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今後登場予定の新フォーマットにも対応予定

デノン、準フラグシップAVアンプ「AVC-X6500H」。11ch独立基板パワーアンプ搭載、32万円

公開日 2018/08/30 11:00 編集部:小澤貴信
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ブロックコンデンサーについては充放電特性、インピーダンス特性、振動特性がサウンドに直結すると高橋氏。デノンでは、こうした点を追求するためにメーカーと共同開発したカスタムモデルを各モデルに応じて使用している。

AVC-X6500Hでは、AVC-X8500Hと同じΦ50mmのケース(高さはAVC-X8500Hのものより低い)と低ESR(等価直列抵抗)を実現するカスタム・ブロックコンデンサーを採用する。電源容量は15,000μ/73V(AVC-X8500Hは22,000μ/80、AVR-X4500HはV15,000μ/71V)。オーディオ用ACエッチング方式の高倍率箔を用い、さらには内部に固定材を一切用いない設計として音質を追求している。

AVC-X6500Hに搭載されたカスタム・ブロックコンデンサー


こちらは各機種に採用されたブロック・コンデンサーの比較。やはり、いずれもカスタム品を採用


従来からの進化ポイント ー 低域の伝送特性を改善する4つのアプローチ

AVC-X6500Hは、従来のAVR-X6400Hから具体的にはどのような点をブラッシュアップしたのだろうか。高橋氏は「低域の伝送特性の改善」「D/Aコンバーター部の改善」という大きく2つの改善ポイントを挙げ、その詳細を説明してくれた。

プリおよびパワーアンプ部において、低域の伝送特性を改善することは、低域のみならず全帯域にわたる表現力の向上とエネルギッシュな駆動を可能にするとのこと。低域の伝送特性を改善するために、4つのポイントについて、AVC-X8500Hと同等の性能が得られるような対策を行ったのだという。

AVC-X6500Hの音質改善ポイントのまとめ。特に低域特性の改善に大きな力が注がれた

なお、低域の伝送特性が不足していると、例えば矩形波を入力した際に、応答波形が崩れてたわみが出てしまうという。このような状況は低域の応答性が落ちるだけでなく、中高域の再生においても不安定な状況を生み出してしまう。

低域の伝送特性を改善する対策の1つめは、「パワーアンプ帯域幅の拡張」だ。これを実現するために、アンプ入力段のコンデンサー(ELNA社製音質グレード品)の静電容量を従来の47μFから、100μFへとアップさせた。

2つめは「伝送経路の抵抗成分の低減」だ。この点については、ボリュームの出力抵抗を従来の47Ωから0Ωへと改善して、パワーアンプへと接続するようにした。

低域特性を改善するための具体的なアプローチも紹介。部品レベルから大幅な見直しを図っている

3つめは「パワーアンプ用電源の整流回路の高速化」で、整流回路に使う部品を従来のPN接合タイプから、高速ショットキーバリアタイプへと変更した。

4つめは「プリアンプ用電源のコンデンサーの改善」で、該当箇所のコンデンサー(ELNA社製音質グレード品)を従来の10,000μF/16Vから10,000μF/25Vへと向上させた。

高橋氏は、「ここまでの対策を施すとなると『いっそのことDCアンプ化したほうがいいのでは』と思われるかもしれないでしょう」とコメント。しかし、DCアンプ化してなおかつ高い音質を得るためには高品位なサーボが必要になるが、マルチチャンネル・アンプのそれぞれに対して質の高いサーボを用意することは現実的ではなく、結果としてDCアンプ化も現実的ではないと説明していた。

DAC部も改善してDACチップの性能をさらに引き出した

もうひとつの大きな改善は、D/Aコンバーターの性能をより引き出すための改善だ。8ch DAC×2という構成でフラグシップに迫る性能を引き出すべく、DACの周辺回路の設計を最適化した。具体的な改善手法としては、DAC出力のポストフィルターにおける「動作点がA級動作になるように改善」「抵抗成分の可能な限りの低減」「薄膜抵抗の採用」と、電源部における「電源および基準電源コンデンサーの容量/グレードアップ」を挙げた。

大きな音質改善ポイントとしてもうひとつ挙げられたのが、D/Aコンバーター回路の改善だ

DACのポストフィルターについては、ここに用いているオペアンプ定電流負荷をつけることで、従来AB級で動作していたものをA級動作とした。これによりDACの音質をさらに引き出すことが可能になったという。さらに、ポストフィルターの抵抗値を従来の100Ωから47Ωへと引き下げた。この抵抗値引き下げも実現するのが薄膜抵抗の採用で、薄膜抵抗は温度変化による抵抗値のばらつきが小さく、電流起因によるノイズと歪みも低減することが可能になった。

DAC回路周辺においても、やはり大幅な見直しと改善を実施している

DACの電源部の改善については、電源および基準電源コンデンサーの容量を従来の通常品からELNA社製オーディオグレード品に交換。これに伴って静電容量も220μFから470μFへアップさせた。

発表会では、デノンの開発試聴室にてAVC-X6500Hのデモンストレーションも実施。7.2.4ch構成で実際にUHD BDなどの再生を行った。試聴に立ち会ったデノンサウンドマネージャーの山内氏は「毎年アップデートを重ねていますが、AVC-X6500Hは従来モデルから音がさらに緻密になりました。付帯音が減ってシャープネスも増しました。結果として、コンテンツへの冒険心を引き出す、より没頭できる音になったと思います」とそのサウンドを説明していた。

そのほかのAVC-X6500Hのポイント

DSP部は従来モデルを継承。32bitフローティングポイントDSP「SHARKプロセッサー」を4基搭載する。

AVC-X6500Hのデジタル基板。32bit DSPを4基搭載して、最新フォーマットおよび11.2chプロセッシングによる高品位なサラウンド再生に備えている

デノンを代表するアナログ波形再現技術αプロセッシングは、「AL32 Processing Multi Channel」を搭載。マルチチャンネルを含む入力信号を32bit精度に拡張して再生を行う。

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