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パナソニックはFireFox、ソニー&シャープはAndroid

【CES】'15年スマートTV “3つのキーワード”、Android・Firefox・Netflixを折原一也が読み解く

公開日 2015/01/13 13:43 折原一也
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■「Firefox OS」の採用でHTML5アプリベースとなるパナソニックのVIERA

まず、昨年のCESで初披露されたFirefox OS搭載のテレビを、2015年発売モデルとして展示していたのがパナソニックだ。昨年まで展開していた「マイホームスクリーン」のUIも一新し、今年はFirefox OSのプラットフォームで各機能を再構築している。

パナソニックはプレスカンファレンスで大々的に「Firefox OS」の採用を発表

デモ機で動作していた「Firefox OS」のUI

VIERAによるFirefox OSの採用については、前述の池田氏によると「オープン性のあるHTML5対応のプラットフォームとして採用しました」とのこと。池田氏は「Android OSの場合、ユーザーが使い始める時にはGoogleのアカウントが必要で、スペックも決まった形になってしまうので自由度がなくなります。Firefox OSは縛りがなく自由度が高く、Googleアカウント以外のIDを利用できる仕様にすることもできます」と、Firefox OSを採用することのメリットを語った。

起動直後の「Firefox OS」の画面。TV、アプリ、Netflix、外部入力が対等のレベルで並ぶ

なお開発環境については、Mozillaが現在公開しているPC用・スマホ用に続いて、今後テレビ用のものが公開される予定だという。現時点では、Netflixなどのメジャーアプリもローカルコンテンツが必要なためパナソニックが移植を手がけているが、パナソニックAVCネットワーク社 次世代プラットフォーム開発センター クラウドサービス開発グループ グループマネージャー 井手剛氏によれば「私たちはアプリ開発に関しては、Firefox OSのアプリというよりも、HTML5のアプリとしていくことを考えています。PCで表示するHTML5によるAppマーケットが、そのままVIERAで利用できるような環境を目指しています」とのこと。アプリ開発もオープンにしていく姿勢だ。

なお、現時点ではチャンネル操作のAPIは非公開になっているが、Mozillaではそういったベーシックな機能のAPIも、開発者向けにオープンにしていく方針を持っている。また、VIERAの2015年モデルでは、番組表の表示や録画機能といったテレビとしての基本機能までHTML5ベースとなり、テレビに組み込まれるソフトウェアが一新される形になった。HTML5ベースとなって動作レスポンスがどうなるのか心配になる方もいるかもしれないが、CESで展示されていたデモ機では十分高速に動作していた。

■Googleのエコシステムに乗ることを選んだソニー、シャープ

さて、パナソニックが同社テレビにFireFox OSを採用した一方で、ソニーとシャープはそれぞれのテレビ製品にAndroid OSの採用を決めた。ソニーのAndroid TV採用理由については、ブラビアについて紹介した記事(関連ニュース)と、ソニービジュアルプロダクツ社長 今村氏へのインタビュー(関連ニュース)で既にお届けしているが、やはり念頭にあるのはスマートフォン/タブレットと連携した操作体験をテレビに導入することだ。

ソニーの公開した「Android TV」のUI

シャープの「Android TV」もデザインは基本的には同じ

Chromecastの発売など、Googleがスマホ/タブレットから利用可能なものとして作り上げたテレビとの連携システム、およびアプリ開発も含めたエコシステムに乗ることは、これだけAndroidスマートフォンが普及していることを考えれば現実的な選択肢とも言える。AndroidにChromecastの機能が組み込まれていけば、オーディオ製品のAirPlay機能と同じように、テレビもスマートフォンのエコシステムの一部として進化していけるという狙いもあるだろう。

日本においては、スマートデバイスとしてiPhone/iPadが高いシェアを誇っているという部分にネックがあるにせよ、国内でAndroid TV製品が発売される際には、比較的ライトなスマートテレビユーザーにとっても使いやすい環境が提供されるのではないだろうか。

また、日本に展開されるかどうは不透明だが、サムスンおよびLGの韓国勢もスマートテレビのプラットフォームを新たに発表していた。サムスンは、同社がスマートフォン用の独自OSとしてNTTドコモと共同開発していた「Tizen OS」を、薄型テレビへも採用するとアナウンス。同社は映像配信サービスの「MILK Video」についてもスマートテレビへの展開を発表しており、高いシェアを持つ同社のスマートフォン“GALAXYシリーズ”とサービスプラットフォーム統合を目指す方向へ向かっている。LGは、「WebOS 2.0」を採用。昨年初めて採用モデルが登場した「WebOS」を順当にアップデートしたもので、今回のCESではテレビを試聴しながらメニュー操作ができる動作デモを中心にアピールしていた。

サムスンは自社OS「Tizen」のスマートTVへの採用を発表

同社のスマートTV機能「SmartHUB」も「Tizen」ベースでリニューアル


LGによる「WebOS 2.0」は高速動作をアピール

LGはプライベートブースで同社の白物家電との連携もデモ



2015 International CESにおける「スマートテレビ」を総括すると、各社ともプラットフォームの一大転換を行っていた。特にパナソニック、ソニー、シャープの日本メーカーは、ハードウェア面における高画質・高音質をそれぞれに追求しつつ、スマート機能についてはオープンプラットフォームに委ねるという姿勢が鮮明となった。日本国内におけるスマートテレビ機能のブレイクは、映像配信サービスの普及待ちといった感もあるが、2015年は少なくともより便利に、より使いやすく進化した形での登場が期待できる。

(折原一也)

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