シャープ、2Kパネルで4K相当表示する“AQUOSクアトロン プロ”XL10

■フルHDテレビを新次元へ高める“AQUOSクアトロン プロ”

本日行われたシャープの新製品記者発表会では、同社デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 事業部長 戸祭正信氏、同部AVシステム開発センター 所長 吉田育弘氏、同部液晶デジタルシステム第一事業部 第一商品企画部 部長 指出実氏らが登壇し、XL10シリーズの製品概要および開発思想について説明を行った。

戸祭氏は、2013年9月度の薄型テレビ国内出荷台数が単月で26ヶ月ぶりに前年同期を上回ったことを挙げ、「アナログ停波以降落ち込みが続いたテレビ市場だが、ここに来て需要の回復が見込まれる。また、放送インフラの動向は4Kや8Kなど高精細映像の時代へ向かっている。シャープでは独自の液晶技術で映像リアリティを高め、これからのテレビ需要に応えていく」と述べた。

今回発表された AQUOSクアトロン プロ 5機種については、大画面への買い替え需要に合わせたものと説明。テレビの買い替えサイクルが近年では平均7〜8年になってきていることから、約8年前に売れ筋だったサイズの42型〜32型から、60型〜46型へサイズアップすると同時に、さらに以前よりも高精細な映像を楽しめるようにラインナップしたという。

戸祭氏は、「一般的には、同じ画素数でサイズが2倍のテレビに買い替えたら、視距離は変わらないことが多いので、画面が2倍荒く観えるようになる。しかしAQUOSクアトロン プロなら、4K相当の高精細表示を可能とする新技術を搭載したことで、同じ画素数のまま画面サイズが大きくなっても、高精細表示で楽しめる」とアピール。「AQUOSクアトロン プロを、フルHDテレビを新次元へ高める製品として展開していきたい」と語った。

吉田氏は、AQUOSクアトロン プロを「2010年の時点で既に開発を考えていた製品」と説明。4原色技術を採用してきた“AQUOSクアトロン”従来モデルから、サブピクセルの並び順は赤→緑→青→黄を採用しており、「これは、2つの輝度ピークを確保することで高精細表示を実現するAQUOSクアトロン プロの仕組みを当初から想定したものだった」と語った。さらに指出氏は、「AQUOSクアトロン プロは、ハイビジョンの描写力を高める独自技術を結集した製品だ」とアピールした。

なお、製品の展開について戸祭氏は、「ユーザーが4K対応AQUOSと混同しないように、“4K相当”であって4Kテレビではないということをしっかりと示し、フルHDを綺麗に楽しめるフルスペックハイビジョンテレビであることを訴求したい」という。また「モスアイパネルの搭載による映り込みの低減や、4原色技術による色域の拡大、新技術による高精細感などを強みに他社との差別化を図りたい」と語った。

4K対応AQUOSとの住み分けについては、「仕様や価格帯が異なるので、ユーザーの選択肢を広げるモデルとなる。60型で比較すると、4Kモデルは発売時に店頭価格が60万円前後だったが、AQUOSクアトロン プロは35万円前後が想定される。各サイズで30万円前後の差がつくことで、製品としての住み分けになっている」と説明した。

そのほか、記者発表会でクアトロン技術を採用した4K対応テレビの開発について質問を受けた戸祭氏は「今後、商品化を検討していけたら」と回答した。