月刊「AVレビュー」連動企画
【短期集中連載】コレが我が社の4K/8K技術(2)スカパーJSAT「4K映像のライブ伝送」
スカパーJSATは、昨年10月(関連ニュース)と今年3月(関連ニュース)の2回、自社の衛星を使い、Jリーグを生中継する4K映像伝送実験を行った。映画や編集済みの番組を流すのではなく、録り直しの効かない生中継を2時間近くに渡り、しかも「4K/60p」で伝送した試みは、恐らく世界初だったのではないか。「4K放送のスタートはCSが有力」との噂もある中、彼らは4Kをどう捉えているのか? 実験の詳細と共に、今後の展開を聞いた。
■4K/60p映像には新世界を切り開くパワーはあるか?
折原 昨年10月、そして今年3月と4K映像のライブ伝送実験を行いましたね。この実験にはどのような目的があったのでしょうか?
今井 我々が確認したかったのは、4K/60p(59.94p)という未知のフォーマットが、HDとは異なる、新しい放送の世界を切り開くパワーを持っているのか否か? ということでした。今見ることができる4Kは、映画やゲーム、もしくはアップコンされた映像しかありません。つまり4K/60pの映像をほとんどの方が見たことが無い。加えてフォーマットの議論ばかりが先行して、実際に4Kで何ができるのか、どのような画が撮れるのか、という視点で番組製作に挑戦するところも無い。こうした実情を歯痒く感じていました。普段放送しているサッカーを素材にして、4K/60pで番組を作るとどうなるか? これが我々が行った実験の出発点でした。
折原 4K番組の製作ではどのような点を重視したのでしょう?
今井 伝送実験の公開に参加した方は「4Kの解像度」を期待して足を運んでいるわけです。その期待を裏切らぬよう、解像感を引き出す機材の選定、選手やサポーター、スタジアムの様子を臨場感豊かに表現するための構図など、視聴者に4Kのポテンシャルが体感できるよう画質面を重視しました。
折原 4K/60pの映像を体感した方々の反響はいかがでしたか?
今井 「期待以上だった」と言う声を多く頂きました。4Kであれば、スタジアムの群衆一人一人がクッキリと映りますし、ピッチ上の選手の表情も手に取るように分かります。また60p撮影による奥行き感・空気感も、HDとは全く異なるものだということが伝わったのではないかと思います。
■4K画質を徹底的に追及しカメラ・レンズの選定を行った
折原 先ほど「画質面を重視した」とありましたが、どのような撮影をしたのか具体的に教えて下さい。
今井 昨年10月の伝送実験では、周辺の解像度をキープさせるためにズームレンズのテレ端・ワイド端を使わないようにしました。また絞りも画質と使い勝手のバランスで決めました。カメラのセンサーサイズが大きいこともあり、4Kはピント合わせが非常にシビアです。レンズを絞ればピントも合わせ易くなるのですが、絞り過ぎるとコントラストが低下してしまいます。それから色のキレを考慮して、今回の実験では色深度を4:2:2に設定しています。レンズ・カメラを選定するだけでなく、細かな調整を重ねて4Kの解像感を追及しました。
折原 撮影にはキヤノンのEOS-C500を使っていますね。採用された理由は何ですか?
今井 まずはコンパクトなサイズであるということです。それから今回の中継の場合、4K信号をリアルタイムで出力する必要がありますが、昨年の実験段階では、EOS-C500しか対応していませんでした。またキヤノンレンズの性能も本機を選んだ理由です。
折原 使用したレンズはEFシネマレンズですか?
今井 メインに使ったのはEFシネマレンズです。中継車内部の撮影には一眼用のEFレンズも使いました。今ある4Kカメラ用のレンズは映画撮影を前提に作られています。ボケ味が美しく非常に柔らかい描写なのですが、放送用で求められる特性とは異なります。今後は4K放送用のレンズも登場すると思いますが、現段階ではEFレンズの解像感が優れていました。4Kで撮ると、レンズの性能や特徴が顕著に現れます。
■4K/60p映像には新世界を切り開くパワーはあるか?
折原 昨年10月、そして今年3月と4K映像のライブ伝送実験を行いましたね。この実験にはどのような目的があったのでしょうか?
今井 我々が確認したかったのは、4K/60p(59.94p)という未知のフォーマットが、HDとは異なる、新しい放送の世界を切り開くパワーを持っているのか否か? ということでした。今見ることができる4Kは、映画やゲーム、もしくはアップコンされた映像しかありません。つまり4K/60pの映像をほとんどの方が見たことが無い。加えてフォーマットの議論ばかりが先行して、実際に4Kで何ができるのか、どのような画が撮れるのか、という視点で番組製作に挑戦するところも無い。こうした実情を歯痒く感じていました。普段放送しているサッカーを素材にして、4K/60pで番組を作るとどうなるか? これが我々が行った実験の出発点でした。
折原 4K番組の製作ではどのような点を重視したのでしょう?
今井 伝送実験の公開に参加した方は「4Kの解像度」を期待して足を運んでいるわけです。その期待を裏切らぬよう、解像感を引き出す機材の選定、選手やサポーター、スタジアムの様子を臨場感豊かに表現するための構図など、視聴者に4Kのポテンシャルが体感できるよう画質面を重視しました。
折原 4K/60pの映像を体感した方々の反響はいかがでしたか?
今井 「期待以上だった」と言う声を多く頂きました。4Kであれば、スタジアムの群衆一人一人がクッキリと映りますし、ピッチ上の選手の表情も手に取るように分かります。また60p撮影による奥行き感・空気感も、HDとは全く異なるものだということが伝わったのではないかと思います。
■4K画質を徹底的に追及しカメラ・レンズの選定を行った
折原 先ほど「画質面を重視した」とありましたが、どのような撮影をしたのか具体的に教えて下さい。
今井 昨年10月の伝送実験では、周辺の解像度をキープさせるためにズームレンズのテレ端・ワイド端を使わないようにしました。また絞りも画質と使い勝手のバランスで決めました。カメラのセンサーサイズが大きいこともあり、4Kはピント合わせが非常にシビアです。レンズを絞ればピントも合わせ易くなるのですが、絞り過ぎるとコントラストが低下してしまいます。それから色のキレを考慮して、今回の実験では色深度を4:2:2に設定しています。レンズ・カメラを選定するだけでなく、細かな調整を重ねて4Kの解像感を追及しました。
折原 撮影にはキヤノンのEOS-C500を使っていますね。採用された理由は何ですか?
今井 まずはコンパクトなサイズであるということです。それから今回の中継の場合、4K信号をリアルタイムで出力する必要がありますが、昨年の実験段階では、EOS-C500しか対応していませんでした。またキヤノンレンズの性能も本機を選んだ理由です。
折原 使用したレンズはEFシネマレンズですか?
今井 メインに使ったのはEFシネマレンズです。中継車内部の撮影には一眼用のEFレンズも使いました。今ある4Kカメラ用のレンズは映画撮影を前提に作られています。ボケ味が美しく非常に柔らかい描写なのですが、放送用で求められる特性とは異なります。今後は4K放送用のレンズも登場すると思いますが、現段階ではEFレンズの解像感が優れていました。4Kで撮ると、レンズの性能や特徴が顕著に現れます。
本記事は月刊「AVレビュー」2013年5月号(4月17日発売)の特集「4Kのすべて」からの抄録です。誌面では、この記事の倍のインタビュー全文がお読み頂けます。「続きが読みたい!」「特集をすべて読みたい!」という方、「AVレビュー」のご購入はこちらからどうぞ。 |