はデジタル録音機も入手、デジタル録音の道を拓いていった。
今年の「音の日」イベントに日本オーディオ協会会長として初めて携わることとなった小川氏、本イベントについて「いろいろと新しいことができそうな、確かな手応えを感じた。オーディオ推進の足掛かりになる取り組みとして、今後もしっかりと続けていきたい」とコメントした。
今年2018年の同イベントでは、現在世界でわずか2社しか存在しない“ラッカー盤”(アナログレコード・マスター盤)製造会社であるパブリックレコード(株)の奥田憲一氏を始めとするアナログレコードに携わる人々を「音の匠」として表彰するなどの取り組みが行われた。
開会に先立ち同協会会長の小川理子氏は、「音の日は四半世紀にわたり色々な事業を展開してきましたが、今回は平成最後となるイベント。来年以降もどんどん音、音楽、オーディオを皆様で盛り上げ、業界の活動も社会も明るく元気にして参りたい」と挨拶した。
今回の「音の日」では、1.学生の「音楽録音作品」の表彰と受賞作品発表 2.音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として 顕彰する第23回「音の匠」顕彰式 3.音の日特別講演、4.日本オーディオ協会功労賞授賞式 の内容を展開した。順にレポートしていく。
1.力作が揃った、学生の「音楽録音作品」の表彰と受賞作品発表
音楽録音教育、オーディオ教育の啓発に取り組む日本オーディオ協会では毎年、学生の制作する音楽録音作品コンテストを開催、優秀作品の制作者を「音の日」に表彰している。同コンテスト開催5回目となる今年は、27作品が応募された。5つの優秀作品に対して制作に関わった5名を表彰、それぞれの作品が披露されるとともに審査員からの総評があった。
優秀企画賞「戸塚WINDSレコーディング」は、制作者の1人である岡澤朝輝さんの出身である神奈川県の戸塚高校吹奏楽部1~2年生110名の演奏を録音したもの。岡澤さんの所属する日本工学院専門学校の卒業制作として、持てる技術の追求にチャレンジし5.1chでの“一発録り”にチャレンジしたという。岡澤さん自身の吹奏楽経験による、スコアを活かしてのマイクセッティングの工夫など高い評価を獲得した。
優秀音楽作品賞「レイトショーの後に咲く花」は、中臺悠幸さんによる楽曲を横田創平さんが自室でレコーディングしたもの。ルームチューニングの重要性に気づき、卵パックを壁に貼った押し入れにこもってのボーカル録音など工夫を凝らしたという。モニターはヘッドホンでなくスピーカーを使用し、それがよい成果をもたらしたと実感している。緻密な音楽表現などが高く評価された。
優秀録音技術賞の「flying in future」は、加藤拓さんの作品。福岡のプログレッシブバンドの演奏をスタジオにて一発録りしたもの。スリリングなライブ感のある曲調を活かすよう演奏の質にこだわり、プレイヤーを疲れさせない心遣いで挑んだという。まとまりのいい音楽表現が高く評価された。
最優秀賞受賞の「for(art)est (アートフォレスト)」は、制作者の山下真澄さんが名古屋芸術大学の卒業制作として制作したもので、自然と人工物の融合をテーマに自ら楽曲をつくった。タイトルは“森の中に人工物(アート)がある”ことを表現したものだという。イメージを明確にしてヴァイオリン、ビオラ、チェロの奏者に演奏を依頼、自ら演奏したピアノを合わせた上に、シンセサイザーや生録での風の音や虫の声といった効果音を組み合わせ独特の空間をつくった。CMなどにすぐにも使用できそうだと絶賛された。
2. アナログレコード盤に関わる授賞、第23回「音の匠」顕彰式
つづいて、音を通じて文化や生活に貢献した方を「音の匠」として 顕彰する第23回「音の匠」顕彰式が執り行なわれた。今年はアナログレコード盤に関連する「ラッカー盤」「レコードカッティング」「レコードプレス」「レコード再生針」に貢献した方々への授賞となった。
「音の日」委員会委員長の林和喜氏が、「近年アナログレコードやアナログプレーヤーが若者中心に注目され、オーディオ業界の復活につながっていること。また今年はLPレコード誕生70周年の節目にあたること」とその背景を説明した。
続いて林氏は、アナログレコードを取り巻く市況について説明。国内市場では、2001年の生産枚数は130万枚だったが、2009年には10万枚へと縮小。しかし2008年にアメリカにて始まったイベント「レコードストアデイ」をきっかけに、アナログレコードが再燃したと言われる。その後国内のアナログレコード生産は、2017年に106万枚となり前年比で133%。4年連続で数量も金額も右肩上がりの状態である。
アナログレコードのこのような人気について林氏は、「オーディオファンだけでなく、若い人を中心に魅力が認知されている。メディアや関連機器などによる音の違いを楽しむ、音楽を視覚で楽しめる、再生する手間を価値ある時間として楽しめる、といった要素がある。デジタル世代の若者に新しい体験をもたらしている」と指摘する。
日本オーディオ協会では、若い世代へオーディオ文化をさらに広げていきたい意向をもつ。アナログレコードのブームがこの方向に一致するとして、トレンドを歓迎し推奨する構え。
2018年は、1948年にコロンビアがLPレコードを開発してから70年、翌1949年にはRCAビクターがEPレコードを開発し、節目の年として、アナログレコードに関わり活躍する方々の顕彰にふさわしいとした。
<ラッカー盤分野の受賞者>
パブリックレコード株式会社 代表取締役 奥田憲一氏
金型に溝を転写する用途で、音を最初に溝として記録するディスクが「アナログレコード・マスター盤」=ラッカー盤。現在製造を手がけるのは世界中で2社、国内で1社。
<レコードカッティング分野の受賞者>
株式会社JVCケンウッドクリエイティブメディア 小鐵徹氏
株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズ 堀内寿哉氏
東洋化成株式会社 手塚和巳氏
東洋化成株式会社 西谷俊介氏
日本コロムビア株式会社 武沢茂氏
株式会社ミキサーズラボ 北村勝敏氏
スタジオで制作されたマスター音源をラッカー盤へ音溝として刻み込む作業は、専用のカッティングレースを駆使した長年の経験による正確な作業と、音楽への高い理解の力が必要。
<レコードプレス分野の受賞者>
株式会社ソニーDADCジャパン 代表取締役 石原浩一氏
東洋化成株式会社 代表取締役社長 萩原克治氏
アナログレコード盤は、音溝がカッティングされたラッカー盤からA面B面2つの金属原盤をお越し、それをプレス機に装着して、塩化ビニール製の12インチや7インチのディスクが製造される。
<レコード再生針分野の受賞者>
アダマンド並木精密宝石株式会社 代表取締役社長 並木章二氏
オグラ宝石精機工業株式会社 代表取締役社長 小倉教太郎氏
日本精密宝石工業株式会社 代表取締役社長 仲川和志氏
株式会社ナガオカ 代表取締役 長岡香江氏
アナログレコードをプレーヤーで回転させて音楽を再生するには、ピックアップカートリッジを用いるが、音溝をトレースする部分には硬い鉱石を精密に加工した専用の針が必要。
受賞者を代表し、パブリックレコードの奥田氏は「アナログレコードは4つの部門から成り立ち、それぞれの人々の働きによってもたらされる。我々はマスター盤製造を初めて36年、山あり谷ありでアナログレコードはもう存在できないかと思う時もあった。ここ数年伸びており、何とかレコードの分野の1つとしていけるかという思いになっている。変化の激しい時代に何が起こるかわからないが、我々のラッカー盤が必要とされる限り製造を続けていきたい」と語った。
3.「ベイシー」菅原氏と小川会長の特別対談。音の日特別講演
音の日特別講演として、JAZZ喫茶「ベイシー」店主の菅原正二さんと日本オーディオ協会会長でJAZZピアニストでもある小川理子氏による対談が催された。
早稲田大学在学中からドラムパート担当で演奏に携わり、1970年から50年近くにわたってJAZZ喫茶を営む菅原氏。音楽やオーディオに対する深い愛情のこもった言葉が飛び出した。
「ラジオを2台並べて聴いていた。ジャズを好きになったのは映画の影響もあって、ステレオって何ていいんだろうと思った。レコードの溝にどこまで(音が)入っているのか知りたくてそれからずっとやってきたけれど、いくら頑張っても感動はそれに比例しない、不思議だね。でも、普段は簡単なオーディオを聴いている。そういうものも同時に存在するということでオーディオをやった方がいい。人の道を踏み外す前に(笑)。たくさんの趣味をやってきたけれど、今残ったのはオーディオだけ。まだ飽きないのは、果てしがないから。結局こたえは出ないんだと思う」
菅原氏が営む「ベイシー」を訪れた経験のある小川氏は、「入った瞬間に別世界でした。全身が音に包まれる、お母さんのお腹の中に居るような体験。ずっとここにいたい、包まれていたいと思いました」との感動体験を語った。
4.オーディオ業界発展に功績を残した穴澤健明氏への功労賞授与式
平成16年から10年間日本オーディオ協会理事を務め、その後もソフト編集委員会やJASジャーナル編集委員などを務めた。今日のデジタルオーディオのさきがけも務め、日本オーディオ協会のテストレコード、CD、ハイクオリティ音源の制作にも携わり、さらに学生による録音コンテストも立ち上げるなど数々の功績を残した。
穴澤氏は60年前中学生の頃に聴いたスメタナ弦楽四重奏団に感銘を受け、スメタナが演奏するベートーベンの四重奏をすべて録音したいと、1985年にそれが完成するまで長きにわたって取り組んだという。1964年の東京オリンピック以降はデジタル録音機も入手、デジタル録音の道を拓いていった。
今年の「音の日」イベントに日本オーディオ協会会長として初めて携わることとなった小川氏、本イベントについて「いろいろと新しいことができそうな、確かな手応えを感じた。オーディオ推進の足掛かりになる取り組みとして、今後もしっかりと続けていきたい」とコメントした。
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