【質疑応答編】シャープ、液晶カラーテレビ“AQUOS”の新製品を発表
会場のシャープ株式会社AVシステム事業本部長常務取締役 濱野氏 |
Q:今回の新製品に使われている液晶パネルは、昨年夏に発表されたB1シリーズのものと同じものか?もし同じものなら、従来のラインナップの中で本製品をどのように差別化していくのか?
A:本製品に使われているASV液晶パネルはB1シリーズのものと同じだが、前段階により改良を加えたものを今回の新製品には採用している。C1シリーズではキレイな画質に加え、「2.1チェンネルサウンドシステム」による音の美しさを売りにして行きたい。また、今回は新たにBSアナログチューナーを搭載した点も他のラインナップと比べた時の付加価値となるはず。C1シリーズはホームシアターに活用してもらう液晶パネルとしての位置づけを確立させて行きたい。
Q:前モデルと比較して、製造コストを10%から15%ダウンして低価格化を実現したということだが、どの部分でコストダウンを実現したのか?
A:パネルそのものの製造に、従来以上の高品質を達成しつつ10%近いコストダウンを実現した。ほか、映像回路まわりのチップ類において10%から15%のコストダウン、スタンドの機構を変えたことによるコストダウンも実現できた。
Q:喜多俊之氏によるデザインは今回どのように進化したのか?
A:前モデルで好評だった「温かみのあるヒューマンなタッチ」を受け継ぎつつ、4:3の画面のテイスト感がより豊かになった。製品の材質、仕上げはそのままであるが、ディティール部分はシャープバッチの処理や、マスク周りに工夫を凝らし、例えば黒いフレームにより画が引き締まって見えるように設計を施した。
Q:御社が発表された、昨年の液晶テレビの売上げ台数50万台というのは年度のものか、或いは1年間のものか?50万台のサイズ別の比率を教えてほしい。また2002年のワールドワイドの液晶市場をどのように予測しているか?
A:売上げは昨年の会計年度のものである。内訳比率は日本中心の市場で20インチが35%、15インチが15%、13インチが50%。2002年における液晶テレビの国内需要は、国内は
20インチサイズの大型のものが増えていくのでは。比率としては20インチが40%、15インチが30%、13インチが30%と構成比が15%から20%へとシフトしていくだろう。2002年の世界需要は業界150万台を予測しているが、シャープはそのうち100万台のシェア獲得を目指している。
Q:今後はプラズマディスプレイの需要もさらに高まってくると思われるが、御社の大画面ディスプレイに対する見解を教えてほしい。
A:今年9月からは16:9、30インチ以上の画面サイズのラインナップを充実させていきたい。さらに下期のトップ頃には40インチに近い製品を計画している。こちらは画づくりは進んでいて、現在は細かい仕様をつめているところである。この製品でシャープは2004年春の新工場立ち上げまでのラインナップを充実させ、工場立ち上げ以降はより大きいPDPに近いサイズのものをつくって行きたい。
Q:今回の製品は新しくBSアナログチューナーを内蔵されているが、今後BSデジタル放送、CS110度放送への対応はどのように考えているか?
A:今回の新製品ではC1シリーズ、B1シリーズを買ったお客様からBSアナログを積んでほしいという強いニーズにお応えするかたちとなった。今後はBSデジタル、CS110度の対応製品は徐々に揃えていくつもりである。画面サイズ4:3の製品において現時点でBSデジタルチューナーを内蔵するとコスト高になる。9月以降に予定している16:9の画面サイズのものから基本スペックとしてBSデジタルチューナーを積んで行き、その後4:3の画面サイズのものへも普及させていくつもりである。
Q:フラットテレビはブラウン管タイプのディスプレイと比較して売り上げ台数、金額においてどのような現状にあるのか?
A:両者の台数面でのクロスはまだ先になるだろう。しかしながら金額についてはフラットテレビとCRTが下期に逆転することが予想される。2002年からは逆転が各所で顕著に現れてくると見ている。台数ではフラットテレビの平均単価がまだ高いため、現在では液晶1:CRT3.5ほどの比率となっているが、こちらも2003年には逆転し液晶テレビが柱になるだろう。
Q:CRTは30インチが主流だが、フラットテレビではどのくらいのインチサイズのものが主流になっていくと考えているか?
A:液晶テレビにおいては40インチサイズのものが次の主流になると考えている。50インチを超えるサイズのものは業務用ディスプレイとしては評価を得るだろうが、家庭用のニーズはあまり高まらないだろう。
Q:今回新たに発表されたホームシアターシステムラックのスタンドの耐震実験は行ったか?
A:地震に対する実験は行った。スタンドを床に傾けてどれくらいの角度まで立てていられるかをテストしたが、前後15度の角度に耐えられるように最終的な設計を行った。これは業界標準が10度なのに比べて高い数字である。震度を基準にした実験は行っていない。
Q:御社では来年100万台の売上げを予測されているが、今後韓国メーカーなどコストパフォーマンスの高い製品を出してくるライバルにどう立ち向かっていくのか?
A:シャープではパネルから商品まで全て自社で一貫して製造する点を強みにして行きたい。今回のC3シリーズでは10%から15%のコストダウンを実現したが、今後は15%から20%のより一層のコストダウンを図っていく。韓国メーカーのコストパフォーマンスには負けないレベルの商品をつくりだして行く自信が我々にはある。
(Phile-web編集部)