中鉢現社長は副会長に
【更新】ソニー、ストリンガーCEOが社長兼務 − ネットワークやコンシューマーを統合した2つの事業グループを新設
ここからは、会見の最後に行われた質疑応答をご紹介する。
Q:(ストリンガー氏に)なぜ会長兼社長なのか。新しい社長を据えることは考えなかったのか。また、なぜいまのタイミングで発表したのか。
A:昨年、また1月の段階で、これだけの機構変革を考えるのは時期尚早だった。12月は起こった状況に反応するのに精一杯だった。以前から今回登用した4人をどう統合するかを考えていたが、2週間ほど前に思いついた。新しい価値の創出、イノベーションに富んだネットワークプロダクツ&サービスグループ。CEOはこういったイノベーションを実現するため、ほかの人を設けて次のレイヤーを作る必要はない。あらゆる努力について、直接意見交換することができる。
Q:(中鉢氏に)社長を退任することについてどう思うか。
A:1月に発表した構造改革案を上回る成果を実現できる見通しで、固定費削減の道筋を作った。特に最近は消費の傾向が変わってきており、新しい方向性は新しい人たちで作るのが最善だろう、と私自身が考えた。顧客視点に立った商品作りを行って欲しい。
Q:(ストリンガー氏に)今後、エレキも担当されるが、現在は日本にいるのは月に1週間程度と聞いている。今後、日本での勤務は増えるのか。
A:1週間ではなく2週間程度を東京で過ごしてきた(笑)。今後は東京でもっと過ごすことを考えている。それと同時に、今後はこのチームを世界各地に連れて行きたい。お客様が何を求めているのか、自分の目で見てもらいたい。
Q:(中鉢氏に)社長を退かれて副会長になる理由をもっと具体的に教えて欲しい。
A:いまの世界同時不況を乗り切るための損益分岐点を下げ、キャッシュフローの充実を図る作業を行ってきたが、プランはおおよそできたかな、と思う。だが、今後の新しい成長戦略については、決していままでの計画で十分とは考えていない。成長戦略をもう一段強固なモノにする必要がある。これを若い世代に託したい。
Q:(ストリンガー氏に)ソニーの抜本的改善を図る、サイロを壊すと4年前にも表明していたが、それは実現できたのか。現在の状況について、自身に責任はないのか。
A:サイロの多くは壊した。ソニーユナイテッドとして掲げたもの、これはかなり達成できた。5%を超える営業利益に近いところまで来たが、その後世界的不況が襲ってきた。CE業界では発表が最も早かったので過剰に反応されたが、見回してみれば赤字が我々より多かったところもある。今回、新しいマネージメントチームを導入したことで、新しい価値の創造を行うことが最も重要だ。
Q:(ストリンガー氏に)社長を兼務することで途中のレイヤーを排除するとのことだが、今後何が変わるのか。どんな会社になろうとしているのか。エンターテインメント会社なのか、ハードウェアの会社なのか。
A:エンターテインメントではなくエレクトロニクスの会社であることは変わらないが、ネットワーク化された製品、サービス、ソフトウェアを統合した製品を出していきたい。競争相手も変わってきている。
Q:(平井氏に)新たに展開を考えている具体的なサービス、製品について詳細を教えて欲しい。
A:この2年、特に1年、プレイステーションビジネスでエンターテイメントやネットワークサービスを進めてきた。アメリカではVODサービスを始めた。昨年はPlaystation HomeやLifeを始めた。プレイステーションネットワークのアカウントも増やすことができ、現在2,000万を突破し、現在も加速度的に増えている。
Q:(ストリンガー氏に)重複する質問になるが、新社長をあえて選ばなかった理由を教えて欲しい。また、現在の状況下でレイヤーが不要というなら、いつ頃レイヤーが必要になるのか。
A:私自身も、社長を今後も据えないということがモチベーションを上げるとは思っていない。若い方々の活躍を見てみたい。
Q:(ストリンガー氏に)現状でも高額の報酬を得ていると思うが、今後社長を兼ねるとのことで、報酬はどの程度増えるのか。
A:逆にどのくらい下げようか、少なくしようかと考えている。今年はボーナスをもらわないことを決めており、さらに下げようと考えている。
Q:(平井氏と鈴木氏に)明日のソニーを支える画期的な商品という言葉が出たが、もう少し具体的に教えてほしい。それによって消費者のライフスタイルはどう変わるのか。
A:(平井氏)色々なデバイスのインキューべーションも新グループのミッションの一つ。「ソニーらしい製品とは何か」という質問を良く受ける。エレキの会社なのでそれも追求するが、「ソニーらしい商品」だけではなく、「ソニーらしいユーザーエクスペリエンス」も考えなければならない。それにはハードだけでなくソフトやサービスも必要だ。家庭内でもポータブルでも、様々なデバイスが考えられるが、いずれにしてもネットワーク接続機能は持つことだろう。またCPUパワーも上がってきており、単一機能でなく様々な機能を持つ複合型商品も考えられる。ジャストアイデアだが、AR(仮想現実)のような、リアルとサイバーの接点があるデバイスも考えられる。
(鈴木氏)たとえばクラウドの世界で感じられることは、ムービー、音楽、あるいはデータ、医療、教育などの情報の洪水で、情報やコンテンツがありすぎる。それを有効に、有機的に利用しているかと言うと、そうはなりきってはいない。つまり、99%の人が効率の良い生活をしていない。そこにヒントがあると考えている。デバイスで対応できるものもあるが、クラウドの中に入ったり、クラウド経由でデバイスに入るということもあり得るだろう。
Q:(ストリンガー氏へ)必ずしもソニーが強くない分野から撤退することは考えているか。
A:確かに円滑化が必要だし、数が出ていないものを放置するわけにはいかない。製品を検討し、選択すべきだ。撤退を考える必要もあると考えている。