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日本で正式発表

ソニーの約6100万画素フルサイズミラーレス「α7R IV」、約40万円で9月6日国内発売

公開日 2019/07/17 13:06 編集部:平山洸太
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ソニーは、フルサイズミラーレス一眼カメラ「α7R IV」を9月6日に発売する。予約は7月23日10時より開始。価格はオープンだが、40万円前後での実売が予想される。なおボディのみの展開となり、レンズキットはラインナップされない。

「α7R IV」が発表された

「α7R IV」

約6100万画素で「中判カメラに迫る解像度」実現

撮像素子には、有効約6100万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。センサーを自社開発することのメリットを活かすことで実現したとしており、従来機種「α7R III」の有効約4240万画素から大幅に向上させた。これにより「中判カメラに迫る解像度」で撮影できるという。

61MPの解像性能

有効約6100万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載

またダイナミックレンジは15stopと、従来の14stopから改善することで、「シャドーからハイライトまで豊かな階調で表現する」とこのと。またピクセルシフトマルチ撮影は従来から4倍という16枚の合成に対応。1ピクセルずつずらした静止画を16枚撮影することで、約2億4080万画素の写真撮影も行える。常用感度はISO100-32000で、拡張感度としてISO50、ISO102400にも対応する。

15ストップのダイナミックレンジに

ピクセルシフトマルチ撮影に対応

高解像度を活かすため、電子ビューファインダーは従来よりも高解像度の576万ドットの有機ELを採用。倍率は0.78倍。背面モニターは約144万ドットの3.0型で、タッチとチルトに対応する。

製品について説明を行った ソニーマーケティング プロダクツビジネス本部 デジタルイメージングビジネス部 統括部長 小笠原啓克氏

背面モニターはチルトとタッチに対応する

センサー上の像面位相差AFセンサーは567点となっており、画面の74%をカバーする。なお従来は399点かつ約68%のカバー率だった。またAPS-C相当へのクロップ撮影についてもアピールされており、6100万画素という画素数を活かすことで、クロップ後であっても約2600万画素、AFに関しては、325点でほぼ全域をカバー可能としている。

APS-Cモードでも26MP撮影が可能

そのほかのAF性能としては、輝度検出範囲は-3〜20EV(ISO100相当、F2.0)。そして像面位相差が可能な絞り値の上限はF11となる。

画素数を従来から増大しながらも、スピード性についても追求したとのこと。まず連射速度は、AF/AE追従ながらも10コマ/秒での撮影が可能。バッファメモリーを1.5倍に拡大することで、約68枚の連続撮影に対応する(非圧縮RAW時のみ30枚)。

連射は最大10コマ/秒

シャッターユニットは衝撃吸収ダンパーなどを使用した新開発のもので、高解像度の撮影に配慮。シャッター速度は最高1/8000に対応する。ボディ内蔵の5軸手ぶれ補正は、改良を行うことで、高解像度ながらも従来と同じ5.5段を維持している。

シャッターユニット

内蔵基盤

画像処理エンジンにはBIONZ XとフロントエンドLSIを搭載。同社の強みであるAI技術を活かしたリアルタイム瞳AFとリアルタイムトラッキングは、本機で初めて動画にも対応した。瞳AFは犬などの動物にも対応する。

リアルタイム瞳AFに対応

瞳AFは動物にも対応する

動画機能ではプロ用途も想定し、Super35mmにおいて画素加算のない6Kの全画素読み出しを採用する。記録フォーマットは4K(30/24fps)、1080p(120/60/30/24fps)。S-Log2、S-Log3、HLGにも対応する。AFのタッチトラッキングも行える。30分の連続撮影制限は設定されていない。

プロ用途を想定した動画機能搭載

さらに本機では、動画撮影時の音にも注目。従来はホットシュー(マルチインファーフェースシュー)で接続するアクセサリーのマイクで録音した音声は、アナログ信号で本体へ転送していた。しかし本機では音声のデジタル接続に新対応させることで、ノイズの少ない録音が可能になったという。デジタル伝送にはマイク側も対応する必要があるが、この対応マイク「ECM-B1M」も同時発表。こちらについては後述する。

マイクからのデジタル伝送に初対応

ECM-B1Mを装着した状態

そのほか、プロフェッショナルの現場で求められるという、操作性や堅牢性も追求されており、操作部の最適化やグリップ形状の最適化など見直されている。ボディにはマグネシウム合金が採用され、防滴防塵性能はより強化された。カードスロットに対してはSDのデュアルスロットはもちろん、2スロットともUHS-IIに対応する。

操作性などプロ用途での快適性を追求したという

ボディにはマグネシウム合金を採用

テザー撮影などを行うスタジオにおいては、接続性も重要。本機はWi-Fiに11acを採用することで、ワイヤレステザー撮影に対応し、USB Type-Cは従来から2倍の速度にすることで、有線接続時のデータ転送速度も高めたという。ストロボ撮影に必要なシンクロターミナルも引き続き搭載する。

スタジオ撮影にも配慮

搭載インターフェース類

バッテリーは従来から引き続きNP-FZ100を採用し、撮影枚数はファインダー使用時で約530枚、モニター使用時約670枚。また実働が撮影時間はファインダー使用時約90分、モニター使用時約105分。外形寸法は約128.9W×96.4H×77.5Dmmで、質量は約665g(バッテリーとメモリーカード含む)。

本体上部

従来から引き続きNP-FZ100を採用

デジタル伝送対応マイクなどアクセサリーも同時発表

アクセサリーとして、縦位置グリップ「VG-C4EM」(9月6日発売)、ショットガンマイクロホン「ECM-B1M」(9月6日発売)、XLRアダプターキット「XLR-K3M」(10月下旬発売)も同時発売。価格は縦位置グリップが38,000円、ショットガンマイクロホンが35,000円、XLRアダプターキットが60,000円(すべて税抜)。

VG-C4EMは、カメラ本体の下部に接続する縦位置グリップ。本体での縦位置時と同様の操作性が追求された。バッテリーを2個搭載することで、約2倍の静止画連続撮影枚数にも対応。本体と同様に防塵防滴性能が強化されている。

VG-C4EMを装着した状態

ECM-B1Mには8個のマイクユニットを搭載。電源はホットシューから供給され、3つの指向性切り替えにも対応する。収録した音声をデジタル信号でカメラ本体へ伝送することで、ノイズや音声低下を抑えた収録が可能。防振機構も搭載する。なおアナログとデジタルの切り替えにも対応するため、α7RIIIなどデジタル伝送に対応しない機種でも使うことが出来る。

ECM-B1M

操作部

ECM-B1Mは、XLR/TRSコンボ端子と3.5mmステレオミニ端子によるマイク入力/ラインインに対応。外付けのマイクを接続してしようできる。接続したカメラのマルチインファーフェースシューから電力供給を行うため、電源を別個接続しないで使用可能となる。

発表会後にタッチ&トライが実施。ハンズオンしてみた

発表会後にはタッチ&トライが実施され、早速実機に触ることができたので、簡単にレポートしたい。

まず手に持って感じたのは、握り心地が良くなっていること。従来はグリップが浅く、記者の場合では中指などがボディにあたってしまっていた。しかし本機は握っても指先がボディあたらず、小指も余りにくく感じた。

グリップは大型化され持ちやすくなった

α7R IV(左)/α7R III(右)の大きさ比較

Eマウントレンズは軽いものも多いが、プロやハイアマチュアなどが使用するようなランクの高いレンズは重いものが多い。プロフェッショナル用途を想定して改良したとのことだが、手の大きい人など、この改善は一般ユーザーにとっても嬉しく思う人も多いだろうと思う。

操作性も従来と比較していくつか変更されている。わかりやすいのが軍艦部で、コントロールダイヤルは上部に移動し、露出補正ダイヤルにはロックが追加された。特に個人的に嬉しく思うのがこのロック機構。露出補正ダイヤルはボディの端に位置することもあり、カバンなどに入れると、気がつくと回転していることがあったが、それが防止できるのだ。なお撮影モードダイヤルのロックとは違い、押しながら回転させるのではなく、オン/オフがトグル式で切り替えできるようになっている。

右上部の操作系が大きく変更された

カスタムキーには、新たにグラフィカルな表示が追加されるなど、細かい部分の使い勝手も変更されている

背面部分の操作系に関しては、AFポイントなどを変更するマルチセレクターが個人的に気に入った変更点。今までよりも大型化され、操作感も堅牢感を感じさせるしっかりとしたものになっていた。その他のボタンに関しても、従来のポチッという操作感ではなく、ストロークも深くて、しっかりとしたシーリングを感じられるような、よりプロ機らしいフィーリングになったと感じた。

α7R IVの背面部

参考までにα7R IIIの背面操作部

カードスロットはデュアルスロットを継承しながらも、2スロットとも高速なUHS-IIに対応。高画素化されファイルが重くなったため、2つとも高速なスロットが使用できるのは嬉しい。なおデータが持ち帰り可能だったためサイズをはかってみたが、RAW(非圧縮)で約122MB、RAW(圧縮)で約62MB、JPEG(エクストラファイン)で約26MB、JPEG(ファイン)で約11MBだった。またカードスロットのカバーも従来のレバーで開く方式ではなく、蓋自体をスライドさせる方式に変更されている。

デュアルスロットはともにUHS-IIに対応

ファインダーに関しても完成度が高いと感じた。搭載する576万ドットの有機ELファインダーは、文字通りドット数が多く、目視ではドットが視認できないほど。どこにピントが合っているかがしっかりとわかるので、マニュアルフォーカスであってもある程度は使えそうだ。また見え方も自然で、光学ファインダーにかなり近いと感じた。

スマホを押し当ててEVFを撮影した

本体正面

シャッターを切ってみると、シャッター音の小ささにも驚いたことも付け加えておこう。シャッターショックはまったく無いというわけではないが、ほんの軽く振動する程度だし、シャッター音はメカニカル式ながらも、町中でも目立たなそうな水準だと思う。もちろんAFを始めとしたレスポンスは、会場で触る限りは気になるところもなく、ストレスを感じなかった。

作例

ほぼ等倍で切り出した一枚

今回は動画など機能の多くはしっかりと確認することはできなかったが、短い間ながらも、カメラとしての作りがかなり良くなったと感じることができた。約6100万画素といったスペック面に注目されがちだが、持ちやすさも向上し、ファインダーも見やすい。プロやハイアマチュアだけでなく、せっかくだから良いものを買いたいようなユーザーにもおすすめしたくなる製品だと思った。

カメラがフィルムから「デジタル化した時以来の大きな歴史的転換」

発表会では、同社の事業戦略についても触れられた。プレゼンを行った同社イメージング本部の大島氏は、「レンズ交換式カメラは一眼レフからミラーレスへの急激な構造転換」の中にあると説明。同社の調査によると、2019年ではレンズ交換式カメラ市場、フルサイズカメラ市場ともに、ミラーレスが半分以上をしめるという。

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ デジタルイメージング本部 第一ビジネスユニット 担当部長 大島正昭氏

この大きな変化は、「(カメラがフィルムから)デジタル化した時以来の大きな歴史的転換」とのこと。そしてその中で、同社は2010年から2019年上期まで、ミラーレスシェアの1位を金額/数量ベースともに維持しているとアピールした。さらに2018年からはフルサイズのシェアにおいても1位を獲得しているという。

ミラーレスが普及してきたと説明

ソニーはシェアNo.1を獲得しているという

同社が技術として力をいれているのがAIで、これを利用した瞳AFなどがユーザーから評価されているとする。また同社がミラーレスカメラを設計する基準には、「レンズ」「画質」「スピード」「バッテリーライフ」「小型軽量」の5要素があるとしており、2013年に登場した「α7」からこれを追求してきたと大島氏は述べた。

Eマウント専用設計のレンズは現在52本がラインナップされており、今回のα7R IVも、もちろんこの全てが使用可能。このEマウントではフルサイズ/APS-C、静止画/動画、プロ/コンシューマーといった要素を1つのマウントでカバーする「One Mount」を掲げ、今後も展開するとしている。

またスポーツや報道写真における撮影体験を革新し、ミラーレスカメラの歴史的転換点となったとする「α9」に続き、今回のα7R IVは、新たな表現を可能にする製品とのこと。大島氏は、「新たなモンスター」と表現していた。

α7R IVおよび縦位置グリップVG-C4EMは、7月19日からソニーストア銀座で先行展示予定。また7月20日からは、ソニーストア札幌、ソニーストア名古屋、ソニーストア大阪、ソニーストア福岡天神での展示が予定されている。

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