搭載第一弾カースピーカー「TS-STH1000」登場
パイオニア、超薄型&高音質スピーカーを実現する新技術「HVT方式」の説明会を開催
パイオニア(株)は、先日発表した薄型&高音質のスピーカーを実現する新技術「HVT方式」の説明と、本技術を採用した製品の試聴を行う記者説明会を都内で開催した。
■“革新的なスピーカー技術”「HVT方式」とは
「HVT方式」とは、振動板の両サイドに配置したボイスコイルの水平方向の振動を、新開発の「リンク機構」を介して垂直方向の振動に変換することで、薄型・軽量化・迫力ある音再生を可能にする技術。東北パイオニア(株)が開発した。
「子供が読んでいる“飛び出す絵本”を何気なく見た瞬間、閃きが走った」と語るのは、本技術の開発リーダーである東北パイオニア(株)スピーカー事業部 第1技術部 設計1課の小林博之氏。「企画のほうから”インテリアと調和し邪魔にならない音響システムができないか”という話があり様々な検討をしていたのだが、飛び出す絵本を見て『折りたためば薄くなるんだ!』と気付いた」のだという。
HVT方式は「Horizontal-Vertical Transforming」の略で、「水平の動きを垂直に変換して動作するのが特徴だ。通常のダイナミック型スピーカーは、ボイスコイルを前後に駆動させ、振動板を前後に振動させるしくみ。一方HVT方式では、ボイスコイルを水平に動かし、その動きを垂直に変換して振動板を振動させる。これは「スコット・ラッセルのリンク機構」を採用したものだという。水平に駆動させるため、最大振幅を確保するのに必要な筐体を薄くすることができ、薄型化が可能。また振幅を制限する必要がないので、低域の再生能力を確保することも可能とのこと。
「通常のダイナミック型スピーカー構造のまま薄型化を行うと、音が歪んでしまうという問題があった。しかしHVT方式なら、薄いキャビネットのなかでもボイスコイルを自由に動かせるため、豊かな音再生が可能だ。さらに駆動力方向と振幅方向が直角(通常スピーカーは180度)のため不要振動が少なく、音質の劣化も抑制できる」と、小林氏はそのメリットを説明する。現在30件以上の特許出願中だという。
HTV方式には、駆動系と振動板の関係によって4つの駆動方式があるが(下図参照)、HVT方式採用製品第一号となった車載用サテライトスピーカー「TS-STH1000」(関連ニュース)は、駆動力が大きく低振動で超薄型化が可能な方式を採用している。
■HVT方式のスピーカーユニットを動画でチェック
HVT方式のしくみを模型で解説
HVT方式のスピーカーユニットが駆動しているところ。振動の大きさを実感して欲しい
■HVT方式採用製品第一弾「TS-STH1000」
「TS-STH1000」は、新開発の57mm×75mm(φ87mm相当)の3層構造平面振動板を採用したHVT方式のウーファーを搭載。リンク機構部には2層の特殊ポリマーを採用し、伝達ロスを抑え高い耐久性を実現するという。2ギャップ2ボイスコイル構造の磁気回路を振動板の両側に2組設置している。
トゥイーター部は新開発の3.3cmソフトドームダイヤフラムを採用。独自ホーン形状のウェーブガイドにより、乗車位置に関わらず最適な音場を実現するという。
また設置は、新開発の取付金具により固定フックにカチリと合わせこむだけで可能と簡単だ。
企画を担当したカー市販事業部 市販企画部 AV企画部 企画2課の松田完一氏は「後付の市販スピーカーは、取り付けるとどうしても出っ張りが気になってしまう。スッキリと車内に溶け込むスピーカーが作れないかと数年前から研究していた」と説明。とくに近年人気が高まっている軽自動車や小型車などでは、リアスピーカーがなかったり、車内が狭いため市販スピーカーを設置できなかったりする場合があったのだという。
「サテライトスピーカーと言えば従来はぶら下げて設置するものが多かったが、TS-STH1000は薄型のため設置の自由度が高い。従来では対応できなかった、ミニバンタイプのCピラーへも設置できる。自由に設置場所を選べるため、好みの音を再生するためにも役立つ」と語った。
なおTS-STH1000は現在、天童工場でひとつひとつ手作りされているという。
■試作機も多数登場。さまざまな製品に展開が可能
説明会には駆動方式の違うHVT方式スピーカーの試作機が登場し、試聴を行うことができた。
ひとつは、両面駆動無指向性でダブルモーター搭載の薄型スピーカー。無指向性のため再生中に本体を動かしても聞こえる音は変わらない。店舗用スピーカーや車載用などでの展開が想定されている。
もうひとつは増設も可能な厚さ25mmの2ウェイスピーカー。最大4ユニットまで組み合わせることができる。
もうひとつは小型・薄型さを活かしたデスクトップ用スピーカー。こちらも両面駆動無指向性だ。スペースを取らず設置することができる。個人的には、机の上はどうしてもモノで埋もれがちなので、薄さを活かして壁に掛けて使用するなど新しい使い方ができれば面白いと感じた。
同社説明員によれば「スピーカーのサイズや薄さは自由自在。用途によってさらに薄型化もできる」とのこと。上記の他にも、薄型テレビ内蔵スピーカー、デスクトップスピーカーなどさまざまな展開が可能だという。例えばiPod用のポータブルスピーカーなどができれば便利なのではないだろうか。
■革新的技術を活かし21世紀にふさわしい製品の提供めざす
「HTV方式は、これまでのスピーカーというものを刷新する画期的な技術」と語るのは、パイオニア(株)執行役員でカー市販事業部長の齋藤春光氏。「特に新興国を中心に、車は小型車中心へシフトしている。小型・薄型・軽量で設置場所を選ばないスピーカーは、これからの車社会にぴったりだと言える。パイオニアはこれまでも、カーオーディオやGPS搭載カーナビなど市場を創造する画期的な製品を多数投入してきた。これからもより豊かなカーライフを実現する、21世紀にふさわしい製品を提供していきたい」と意気込みを述べた。
■“革新的なスピーカー技術”「HVT方式」とは
「HVT方式」とは、振動板の両サイドに配置したボイスコイルの水平方向の振動を、新開発の「リンク機構」を介して垂直方向の振動に変換することで、薄型・軽量化・迫力ある音再生を可能にする技術。東北パイオニア(株)が開発した。
「子供が読んでいる“飛び出す絵本”を何気なく見た瞬間、閃きが走った」と語るのは、本技術の開発リーダーである東北パイオニア(株)スピーカー事業部 第1技術部 設計1課の小林博之氏。「企画のほうから”インテリアと調和し邪魔にならない音響システムができないか”という話があり様々な検討をしていたのだが、飛び出す絵本を見て『折りたためば薄くなるんだ!』と気付いた」のだという。
HVT方式は「Horizontal-Vertical Transforming」の略で、「水平の動きを垂直に変換して動作するのが特徴だ。通常のダイナミック型スピーカーは、ボイスコイルを前後に駆動させ、振動板を前後に振動させるしくみ。一方HVT方式では、ボイスコイルを水平に動かし、その動きを垂直に変換して振動板を振動させる。これは「スコット・ラッセルのリンク機構」を採用したものだという。水平に駆動させるため、最大振幅を確保するのに必要な筐体を薄くすることができ、薄型化が可能。また振幅を制限する必要がないので、低域の再生能力を確保することも可能とのこと。
「通常のダイナミック型スピーカー構造のまま薄型化を行うと、音が歪んでしまうという問題があった。しかしHVT方式なら、薄いキャビネットのなかでもボイスコイルを自由に動かせるため、豊かな音再生が可能だ。さらに駆動力方向と振幅方向が直角(通常スピーカーは180度)のため不要振動が少なく、音質の劣化も抑制できる」と、小林氏はそのメリットを説明する。現在30件以上の特許出願中だという。
HTV方式には、駆動系と振動板の関係によって4つの駆動方式があるが(下図参照)、HVT方式採用製品第一号となった車載用サテライトスピーカー「TS-STH1000」(関連ニュース)は、駆動力が大きく低振動で超薄型化が可能な方式を採用している。
■HVT方式のスピーカーユニットを動画でチェック
■HVT方式採用製品第一弾「TS-STH1000」
「TS-STH1000」は、新開発の57mm×75mm(φ87mm相当)の3層構造平面振動板を採用したHVT方式のウーファーを搭載。リンク機構部には2層の特殊ポリマーを採用し、伝達ロスを抑え高い耐久性を実現するという。2ギャップ2ボイスコイル構造の磁気回路を振動板の両側に2組設置している。
トゥイーター部は新開発の3.3cmソフトドームダイヤフラムを採用。独自ホーン形状のウェーブガイドにより、乗車位置に関わらず最適な音場を実現するという。
また設置は、新開発の取付金具により固定フックにカチリと合わせこむだけで可能と簡単だ。
企画を担当したカー市販事業部 市販企画部 AV企画部 企画2課の松田完一氏は「後付の市販スピーカーは、取り付けるとどうしても出っ張りが気になってしまう。スッキリと車内に溶け込むスピーカーが作れないかと数年前から研究していた」と説明。とくに近年人気が高まっている軽自動車や小型車などでは、リアスピーカーがなかったり、車内が狭いため市販スピーカーを設置できなかったりする場合があったのだという。
「サテライトスピーカーと言えば従来はぶら下げて設置するものが多かったが、TS-STH1000は薄型のため設置の自由度が高い。従来では対応できなかった、ミニバンタイプのCピラーへも設置できる。自由に設置場所を選べるため、好みの音を再生するためにも役立つ」と語った。
なおTS-STH1000は現在、天童工場でひとつひとつ手作りされているという。
■試作機も多数登場。さまざまな製品に展開が可能
説明会には駆動方式の違うHVT方式スピーカーの試作機が登場し、試聴を行うことができた。
ひとつは、両面駆動無指向性でダブルモーター搭載の薄型スピーカー。無指向性のため再生中に本体を動かしても聞こえる音は変わらない。店舗用スピーカーや車載用などでの展開が想定されている。
もうひとつは増設も可能な厚さ25mmの2ウェイスピーカー。最大4ユニットまで組み合わせることができる。
もうひとつは小型・薄型さを活かしたデスクトップ用スピーカー。こちらも両面駆動無指向性だ。スペースを取らず設置することができる。個人的には、机の上はどうしてもモノで埋もれがちなので、薄さを活かして壁に掛けて使用するなど新しい使い方ができれば面白いと感じた。
同社説明員によれば「スピーカーのサイズや薄さは自由自在。用途によってさらに薄型化もできる」とのこと。上記の他にも、薄型テレビ内蔵スピーカー、デスクトップスピーカーなどさまざまな展開が可能だという。例えばiPod用のポータブルスピーカーなどができれば便利なのではないだろうか。
■革新的技術を活かし21世紀にふさわしい製品の提供めざす
「HTV方式は、これまでのスピーカーというものを刷新する画期的な技術」と語るのは、パイオニア(株)執行役員でカー市販事業部長の齋藤春光氏。「特に新興国を中心に、車は小型車中心へシフトしている。小型・薄型・軽量で設置場所を選ばないスピーカーは、これからの車社会にぴったりだと言える。パイオニアはこれまでも、カーオーディオやGPS搭載カーナビなど市場を創造する画期的な製品を多数投入してきた。これからもより豊かなカーライフを実現する、21世紀にふさわしい製品を提供していきたい」と意気込みを述べた。