3Dプリントサービスも実施
フジフイルム、3D撮影可能なデジカメを正式発表 − 裸眼で立体視できるビューワーも
■「5年後には3Dデジカメのシェアは10%近くになると予測」
本日都内で開催された製品発表会には、代表取締役社長兼CEOの古森重隆氏ら同社の首脳陣が出席し、挨拶した。
製品説明を担当した同社電子映像事業部 副事業部長の三ツ木秀之氏は、「当社は目で見たままの映像をそのまま残したいという思いを大切にして研究開発を行ってきたが、そうした思いがついに2Dの壁を越えた」とコメント。同製品が画期的であることを改めて強調する。
続けて三ツ木氏は「人間の目のメカニズムに早くから着目し、研究開発を進めてきた」と開発の経緯を説明。「人間は2つの目で映像を見て頭の中で立体的な映像として認識している。ならばこれをデジタルカメラで再現できないかと考えた」とし、2基のレンズとCCDを搭載したW1について「本機は目で見たままを追求してきた究極の姿だ」と胸を張る。
また、三ツ木氏は3D上映に対応した映画館が増えつつある状況にも触れ「2009年はまさに3D映像元年だ」とコメント。3D機能を搭載したデジタルカメラも今後増えていくと予想していると語り、「おそらく5年後には3D撮影機能搭載モデルが、ワールドワイドで10%近いシェアを占めるのではないか」と将来的な市場予測も明かした。
そして、今回発表した製品について「デジタルカメラ市場を切り開く革新的な製品になると確信している」とコメント。同時に「今後広がっていく3Dシステムの連携とも積極的に取り組んでいく」と語り、日本ビクター(株)の3D液晶モニター「GD-463D10」(関連ニュース)も発表会の会場に展示していることを紹介。他社との連携にも前向きな姿勢を見せた。
シェア獲得に向けた同社の戦略などについては、同社電子映像事業部 事業部長の樋口武氏も言及。今後の取り組みとして新興国への市場拡大を行っていくとし、「現在、新興国でのデジタルカメラの普及率は10%以下。サイズや価格など、それぞれの国に適したカメラを開発することによって、多くの方に写真文化を楽しんで頂けるようにしたい」と展望を述べた。
樋口氏は「サプライチェーンの改革も行い、コストダウンも20%ダウンの目処が立っている」とコストダウンの努力を続けていることにも言及。新興国対策やコスト対策を、今回の製品のような革新的な製品開発と併せて行っていくと説明した。
主催者代表として登壇した古森氏も、同社の事業改革についてコメント。「2004年度からの中期経営計画“ビジョン75”に基づいて様々な改革を行ってきた結果、2008年3月期には売上、利益ともに過去最高を達成することができた」と計画が進んでいることを説明する。
しかし、続けて「リーマンショックに端を発する世界的不況でデジタルカメラ市場も厳しい状況が続いている」とも語り、昨年秋より新体制で抜本的な改革を進めていることを改めて説明。同改革が成果をあげつつあることも明かし、「早期に軌道に乗せることで強い事業体制を再構築していきたい」と述べた。
また、新製品については「昨年のフォトキナでの発表以後、多方面から高い評価を頂いている」と既に様々な方面から好感されていることをアピール。「デジタルカメラに新たなイノベーションを起こすことで世の中に新たな価値を提供し写真文化の発展に寄与していきたい」と、今後も革新的な製品を開発していく意向を語った。
■CMキャラクターの柴咲コウさんが特別ゲストとして登場
発表会の最後には、同社のCMキャラクターを務める柴咲コウさんがスペシャルゲストとして登場。製品に対する感想などを述べた。
柴崎さんは、ステージ上に用意された実機を手に取り、興味深そうに操作。報道陣にカメラを向け「みなさんが間近にせまってみえる」と3Dモニターの威力などを体感した。
そして、「世界初というのは本当にすごいし、3D撮影ができるカメラを個人が所有してプリントできるのもすごい。ユーザーの皆さんもぜひ注目してほしい」と、製品の魅力をアピールした。
以下、発表会で行われた質疑応答の模様をお届けする。
Q.3Dカメラをどういったシーンで使うと想定しているか。また、古森社長自身はどういったものを撮影したいか。
A.私自身は孫の写真や風景を立体で撮ってみた。既存のカメラとは臨場感、立体感が違うので、使っていただくとユーザーの方々には製品が本当に素晴らしいものであることが分かってもらえるだろう。
Q.御社は以前デジカメ事業について「背水の陣」と言っていたが、既存の経営資源に集中するのではなくエッジの効いた3Dデジカメに力を注いだ理由を教えて欲しい。
A.優れた品質の製品や独自の製品で世の中に貢献するというのが当社の理念。その理念の下に、デジカメ分野では時代をリードする製品を開発していく義務があると思っているし、それで充分やっていけると思っている。また、サプライチェーンでも非常に進展があり手応えを感じている。
Q.今後の3Dデジカメの普及の仕方について教えて欲しい。一般の消費者にとって3Dはまだ身近ではないと思う。日本ビクターとの連携という話もあったが、他社との連携といった横のつながりの強化は考えているのか。
A.基本的には本年を3Dの幕開けと位置付けて、今後3Dをデファクトスタンダード化していくというのが基本姿勢だ。通常の家庭のテレビなどでも3Dが楽しめるように、他社と提携するなどで3Dを全世界に広げていきたい。
関連リンク
- ジャンルデジタルスチルカメラ/静止画編集
- ブランドFUJIFILM
- 型番FinePix REAL 3D W1
- 発売日2009年8月8日
- 価格¥OPEN(予想実売価格 60,000円前後)
●有効画素数:1,000万画素 ●撮像素子:1/2.3型 CCD×2 ●記録メディア:内蔵メモリー、SD/SDHCメモリーカード ●レンズ:フジノン光学式3倍ズームレンズ ●電源:充電式バッテリー ●本体外形寸法:123.6W×68.0H×25.6Dmm(突起部含まず) ●本体質量:約300g(付属バッテリー、メモリーカード含む)
- ジャンルその他
- ブランドFUJIFILM
- 型番FinePix REAL 3D V1
- 発売日2009年8月8日
- 価格¥OPEN(予想実売価格 50,000円前後)
●画面サイズ:8.0V型ワイドTFT液晶 ●解像度:800×600(3D時→400×600×2チャンネル) ●輝度:250カンデラ ●再生可能メディア:SD/SDHCカード/xD-ピクチャーカード ●再生可能フォーマット:JPEG/MPファイル/AVI/3D-AVI ●消費電力:約15W(3D動作時) ●外形寸法:216.0W×162.0H×30.9Dmm(突起部/スタンド含まず) ●質量:約630g(スタンド含む)