新開発の茶碗型コントローラー認証実験
重要美術品を8Kで触り倒す。「8Kで文化財『ふれる・まわせる名茶碗』」体験レポート
シャープは、8K技術を活用した文化財鑑賞ソリューションの認証実験として、重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」の8K画像コンテンツを茶碗型コントローラーで操作・鑑賞できる「8Kで文化財『ふれる・まわせる名茶碗』」を、7月29日より東京国立博物館の東洋館にて開催する。
同社は文化財活用センターおよび東京国立博物館と協力し、「8Kで本物に触れる」をテーマに、文化財の新たな鑑賞方法を研究。「シャープ8Kインタラクティブミュージアム」をベースに文化財鑑賞ソリューションを開発している。
本実験は、8Kモニター上の高精細画像を360度好きな角度から鑑賞できるよう新開発された「茶碗型コントローラー」の認証実験として行われるもの。形も重さも実物そっくりに制作されたコントローラーを操作することで、70インチ大型8Kモニターで同館所蔵の重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」の鑑賞や、「志野茶碗 銘 振袖」「青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ば こうはん)」の8K画像との比較ができる。
実験期間は7月29日(水)から8月2日(日)までで、対象はモニターとしてWEBアンケートに協力できる小学生以上の方。体験は10時から16時までの間、30分ごとに2組(1組2名まで)となっており、料金は無料だが、2日前までにオンライン予約フォームから申し込みを行う必要がある。
本実験の開催にあたり、7月28日にメディア向けのプレビューが実施された。その模様をレポートしたい。
■8K技術でヒビの隙間の砂粒までリアルに再現
認証実験の会場は東京国立博物館の東洋館内、1階エントランスに設営。70インチの8Kモニターと茶碗型コントローラーがセットになったコーナーが2つ用意されており、最大で2組まで同時に体験することができる。
モニターの前に立ち、中央の茶碗を持ち上げることで鑑賞体験がスタート。ちなみに茶碗型コントローラーは樹脂製で、ちょうど茶碗の底にあたる部分にセンサーを搭載。形状のみならず重さやバランス、持ったときの感覚なども含め徹底的にリアルに作り込まれたという。
モニターに表示された有楽井戸の高精細8K画像は、手元の茶碗と連動して画面内で回転したり、拡大・縮小されたりするが、「毛穴までクッキリ見える」と評される8Kなだけあって、細かなヒビからそこに詰まった砂粒まで、どれだけ拡大してもリアルな茶碗そのものだ。光の当たり方なども実に自然で、実物を再現すべくこだわって3D画像が作られたことが伺える。
感心して一通り見回していると、画面内の茶碗に「見所マーカー」が登場。マーカーを上手く所定の位置に合わせることで有楽井戸の鑑賞ポイントを教えてくれる。記者は特に茶碗に明るいわけではないのだが、ちょっとしたアトラクション性や、質感などを体験できる“実体”が伴うため、ショーケースの展示品を眺めつつ解説を読むより楽しく学べ、より深く理解できたように思う。
全ての見所をチェックすると、インターバルを兼ねた遊楽井戸の豆知識紹介が行われたのち、志野茶碗 銘 振袖、青磁茶碗 銘 馬蝗絆を含む3つの茶碗が画面に現れる。それぞれキャラクターの違う茶碗をじっくり見比べたり、現実にはまず不可能であろう断面形状の比較などを楽しむことができる。
なお、コーナーには前述の2つの茶碗を再現したレプリカも置かれているが、コントローラー機能はなく、あくまで触り心地を確かめるためのもの。3つとも茶碗型コントローラーにすることも可能だが、どうしても操作が複雑になってしまうため、この形式になったそうだ。
一通り堪能したら、茶碗型コントローラーを台に戻して体験が終了。大井戸茶碗 有楽井戸と志野茶碗 銘 振袖は東京国立博物館の本館に実物が展示されているため、8Kで触ってみた後で見に行くことも可能だ。
■今回のデータを活用した8K技術の今後に期待
冒頭でも述べたとおり、本実験は新開発の「茶碗型コントローラー」の認証実験として行われるもの。残念ながら本記事執筆時点で予約は全て埋まっているが、会期の延長や、他の場所での開催などの予定は現在未定だという。
また、シャープの担当者によれば今後の共同開発については現在検討中であり、今回集められたデータを基に進行していくとのことだが、「文化財であれば像や剣などで同じようにやってみるのも面白いかもしれない」「例えば生物や医療など、様々な分野でも活用できるのではないか」などと期待を滲ませていた。
また、文化財活用センターの担当者は本実験について「お茶は日本の文化だが、あまり詳しくない方も多い。このように茶碗の実際の触り心地や重さを体験した上で実物を見ることで、より理解が深まるのではないか」とコメントしていた。
5Gサービスの本格化により、8K技術が今後より一層活用されていくことは想像に難くない。どのような形で進化を遂げていくのか期待したいところだ。
同社は文化財活用センターおよび東京国立博物館と協力し、「8Kで本物に触れる」をテーマに、文化財の新たな鑑賞方法を研究。「シャープ8Kインタラクティブミュージアム」をベースに文化財鑑賞ソリューションを開発している。
本実験は、8Kモニター上の高精細画像を360度好きな角度から鑑賞できるよう新開発された「茶碗型コントローラー」の認証実験として行われるもの。形も重さも実物そっくりに制作されたコントローラーを操作することで、70インチ大型8Kモニターで同館所蔵の重要美術品「大井戸茶碗 有楽井戸」の鑑賞や、「志野茶碗 銘 振袖」「青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ば こうはん)」の8K画像との比較ができる。
実験期間は7月29日(水)から8月2日(日)までで、対象はモニターとしてWEBアンケートに協力できる小学生以上の方。体験は10時から16時までの間、30分ごとに2組(1組2名まで)となっており、料金は無料だが、2日前までにオンライン予約フォームから申し込みを行う必要がある。
本実験の開催にあたり、7月28日にメディア向けのプレビューが実施された。その模様をレポートしたい。
■8K技術でヒビの隙間の砂粒までリアルに再現
認証実験の会場は東京国立博物館の東洋館内、1階エントランスに設営。70インチの8Kモニターと茶碗型コントローラーがセットになったコーナーが2つ用意されており、最大で2組まで同時に体験することができる。
モニターの前に立ち、中央の茶碗を持ち上げることで鑑賞体験がスタート。ちなみに茶碗型コントローラーは樹脂製で、ちょうど茶碗の底にあたる部分にセンサーを搭載。形状のみならず重さやバランス、持ったときの感覚なども含め徹底的にリアルに作り込まれたという。
モニターに表示された有楽井戸の高精細8K画像は、手元の茶碗と連動して画面内で回転したり、拡大・縮小されたりするが、「毛穴までクッキリ見える」と評される8Kなだけあって、細かなヒビからそこに詰まった砂粒まで、どれだけ拡大してもリアルな茶碗そのものだ。光の当たり方なども実に自然で、実物を再現すべくこだわって3D画像が作られたことが伺える。
感心して一通り見回していると、画面内の茶碗に「見所マーカー」が登場。マーカーを上手く所定の位置に合わせることで有楽井戸の鑑賞ポイントを教えてくれる。記者は特に茶碗に明るいわけではないのだが、ちょっとしたアトラクション性や、質感などを体験できる“実体”が伴うため、ショーケースの展示品を眺めつつ解説を読むより楽しく学べ、より深く理解できたように思う。
全ての見所をチェックすると、インターバルを兼ねた遊楽井戸の豆知識紹介が行われたのち、志野茶碗 銘 振袖、青磁茶碗 銘 馬蝗絆を含む3つの茶碗が画面に現れる。それぞれキャラクターの違う茶碗をじっくり見比べたり、現実にはまず不可能であろう断面形状の比較などを楽しむことができる。
なお、コーナーには前述の2つの茶碗を再現したレプリカも置かれているが、コントローラー機能はなく、あくまで触り心地を確かめるためのもの。3つとも茶碗型コントローラーにすることも可能だが、どうしても操作が複雑になってしまうため、この形式になったそうだ。
一通り堪能したら、茶碗型コントローラーを台に戻して体験が終了。大井戸茶碗 有楽井戸と志野茶碗 銘 振袖は東京国立博物館の本館に実物が展示されているため、8Kで触ってみた後で見に行くことも可能だ。
■今回のデータを活用した8K技術の今後に期待
冒頭でも述べたとおり、本実験は新開発の「茶碗型コントローラー」の認証実験として行われるもの。残念ながら本記事執筆時点で予約は全て埋まっているが、会期の延長や、他の場所での開催などの予定は現在未定だという。
また、シャープの担当者によれば今後の共同開発については現在検討中であり、今回集められたデータを基に進行していくとのことだが、「文化財であれば像や剣などで同じようにやってみるのも面白いかもしれない」「例えば生物や医療など、様々な分野でも活用できるのではないか」などと期待を滲ませていた。
また、文化財活用センターの担当者は本実験について「お茶は日本の文化だが、あまり詳しくない方も多い。このように茶碗の実際の触り心地や重さを体験した上で実物を見ることで、より理解が深まるのではないか」とコメントしていた。
5Gサービスの本格化により、8K技術が今後より一層活用されていくことは想像に難くない。どのような形で進化を遂げていくのか期待したいところだ。