プログレでも歌われたブーリンの数奇な運命
話題のソフトを“Wooo"で観る − 第20回『ブーリン家の姉妹』(Blu-ray)
さて、「ヘンリー八世の六人の妻」の5曲目が「アン・ブーリン」である。高校生の私はこの曲を聴いて初めてその名を知った。ローマカトリックとの決別を王に唆し、前妃を離婚に追いやり王妃の座についたものの、反逆罪で断頭台の露と消えた「西洋悪女伝」に欠かせない女性だが、エリザベス一世の生母として歴史に永久に名を留める。短い生涯を激しく燃焼させたアンの悲劇の運命を冒頭から叩きつけるようなリックの力強いプレイが素晴らしい。日本では演奏しなかったが、アルバム中好きな一曲である。
前置きが非常に長くなったが、このアン・ブーリンの数奇な運命を描いたアメリカ映画の最新作が『ブーリン家の姉妹』である(正確には米英合作)。原題は、“The Other Boleyn Girl"、アンと一緒に宮廷に上った妹メアリーに物語の視点が置かれ、二人の運命ゲームを描いた歴史ドラマである。
映画公開を知った時には、かつて、シェイクスピアもロクに知らずロックのアルバムでその名を知ったアン・ブーリンに映像で再会できると知って懐かしさが込み上げたが、そればかりでなくアン・ブーリンをナタリー・ポートマンが、妹のメアリーをスカーレット・ヨハンソンという二大若手女優が演じると知って映画への興味はさらに募った。ヘンリー6世なんて誰が演じても構わないくらいである。
余計なお節介だが、この映画の後に続けてケート・ブランシェット主演の『エリザベス』と『ゴールデンエイジ』、さらに『恋におちたシェイクスピア』を見れば、この時代のイギリスが何となくわかった気にになれるんじゃないか。自宅で映画を見て歴史の勉強ができるのだからいい時代になったものである。しかしそれには、「題材負けのしない」、映像が美しくて最後まで楽しんで見られるディスプレイ(テレビ)が必要だ。というわけで、今回の「Woooで見る話題のソフト」のテーマは『ブーリン家の姉妹』である。