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HI-FIスピーカーについても言及

<CES>有機EL/UHD BD/完全ワイヤレスイヤホンの国内展開はどうなる?ソニーの事業トップ・高木氏が語る

公開日 2017/01/08 11:34 山本 敦
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サムスンQLEDよりブラビアの総合力が上手

高木氏からはテレビ技術の展望に関する興味深い発言もあった。記者から「サムスンのQLED(量子ドット)技術をどう思うか」と質問された時のことだ。高木氏は「ソニーはテレビメーカーなので、お客様にベストな体験をご提供するためなら良いデバイスをフェアに選ぶ立場。今後使えるデバイスになれば、ブラビアへの採用も検討する余地がある」と返したのだ。ただし、「ブースでQLEDを拝見した限りでは、今はまだ候補に挙がるレベルではないと判断した。画質とコストの両方でという意味だ」と率直な印象を語った。つまり「ブラビアの総合力が上手」という見解を改めて示したというわけだ。

2018年の実用放送開始に向けて「8Kテレビ」への取り組みを訊ねる向きもあった。高木氏は、積極的に開発を進めているとスタンスを示した。「いつやるか?」という質問に対しては、「他社に比べて早いか、遅いかということは全く気にしていない。あくまでユーザー本位の立場で、私たちがどうニーズに対して的確にお答えできるかが事業戦略というものだと思う」と考え方を強調した。


日本市場へのUHD BDプレーヤー導入は「ニーズに合わせて検討」

今回のCESで、ソニーは初のUltra HD BDプレーヤー「UBP-X800」(関連ニュース)を展示した。高木氏は日本市場への「UHD BD再生機」の導入戦略について次のように語っている。

ソニー初のUltra HD BDプレーヤー「UBP-X800」

「ニーズに合わせて検討したい。日本ではプレーヤーよりもレコーダーの需要がマジョリティ。UBP-X800をそのまま出すか、出さないかということも事業戦略の肝になる部分なので今は言えない。UHD BD自体が“プレミアム”なものなので、例えば北米で発表しているUBP-X1000ESのような上位機の方が、特に画質・音質にこだわる日本のファンにフィットするのではという意見があることも承知している。全体を含めてニーズをみながら検討していく」


ヘッドホンは「ハイレゾのプレミアムモデルが軸」。
HiFiスピーカーは「真摯に開発進める」


ヘッドホンについては、同社がサウンドバーとワイヤレススピーカーの3つと並べて「オーディオの注力分野」に位置づけるカテゴリーだ。高木氏は「中でもヘッドホンが最も重要」としている。昨年のCESでもラインナップを増やし、華々しく展示した「h.ear」シリーズが北米ではあまり響かなかったのではという記者の指摘を受け、高木氏はこれからソニーのヘッドホンが向かう方向性は「ハイレゾのプレミアムモデルが軸」との見解を示した。

その上で、冒頭の挨拶でふれた「MDR-1000X」が市場から高評価を受けたことを糧に、ラインナップの拡充に意欲を見せた。CESの会場でプロトタイプとしてみせた「完全ワイヤレスイヤホン」や「ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン」は、MDR-1000Xの血を引き継ぐプレミアムシリーズに位置づけられ、開発が進むことになりそうだ。「横串につなぐソニーの技術は高性能、かつオーディオクオリティのデジタルノイズキャンセリング。商品化はそれほど遠くないタイミングで実現“しなければならない”と思っている」との見解を語った。

参考出展された完全ワイヤレスイヤホン(左)とネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン(右)

最後にパッシブタイプの新しいHiFiスピーカーがソニーから発表されていないのではという質問にも高木氏は次のように答えている。「ソニーがオーディオにおいて、プレミアム戦略を展開するのであれば、HiFiスピーカーがミッシングピースになっている状態が良くないことは認識している。ただ、スピーカーの技術はオーディオのエッセンシャルな部分でありながら、改革のスピードは非常に遅い。独特なノウハウのかたまりだ。重要なカテゴリであることは十分に認識しながら、これからも真摯に開発を続けるつもり。商品戦略的には市場の状況、自社の状況を踏まえて決めていく」。

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