ビデオカメラにも低価格化の波
2万円で買えるソニーのHDカメラ“Webbie” − その実力を会田肇が自腹テスト
本機が採用する動画コーデックはMPEG-4 AVC/H.264 Main Profile。撮影モードは「1080/30p」「720/30p」「VGA/30p」の3つから選べ、デフォルトは「720/30p」。本機のレンズは光学5倍ズームレンズで、動画撮影時の画角は41〜203mm(16:9 720/30p時:35mm換算)。この手のカメラとしては広めの画角ではあるが、「1080/30p」「VGA/30p」に切り替えると撮像素子の使用領域が変わってしまうためか、画角が思いきり狭くなってしまう。
そこで基本は「720/30P」で撮影し、比較のために「1080/30p」でも撮影を行った。その映像を再生してみると、HD映像として考えれば解像度は全体に甘めで、「1080」で撮影しても解像度で若干向上が見られるかな、と思う程度。通常の撮影なら画角のことも考慮すれば「720」で撮影するのが妥当だろう。
色味はやや赤味が強く出る傾向にあり、見方によってはやや古臭い映像にも見える。時としてホワイトバランスが大きく崩れることもあり、このオート動作はかなり大雑把な印象を受けた。また、CMOSのレンジ幅はあまり広くないようで、画面内で輝度差があると簡単に白飛びが発生してしまう。とはいえ、これは一般のHDビデオカメラの視点で見た評価でのこと。2万円という価格を考えれば上出来と考えたい。なお、記録は基本的にメモリースティックDuoに行うが、本体には一応12MBのわずかなメモリがあり、ホンの少しだけ記録ができる。
静止画では5M/3:2/2M/VGAの4つモードを備える。静止画撮影はモードを切り替えることなく、本体上部の「PHOTO」ボタンを押せばいいが、動画を撮影しながらの同時記録には対応していない。記録された映像のクォリティは動画撮影時とは違い、期待以上に良かった。広角時でもシャープに捉え、コントラストもしっかりとしている。階調表現も豊かで2万円前後のコンデジと比較しても遜色はまったくない。静止画撮影で残念だったのはフラッシュが備わっていないこと。一応、LEDライトがついているけれど、実際の撮影ではアップでもない限り役に立たない。
静止画撮影で使いにくいと思ったのは、「1080」「720」のHDモードの時に静止画を撮影すると、半押し状態で4:3画面に切り替わってしまうこと。つまり、静止画のアングルは半押し状態でないと決められず、16:9ではイイと思ったアングルも静止画撮影では再度セッティングをし直さなければならなくなるのだ。ズームのスピードは一定で、レンズにはマクロ機能も付いている。ただ、マクロスイッチを押しても、フォーカスが接写撮影でフォーカスしやすくなると言った感じはない。モニターの解像度も低いこともあり、屋外で「OK!」と思った映像もピンボケだったという映像がずいぶんあった。
バッテリーは内蔵充電池のみとなるが、この持ち時間が結構長い。具体的な時間は明らかになっていないが、テスト撮影で頻繁に電源の入り切りを繰り返して、トータル15分ほどの撮影を行ったが、最初のメモリが一つ消えた程度だった。操作系は全体にシンプルで、取説を見なくてもたいていのことは使えてしまう。本機には日本語による取説がない(当たり前か)だけにこのシンプルな操作系はありがたい。