折原一也がレポート
<CES>HDRテレビが続々登場! CES 2016で見た高画質化技術を総まとめ
●ドルビービジョンにも対応したLGの4K 有機EL
同じく注目モデルとして挙げたいのが、LGが発表した有機ELテレビ「LG SIGNATURE」ことG6シリーズ、E6シリーズ。77型と65型を展開する。実は両シリーズのパネルは同じで、デザインやスピーカーと、パネル表面の仕上げの違いのみになっている。なおパネルは湾曲型ではなくフラットタイプを採用している。
LGの有機ELテレビ最大の注目ポイントは、HDRの方式として「ドルビービジョン」(関連ニュース)に対応すること。「ULTRA HD プレミアム」、そして「UltraHD Blu-ray」の必須仕様を上回る、12bit映像に対応することは、対応コンテンツの採用の際には大きな画質アドバンテージになる可能性が高い。
Ultra HD Blu-rayではオプション採用になったが、Netflixがドルビービジョンで配信を行うことが発表済み。会場でも『デアデビル』『マルコポーロ』など日本でも配信中の作品によるデモが行われた。
「ULTRA HD プレミアム」のOLED向けスペックと呼ぶべき「最高輝度540nitsかつ黒輝度0.0005nits以下」の基準を満たした、ピーク輝度こそ押さえ気味だが黒の沈みは素晴らしく、昨年までのLG製有機ELテレビの画質イメージを覆すほどの出来映えだった。
価格は65型モデルで6000ドル程度を予定しており、LGジャパンによると日本での発売も考えているとのこと。画質重視のユーザーにとって最注目モデルの一つであることは間違いない。
米国でトップシェアを誇るサムスンは、「SUHD TV」ブランドで液晶テレビ「KS9500」を展開している。主なアピールポイントは「Quantum Dot Display Technology」(量子ドット技術)採用による広色域と1,000nitという高輝度の実現で、LEDエッジライトながら「ULTRA HD プレミアム」にも準拠している。
CES会場各所で行われていたデモを見ると、スペック上は1,000nitsの基準を満たしているはずなのだが、表示クオリティとしてはコントラスト感など、あと一歩の印象。ブースのデモを見ても、他社ほどHDRには積極的ではないように見える。
量子ドットを前面に押し出しているところなどは、他社より若干遅れているようにも思えるが(日本メーカーは過去に採用していたが、既に他技術へ移行済み)、トップブランドの余裕なのだろう。