落ち着きと切れ味を両立した映像
話題のソフトを“Wooo"で観る【特別編】 − 「P50-XP03」が我が家にやってきた!
ファイル・ウェブ編集部のO氏が手伝いに来てくれて、運送会社が届けた「P50-XP03」を2階の仕事場に運び入れた。印象的なのは世代を重ねるたびにパネルが薄くなっていくこと。50V型でモニターの最厚部が98mmである。薄くなった分軽くなってもいて、質量は38.8kg(スタンド込み)、設置は極めて容易だ。開梱からB-CASカードを入れて電源オンまで、わずか20分未満である。50V型プラズマテレビと聞いて、関取がやってくるように身構えたのはほんの4〜5年前のことだったが、隔世の感がある。
さて、今回「P50-XP03」を導入するにあたり、メインテーマの一つが「アクトビラ」の視聴である。アクトビラで映像を見るにはブロードバンド環境が必要で、最低でもADSL、「アクトビラ ビデオ・フル」のハイビジョン全画面表示の場合、出来ればFTTHが望ましい。私の仕事場の場合、ハイパーBフレッツファミリーを契約しているので環境的には問題ない。
パソコンの常時接続と共存しなければならないので、使用中のブロードバンドモデムの後段にブロードバンドルーターを追加する。バッファローの高速タイプをヤマダ電機で5,980円で購入した。
付属のセットアップ用CD-ROMを使いパソコンで設定をするタイプで、設定といっても自宅の環境がADSLかFTTHかを選ぶくらいで、非常にカンタンに自分で設定できる。途中「ご使用中のウィルス防御ソフトの設定を無効にして下さい。その方法についてソフト各社にお問い合わせください」という無慈悲な表示が出て一瞬『…』になったが、無視して続行すればいい。ルーターは買わなくてもNTT東日本のレンタルルーターを借りて使う方法もあり、この場合は月額300円程度が毎月の電話使用料に上乗せされる。
「アクトビラ」に接続して「TSUTAYA ONLINE」の新着ソフト一覧を見ていると娘がやって来て、「ビデオが見放題!」と欣喜雀躍した。しかし、現在彼女がハマっているアメリカのテレビシリーズ『O.C.』や『ヴェロニカ・マーズ』がラインナップされていなかったので、急に興味を失くして一階の自分の部屋にそそくさと帰っていった。やはり、ソフトのニーズは多種多様、無限大である。便利なだけではダメなのである。この辺が「アクトビラ」の今後の課題だろう。
■落ち着きと切れ味を両立させたP50-XP03の画作り
さて、「アクトビラ」の使いこなしは今後に譲るとして、「P50-XP03」のファーストインプレッションを報告しよう。
パネルの共通化が行われても、VIERAとはテイストを別にする映像である。一言で言うと品格があって優美、コクのある映像を狙った大人向けのプラズマテレビである。これは、音元出版の視聴室で見たときにも感じた印象だが、地デジは同じ番組をパナソニックと同時視聴しても、ドラマの女優の肌色が本機の場合、ややマゼンタ寄りの明るくヌケがよい健康色。細部の解像感を欲張らず、バランスのいい映像だ。
ブルーレイディスクを再生すると、スタンダードポジションでハイビジョンビデオ映像の場合、ややマゼンタに寄る傾向は変わらず、黒が深く沈み艶のある絵画的でコクのある画である。
衝撃的だったのが、映画ディスクの表現力。「Wooo」のプラズマテレビはフルハイビジョンになって以来、なめらかできめ細かく落ち着いた味のある高画質だったが、解像感という点で今一歩物足りない思いがあった。これが大幅に躍進、ブルーレイディスクの最近の画質の進歩を見せつける切れ味鋭い画質に変わった。
色再現性もいい。描くのに使う絵の具の色数が数十種増えたようなきめ細かさである。私は『AVレビュー』誌で毎月のブルーレイディスク新作の画質・音質評を担当しているが、ディスクによっては一階のAVルームのLCOSプロジェクターでなく、二階の仕事場のプラズマテレビ「Wooo」 で視聴する場合がある。「P50-XP03」で見ると、画質、解像感と色彩表現が何割かよく見えてしまうのだ。いや、これは困ったことになったというのが偽らざる感想。悩ましくも楽しい、「P50-XP03」との出会いであった。
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数。2006年に評論家に転身。