フリーフォームディスプレイやMEMS液晶の特徴を説明
新ディスプレイで液晶は“フレームレス”へ − シャープが中小型液晶の説明会開催
このディスプレイの開発にあたっては、2年ほど前から議論を続けてきた狭額縁化への取り組みが原点だったとのことで、伊藤氏は「ディスプレイの基本性能が大切なのは言うまでもないが、技術競争はいずれ飽和する。そこでデザイン軸に目を向けた」とコメント。「小型であればCGS/LPTSである程度の狭額縁化は可能だが、中型以上となると技術的に難しい。そこをどうするかかなり議論したのだが、ある日、エンジニアがコロンブスのタマゴ的な発想で、画面に回路を散りばめるアイディアを出してきた。発想の転換でこの技術が可能になった」と述べる。
そして、「左右の額縁に回路が必要ないなら額縁を切り取ってもよいのではないかと考えた」と言葉を続け、このようにして自由な形状のフリーフォームディスプレイが誕生したのだと説明した。なお、「色々なお客様に提案しているが、我々が考えていた以上にデザイナーさんに好評」とも述べ、市場からの反応も上々であることも紹介した。
フリーフォームディスプレイにIGZOを採用した点について、説明会に出席したメディアから「アモルファスシリコンでは実現できないのか」といった質問も出たが、これについては「できるかどうかということであれば、答えはイエス。ドライバを作る技術があれば可能だ」と回答。
一方で「アモルファスだとどうしてもトランジスタが大きくなって開口率がかなり犠牲になる。IGZOではそこのインパクトが最小限にできる。大きなディスプレイはIGZOのほうが得意ということもあり、IGZOが最適だと思っている」と続けた。
なお、フリーフォームディスプレイの生産コストについては「パネルを作るところは大きく変わらない。変わった形に切るなどといった部分の問題かと思う。歩留まりについても、これから詰めていく段階だ」とした。
■MEMSディスプレイは「新たな市場を開拓するもの」
同社ディスプレイデバイス開発本部 開発戦略統轄の今井明氏は、MEMSディスプレイについても言及し、「従来のディスプレイでは達成できない『超低消費電力』『耐環境性能』『高色純度』によって新たなディスプレイ市場を開拓するもの」だとコメントした。
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