MS方式/AB方式の聴き比べも実施
ゼンハイザー、RFコンデンサー方式の双指向性マイク「MKH8030」。チェロ&ピアノ録音のデモ音源も披露
ゼンハイザージャパンは、同社のマイクロフォンのトップライン「MKH8000シリーズ」の最新モデルとして、双指向性マイク「MKH 8030」を6月27日より発売する。価格はオープンだが、税込270,000円前後での実売が予想される。
双指向性マイクは、マイクの正面と背後に強い指向性をもち、側面の感度が低いマイクロホンとなっており、ゼンハイザーとしても数十年ぶりの新製品だという。MS方式やダブルMS方式、Blumlein録音などに活用できるものとなる。
型番の「MKH」は、それぞれドイツ語でマイクロフォン(Mikrofon)、コンデンサー(Kondensator)、高周波(Hochfrequenz)の頭文字を取ったもの。高周波は英語でRadio Frequencyというため「RFコンデンサーマイク」と一般に呼ばれるが、このMKHシリーズもRFコンデンサーマイクの一種。
ダイヤフラムの振動で高周波を変調し、それを復調することで音声信号を取り出すことができる技術で、ダイヤフラムにテンションがかからないために低い周波数帯域まで収録できること、構造的な音響抵抗が小さいために感度が高く、軸外特性が乱れにくいといった特徴を持つ。
またカプセル出力インピーダンスが低いためS/Nが良く湿気に強いほか、ダイヤフラムの前後にバックプレートを配置するプッシュプルデザインとなっており、前後の空気抵抗を均質化し歪みの少ない録音が実現できるといったメリットもある。
また、双指向性マイクは単一指向性マイクと組み合わせて使用するシーンが多いが、複数のマイクの音をミックスする際には、その“正確性”が非常に大切な要素となる。MKHシリーズとしては、これまで無指向性の「MKH 8020」、カーディオイドタイプの「MKH 8040」などがラインナップされており、MKH8030もMKH 8040との組み合わせも想定して開発された製品となる。
製品発表会では、洗足学園音楽大学の教員であり、レコーディングエンジニアの齋藤 峻さんが登場。MKH 8030を実際に使用して録音したチェロ&ピアノの音源を用いたデモンストレーションを行った。
MS方式は、単一指向性のメインマイク(Mid)と、双指向性マイク(Side)を縦に配置することで、ステレオイメージの再現を狙って行われる録音方式。MS方式はマイクを同軸で配置するので、マイクの設置できるエリアが限られた現場でも活用しやすいといったメリットがある。さらに、ミックスの段階でSideの音圧を調整することで、ステレオイメージの広がりをあとから調整することも可能だという。
MS方式のほかに、よく採用されるスタイルとしてAB方式というものもあり、こちらは2本の無指向性マイクを約40cmから約2m程度平行に離して配置するもの。齋藤さんのデモでは、一回のレコーディングでAB方式(MKH 8020使用)とMS方式(MKH 8030&MHK8040使用)の両方を実践し、その音の聴き比べと言った実験的な取り組みも披露された。
斉藤さんも、「双指向性のマイクは長年ゼンハイザーさんにリクエストしていたものなので、ついに登場して非常に嬉しいです」と喜びを表明、今回の録音でもどうマイクを配置して音を捉えるか、さまざまな試行錯誤があったと振り返る。
「これまでの双指向性のマイクでは低音の弱さや音像の狭さなどに課題を感じていました。しかし、今回の録音でかなり低域が豊かに出ていると感じられましたので、チェロの録音にはかなり活用できそうです」とMKH 8030のサウンドの魅力を語る。
実際にノイマンのスピーカーで、MS方式とAB方式による音の違いを聴き比べた。その違いを言葉にすることはなかなか難しいが、MS方式のほうが楽器に対して近い印象だが、同時に包み込まれるような広がりも感じる一方、AB方式はより客観的というか、遠くから俯瞰しているようなイメージと感じられた。
8000番のマイクシリーズが出揃ったことで、齋藤さんは双指向性のマイクを活用したさらなるレコーディングに期待を寄せる。イマーシブ録音のOmini8、Hamasaki Cubeなどと呼ばれるマイクセッティング例をあげ、新しい音楽制作のアイデアをふくらませる。
会場では、CubaseのDAWを用いた、ヘッドホンでMS方式(Midマイク・Sideマイクそれぞれ)と、AB方式を聴き比べる環境も用意されていた。Midマイクに対してどれくらいSideを加えることで、どのようなステレオイメージの変化があるのかを確認できる。マイクセッティングによる音の違いは非常に興味深く、音楽制作のさらなる可能性を感じさせてくれた。
双指向性マイクは、マイクの正面と背後に強い指向性をもち、側面の感度が低いマイクロホンとなっており、ゼンハイザーとしても数十年ぶりの新製品だという。MS方式やダブルMS方式、Blumlein録音などに活用できるものとなる。
型番の「MKH」は、それぞれドイツ語でマイクロフォン(Mikrofon)、コンデンサー(Kondensator)、高周波(Hochfrequenz)の頭文字を取ったもの。高周波は英語でRadio Frequencyというため「RFコンデンサーマイク」と一般に呼ばれるが、このMKHシリーズもRFコンデンサーマイクの一種。
ダイヤフラムの振動で高周波を変調し、それを復調することで音声信号を取り出すことができる技術で、ダイヤフラムにテンションがかからないために低い周波数帯域まで収録できること、構造的な音響抵抗が小さいために感度が高く、軸外特性が乱れにくいといった特徴を持つ。
またカプセル出力インピーダンスが低いためS/Nが良く湿気に強いほか、ダイヤフラムの前後にバックプレートを配置するプッシュプルデザインとなっており、前後の空気抵抗を均質化し歪みの少ない録音が実現できるといったメリットもある。
また、双指向性マイクは単一指向性マイクと組み合わせて使用するシーンが多いが、複数のマイクの音をミックスする際には、その“正確性”が非常に大切な要素となる。MKHシリーズとしては、これまで無指向性の「MKH 8020」、カーディオイドタイプの「MKH 8040」などがラインナップされており、MKH8030もMKH 8040との組み合わせも想定して開発された製品となる。
製品発表会では、洗足学園音楽大学の教員であり、レコーディングエンジニアの齋藤 峻さんが登場。MKH 8030を実際に使用して録音したチェロ&ピアノの音源を用いたデモンストレーションを行った。
MS方式は、単一指向性のメインマイク(Mid)と、双指向性マイク(Side)を縦に配置することで、ステレオイメージの再現を狙って行われる録音方式。MS方式はマイクを同軸で配置するので、マイクの設置できるエリアが限られた現場でも活用しやすいといったメリットがある。さらに、ミックスの段階でSideの音圧を調整することで、ステレオイメージの広がりをあとから調整することも可能だという。
MS方式のほかに、よく採用されるスタイルとしてAB方式というものもあり、こちらは2本の無指向性マイクを約40cmから約2m程度平行に離して配置するもの。齋藤さんのデモでは、一回のレコーディングでAB方式(MKH 8020使用)とMS方式(MKH 8030&MHK8040使用)の両方を実践し、その音の聴き比べと言った実験的な取り組みも披露された。
斉藤さんも、「双指向性のマイクは長年ゼンハイザーさんにリクエストしていたものなので、ついに登場して非常に嬉しいです」と喜びを表明、今回の録音でもどうマイクを配置して音を捉えるか、さまざまな試行錯誤があったと振り返る。
「これまでの双指向性のマイクでは低音の弱さや音像の狭さなどに課題を感じていました。しかし、今回の録音でかなり低域が豊かに出ていると感じられましたので、チェロの録音にはかなり活用できそうです」とMKH 8030のサウンドの魅力を語る。
実際にノイマンのスピーカーで、MS方式とAB方式による音の違いを聴き比べた。その違いを言葉にすることはなかなか難しいが、MS方式のほうが楽器に対して近い印象だが、同時に包み込まれるような広がりも感じる一方、AB方式はより客観的というか、遠くから俯瞰しているようなイメージと感じられた。
8000番のマイクシリーズが出揃ったことで、齋藤さんは双指向性のマイクを活用したさらなるレコーディングに期待を寄せる。イマーシブ録音のOmini8、Hamasaki Cubeなどと呼ばれるマイクセッティング例をあげ、新しい音楽制作のアイデアをふくらませる。
会場では、CubaseのDAWを用いた、ヘッドホンでMS方式(Midマイク・Sideマイクそれぞれ)と、AB方式を聴き比べる環境も用意されていた。Midマイクに対してどれくらいSideを加えることで、どのようなステレオイメージの変化があるのかを確認できる。マイクセッティングによる音の違いは非常に興味深く、音楽制作のさらなる可能性を感じさせてくれた。
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