「BRAVIAでソニーがテレビの新時代を築く」:ソニーが新製品発表会を開催
はじめにソニー(株)代表執行役副社長 ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー プレジデントの井原勝美氏が、同社の映像事業に関する戦略を説明した。
井原氏は1968年の初代トリニトロンの開発に始まり、以後世界のユーザーに愛され続けてきたソニーの存在感を強調し「2000年前半には世界No.1の不動の地位を築いた」と語った。しかし一方では「この数年はテレビ市場において、ソニーはやや元気がないと指摘され、ブランドの存在感が希薄になりつつあったことは否めない」としながら、本日発表した「BRAVIA」シリーズについて「ソニーの完全復活を実現し、新時代を築く商品」と意気込みをみせた。
今回の製品を発表するにあたって「3つの準備が整った」と井原氏は指摘する。それは、ソニーが長い間蓄積した映像技術をリニューアルし、世界へ向けて発信準備が整ったこと、ソニーのプロダクトデザイン力が結実した製品を完成させたこと、そしてキーデバイスとなるLCDパネルが準備できたことであるという。殊にサムスンとのジョイントベンチャーとなるS-LCD社の「ソニーパネル」については、「ソニーの品質基準を満たす高いクオリティを備えている。フラットテレビの開発に最適化されたデバイスであり、コスト競争力も高いプロダクト」と自信をあらわにする。
液晶リアプロジェクションテレビについては、ソニーが長らく開発してきたパネル技術により高品位なキーデバイスの量産体制が整ったことを強調する。
BRAVIAシリーズの海外展開については、「米国、オーストラリア、中国、欧州と展開してきたが、各地で強い反応と手応えがあった」という。特に北米では同シリーズがLCD、リアプロジェクションテレビ双方で高いシェアを獲得しつつあることをデータで示し強調した。そしていよいよシリーズの日本上陸となるわけだが、井原氏は「この秋から新しいBRAVIAを全世界に供給し、ソニーがテレビの新時代を築く」と力強くコメントした。
今後ソニーはテレビ事業のワールドワイドな戦略として、日本では液晶を中心としたフラットテレビに注力していく。北米については、現在の市場動向として40インチ以上のテレビは圧倒的にリアプロジェクションタイプのシェアが多く、ソニーがここにおいてトップのシェアを獲得しているという。ここを引き続き注力していくことがソニーの北米における戦略であると木暮氏は語る。また欧州については最大のライバルとして見ているフィリップス社と激しい闘いが続いているが、現在急速に進むテレビ商品のフラットパネル化において素早く魅力的な商品を投入して差を付けていく考えを示した。
一方でブラウン管テレビの生産については、依然売り上げが好調なアジア地域で引き続き注力して行くという。
今回のBRAVIAはソニーが自信を持って市場に送り出せる高画質・高品位の付加価値を備えているが、ソニーとしてはそこに加えて、他の高付加価値を備えるデジタルAV機器との連動もユーザーに絶えずイメージさせながら、BRAVIAを中心としたエンターテインメント・チェーンを積極提案していく方向性であるという。
BRAVIAの特長については、S-LCD社の独自開発によるパネルを搭載したこととしながら、「当初は立ち上げに苦労した第七世代パネルの生産工場が量産体制を整えることができた」と語り、BRAVIAシリーズの生産体制が万全であることを木暮氏は強調する。木暮氏は最後に「ソニーの技術をさらに磨いて、高解像化・高音質化を毎年ステップアップしていきたい」と抱負を語った。
鹿野氏ははじめに、ソニーとして今秋に薄型テレビの世帯普及率が16%を超えるという予測を示しながら、「薄型テレビの選択基準はスペック志向から、使いやすさ、デザインの良さ、いっそうの大画面という基準へシフトして行きながら、需要が大きく多様化するだろう」と語った。
「ちょっと大きめな画面サイズのテレビが欲しい」というユーザーのデマンド増加にソニーは大きく期待し、今回のBRAVIAをリリースしたという。製品の内容についても、「マニアからマスマーケットまで幅広く捉えるラインアップ戦略を整えた。何を買えばよいのか迷っているお客様方のニーズに幅広く合致するよう、画質・デザイン・使いやすさ・画面サイズにバラエティーを持たせ、それぞれに明快な答えをご提供できるものと感じている」と勝たし、新製品への大きな期待を顕わにした。
最後にBRAVIAの販売展開について語った鹿野氏は「シリーズのイメージカラーである“赤”で店頭を染めるような勢いをみせたい」とし、また「33インチの液晶テレビで30%のシェア獲得が目標」と意気込みをみせた。
以下に本日の会場で執り行われた質疑応答の模様を紹介する。
Q:北米のCEDIAではSXRDリアプロをシリーズで紹介する展示も行われたが、日本ではこれをどのように展開していくのか
A:米国ではハイエンドのリアプロがホームシアターで認知を得ており、これからベーシックなモデルへと拡張していく時期だ。日本でははじめにハイエンドから展開して行くつもりだ。当然、ユーザーからのニーズがあれば積極的に展開したい。
Q:ソニーのビジネスに対してテレビの収益貢献度はいつ頃見えてくると期待している
A:今年の春に発表した事業目標と大きな見通しの変更はない。BRAVIAの発表により、多少強気に出られるのかもしれないが、今はまだ具体的なことは言えない。映像事業については来年後半から収益の上げられるビジネスにしていきたい。
Q:Xシリーズについて50V型以上のモデルを展開しなかった理由は
A:大型サイズの商品については今検討中だ。マーケットの推移をみて導入を決めたい
Q:パネルの自社開発は内製化率のアップにどれだけ貢献しているのか
A:内製化率の内容は具体的に言えないが、「大幅にアップしている」と言えるだろう
Q:Vシリーズ、SシリーズはXシリーズと値段、スペックともに均衡しているが、マーケティング戦略はどう展開する
A:確かにスペックの違いは一見小さくみえるだろう。Xシリーズについてはソニーの技術力を集結させHDMI端子も搭載した。Vシリーズ、Sシリーズについてはコンパクトな設置を可能とし、新しいセンスのインテリアにもマッチするデザインとして差別化を図り、より薄型大画面ユーザーの裾野を広げるためのモデルとしたい。
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