シンプルな回路設計で高純度の信号増幅を実現

Ayon Audio、純A級真空管プリメインアンプ「Scorpio II」「Spirit V」

公開日 2022/06/10 18:41 編集部:川田菜月
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アクシスは、同社取り扱いブランド・Ayon Audio(アイオンオーディオ)より、純A級真空管プリメインアンプ「Scorpio II」「Spirit V」の2モデルを、7月から受注販売する。価格はScorpio IIが748,000円(税込)、Spirit Vが1,078,000円(税込)。

Scorpio II

Spirit V

いずれも真空管4本をプッシュプル構成で搭載した純A級動作のプリメインアンプ。出力段は3極管モードと、出力が50%増加する5極管モードとの切り替えが可能となっている。

Scorpio IIは、2015年発売の「Scorpio」をベースとしたアップグレードモデル。回路デザインの再構築とプリ/ドライバー段の真空管の変更により、大幅な特性強化と音質向上を実現したとする。

真空管は「KT88」を4本、「6SJ7」と「6SN7」を各2本ずつ、合計8本を搭載。いずれの真空管も、特別にカスタムメイドされた「Amplitrex AT1000」チューブテスターにより事前にバーンインと厳密な特性テストを実施している。出力は3極管モードで30W×2、5極管モードで42W×2となる。

なおオプションとして、「KT88」の代わりに「KT150」を搭載したモデルもラインナップする。価格は825,000円(税込)で、出力は3極管モードで35W×2、5極管モードで50W×2となる。

ブランド独自の機能として、全出力管のバイアスを自動的に最適化する「インテリジェント・オートフィックス・バイアス(AFB)回路」や、電源オン時に緩やかに起動することで真空管への負担を軽減する「ロジカル・シーケンス・ソフトスタート・パワーアップ回路」を搭載。出力管回路プロテクションサーキットシステムや、出力管のバイアス値をチェックできるバイアスメーターといった保護機能も装備する。

回路設計は、可能な限りシンプルかつ信号経路を短縮するよう細部まで徹底することで、純度の高い信号増幅を追求。また随所に高品質部品を採用し、入力切替のセレクター回路では入力端子に最短距離で配備されたリレーを駆動するなどの配慮も行っている。

電源部は、各増幅ステージ別に分離、絶縁した独立構造を採用。電源トランス、チョークコイル、フィルター群による綿密な相互作用により、入力段/出力段のアイソレーション効果を高め、高純度の安定した電源供給を実現したとする。ほか、シールドとダンプ能力に優れたノーノイズ・インシュレーテッド電源トランスや、プリ/ドライバー管用の大電流フィラメント・レギュレーター、抵抗器を使用した場合のフィルタリングの損失を補う大容量電解コンデンサーなども搭載した。

また、超高域での伝送速度を維持しつつ、低音域に大電流を供給できるという超広帯域出力トランスを搭載。これにより音の純度、透明度、解像度が向上し、流麗さと力に満ちたナチュラリティーを実現したとのこと。

オーディオファイル・グレードのカップリングコンデンサや、高強度なベリリウム銅スプリングピンを組み込んだAyon特製のチューブソケット、高品質バインディングポストなど、各所の部品も高品位なものを厳選。

筐体素材にはブラッシュド・アノダイズ処理を施したハイグレードアルミニウムを使用。放熱特性の改善を図ったベンチレーションデザインを採用し、筐体はブラック、トランスケースはクローム仕上げとする。ほか、カスタムメイド・マシン加工のコントロールノブなどを装備する。

負荷インピーダンスは4Ω/8Ω。周波数帯域は15Hz - 40kHzで、入力感度は350mV(最大出力時)、入力インピーダンスは100kΩ@1kHz。端子はスピーカーターミナル(バインディングポスト)を1系統、ライン(RCA)入力を4系統備える。消費電力は150W。外形寸法は40W×26H×36Dcm、質量は29kg。

その他オプションとして、最大PCM384KHz/32bit、DSD 256入力に対応するUSB-DACモジュール(71,500円/税込)、メタルリモコン(49,500円/税込)、チューブケージ(33,000円/税込)を用意する。

Spirit Vは、2011年発売の「Spirit III」の後継モデル。すべてのゲインステージ/ドライバーステージを再設計することで、さらなる信号経路の短縮化を実現。新しいチョークコイルや出力トランスにより安定性も高めたという。

真空管には「KT150」を4本、「12AX7」と「6SN7」を2本ずつ搭載し、出力は3極管モードで40W×2、5極管モードで65W×2となる。また、「KT150」を「KT170」へ変更したモデルもラインナップ。価格は1,210,000円(税込)で、出力は3極管モードで45W×2、5極管モードで70W×2となる。

Scorpio IIと同様に、「インテリジェント・オートフィックス・バイアス(AFB)回路」や「ロジカル・シーケンス・ソフトスタート・パワーアップ回路」などのブランド独自機能、保護回路、バイアスメーターなどを搭載。回路設計においてもシンプルさと信号経路の短縮を徹底する。

電源部には各増幅ステージ別の独立電源供給構造を採用。ローノイズ・インシュレーテッド電源トランス、超広帯域出力トランスなどの搭載や、放熱特性の改善を図ったベンチレーションデザインのアルミニウム製筐体、厳選した高品位部品の採用といった特徴も、Scorpio IIと共通している。

ほか、本モデルではグランド分離スイッチを装備。パワーアンプとして使用する際のグランドループによるS/Nを改善するとしている。

負荷インピーダンスは8Ω/4Ω。帯域幅は10Hz - 60kHz/-3dBで、入力感度は500mV(最大出力時)、入力インピーダンスは100kΩ@1kHz。出力はプリアウト、スピーカーターミナル(バインディングポスト)を1系統ずつ、入力にはDirect Inを1系統、ライン入力にRCAを3系統、XLRを1系統備える。消費電力は175W。外形寸法は48W×26H×37Dcm、質量は33kg。メタルリモコンが付属する。

オプションとして、最大PCM 384KHz/32bit、DSD 256入力に対応するUSB-DACモジュール(71,500円/税込)、チューブケージ(33,000円/税込)を用意する。

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