IoT展開についても言及
クアルコムが描く次世代通信のビジョンとは? 5GやIoTの展開からWi-Fi 6までをキーマンが語る
■RF(高周波)でヒトを検知するインターフェース技術
シリネニ氏は同社の無線通信技術を応用した「Spectral AI」という、次世代のユーザーインターフェース技術についても言及した。宅内に設置した機器からRF(高周波)の電波を出力して、人間を検知、動作をトラッキングできるという生体認証技術だ。
目に見えない、耳に聞こえない電波を使ってヒトの形や動きをトラッキングできることから、「カメラに見られることによる抵抗感を感じさせないことが大きなメリット。宅内のセキュリティ・見守り用途にも応用できるセンシング技術」とシリネニ氏が説明する。Spectal AIは、同時に室内にいる複数の人物をトラッキングできるだけでなく、物体を認識できる精度をセンチメートル単位にまで高められるので顔認証にも使えるという。人間とペットの識別にも対応する。
米工具メーカー Stanley Black & Decker社はすでに、同技術を採用したモーション検知システム「OMNI」を、今夏発売に向けて開発を進めているという。Spectral AIはホームセキュリティへの展開から始まることになりそうだが、生体データとひも付けることができれば、例えばユーザーの急性疾患を予防したり、健康を見守るヘルスケア用途にも応用ができるかもしれない。
何より「カメラ不要」の見守りサービスを提供できることから、スマートホームの普及の起点になるのではないだろうかという期待を抱かせてくれるプレゼンテーションだった。今後の展開にもぜひ注目したい。
■「Wi-Fi 6 Ready」ソリューションの展開も開始
802.11ax/Wi-Fi 6に関連する取り組みについても紹介。今後各家庭に複数のIoT通信機能を持つ端末が普及すること想定して、マルチストリーム、8×8 MU-MIMO(Multi-User MIMO)、OFDMA(直交周波数分割多重接続)など、高速通信を安定させつつ電力消費の効率化を図る技術を取り込んだアーキテクチャを設計開発していると、Qualcomm Technologiesのワイヤレス・インフラストラクチャー&ネットワーキング部門VP&GMのニック・クチャレウゥツキ氏が述べた。
Wi-Fi Allianceによる規格策定の本格化は今夏以降になることが見込まれるため、現時点でクアルコムは802.11axを構成する一部のフィーチャーをドラフト版として通信用ICチップに組み込み、「Wi-Fi 6 Ready」のソリューションとしてラインナップを揃え始めている。その内容にはネットワークインフラ向け「IPQ8074」や、クライアント機器向け「QCA6290」などがある。
また、最新のSnapdragon 855 Mobile Platformに含まれるWi-Fi/Bluetoothの通信チップセット「WCN3998」も、Wi-Fi6 Readyだ。なお、IPQ8072を搭載する機器については、KDDIが「auひかり ホーム10ギガ」のホームゲートウェイ端末「BL1000HW」を昨年商品化。世界初のドラフト版IEEE 802.11ax規格に対応する通信事業者の商用ゲートウェイ機器として販売も開始した。今年の後半に向け、802.11ax/Wi-Fi 6の話題も賑わいそうだ。追い風を受けたクアルコムの次の一手にも引き続き注目したい。
(山本 敦)
シリネニ氏は同社の無線通信技術を応用した「Spectral AI」という、次世代のユーザーインターフェース技術についても言及した。宅内に設置した機器からRF(高周波)の電波を出力して、人間を検知、動作をトラッキングできるという生体認証技術だ。
目に見えない、耳に聞こえない電波を使ってヒトの形や動きをトラッキングできることから、「カメラに見られることによる抵抗感を感じさせないことが大きなメリット。宅内のセキュリティ・見守り用途にも応用できるセンシング技術」とシリネニ氏が説明する。Spectal AIは、同時に室内にいる複数の人物をトラッキングできるだけでなく、物体を認識できる精度をセンチメートル単位にまで高められるので顔認証にも使えるという。人間とペットの識別にも対応する。
米工具メーカー Stanley Black & Decker社はすでに、同技術を採用したモーション検知システム「OMNI」を、今夏発売に向けて開発を進めているという。Spectral AIはホームセキュリティへの展開から始まることになりそうだが、生体データとひも付けることができれば、例えばユーザーの急性疾患を予防したり、健康を見守るヘルスケア用途にも応用ができるかもしれない。
何より「カメラ不要」の見守りサービスを提供できることから、スマートホームの普及の起点になるのではないだろうかという期待を抱かせてくれるプレゼンテーションだった。今後の展開にもぜひ注目したい。
■「Wi-Fi 6 Ready」ソリューションの展開も開始
802.11ax/Wi-Fi 6に関連する取り組みについても紹介。今後各家庭に複数のIoT通信機能を持つ端末が普及すること想定して、マルチストリーム、8×8 MU-MIMO(Multi-User MIMO)、OFDMA(直交周波数分割多重接続)など、高速通信を安定させつつ電力消費の効率化を図る技術を取り込んだアーキテクチャを設計開発していると、Qualcomm Technologiesのワイヤレス・インフラストラクチャー&ネットワーキング部門VP&GMのニック・クチャレウゥツキ氏が述べた。
Wi-Fi Allianceによる規格策定の本格化は今夏以降になることが見込まれるため、現時点でクアルコムは802.11axを構成する一部のフィーチャーをドラフト版として通信用ICチップに組み込み、「Wi-Fi 6 Ready」のソリューションとしてラインナップを揃え始めている。その内容にはネットワークインフラ向け「IPQ8074」や、クライアント機器向け「QCA6290」などがある。
また、最新のSnapdragon 855 Mobile Platformに含まれるWi-Fi/Bluetoothの通信チップセット「WCN3998」も、Wi-Fi6 Readyだ。なお、IPQ8072を搭載する機器については、KDDIが「auひかり ホーム10ギガ」のホームゲートウェイ端末「BL1000HW」を昨年商品化。世界初のドラフト版IEEE 802.11ax規格に対応する通信事業者の商用ゲートウェイ機器として販売も開始した。今年の後半に向け、802.11ax/Wi-Fi 6の話題も賑わいそうだ。追い風を受けたクアルコムの次の一手にも引き続き注目したい。
(山本 敦)