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話題のソフトを“Wooo"で観る【特別編】

アクトビラの映像はBDにどこまで迫ったか? − 大橋伸太郎が“Wooo”で徹底チェック

公開日 2009/10/07 11:51 大橋伸太郎
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■『グラン・トリノ』をTSUTAYA TVからダウンロード

今回のテストで、「TSUTAYA TV」からダウンロードするコンテンツの選択に若干頭を悩ませたが、クリント・イーストウッド監督作品の『グラン・トリノ』に決めた。その理由は簡単。良質な作品であることと、手元にブルーレイディスクのパッケージソフトがあって比較できることである。

購入までのフローを簡単に解説しておこう。まず、P50-XR03のネットボタンから「Wooonet」のトップページを経て、「アクトビラ」の「TSUTAYA TV」を表示する。購入するタイトルを選んだら、ここでレンタルでなくセルを選択することをお忘れ無く。その後暗証番号などの確認を経て、購入がフィックスされる。「アクトビラ ビデオ・ダウンロードセル」で作品を一度買ってしまえば、視聴期間と視聴回数は無制限。ダビング回数はタイトルによって異なるものの、今回の『グラン・トリノ』の場合、購入から1年間に2回まで可能というルールである。

新着順で表示したタイトルリスト。購入する場合は「セル」を選ぼう

購入が確定した。購入でTポイントも獲得できた

購入にかかったコストは、本体3,500円、消費税175円、Tポイント利用が0円で、合計3,675円であった。参考までに『グラン・トリノ』のブレーレイディスク(ワーナー・ホーム・ビデオ)が4,980円(税込)、DVDは3,980円(税込)だから、ハイビジョンにしてDVDより安価なのである。ただし、本作品の場合、ダウンロード版の音声は5.1chでなくステレオで、また特典映像も付属しないから、これは価値観の問題である。

WoooのP50-XR03の場合、ダウンロードファイルの保存に外付けストレージを必要とせず、テレビがファイルを受け取って自分のハードディスクに保存してくれる。しかも、収納先(ダウンロードメディア)として画面に「iVDR-S」がアイコンで表示されるのには、ほとほと感心させられた。この便利さ、シンプルさは凄い。これでこそアクトビラである。

購入したコンテンツはiVDR-Sにダビングが可能

■映画館やBDと比べても何の違和感もない

さて、肝心要のダウンロード版『グラン・トリノ』の画質クオリティである。私はすでに本作を、映画館で1回、自宅のホームシアター(120インチ)でブルーレイのサンプル盤を1回、計2回見ている。正直言って、今回は画質の差を確認すればいいと思っていた。だが、P50-XR03の「見る」ボタンで録画済みコンテンツを表示し、『グラン・トリノ』をクリックして再生が始まったら、そのままエンドタイトルまで一息に見てしまった。つまり、劇場公開やブルーレイディスクをLCOSプロジェクターで再生した時に比較して、映画としての佇まいに何の違和感もなく、イーストウッド最新の傑作『グラン・トリノ』がそこにあったのである。

「違和感のなさ」について具体的に説明してみよう。今回は前段で字数を使ってしまったので、作品論には踏み込まないことにする。第一、話題作なので、ストーリーや主題については、読者のみなさんは御承知だろう。

本作でもイーストウッドの近作の映像流儀通りに、明暗のコントラストをやや強調、人物のクローズアップでは半暗半明のライティングを多用して、人間の黙して語られない来歴や暗黒、神性の存在を暗示している。色彩は、原色を除外し抑えた穏やかな色調で、日常の中の非凡なドラマを描き出している。こうしたイーストウッドの名調子が、テレビという日常のシステムで自然に表現されたことに感嘆したのだ。

実を言うと、「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」が運用開始された昨年末の時点で『ノー・カントリー』の画質が思わしくなく(特に動き)、やや心配だったのだが、ここへ来てまったくの忌憂だったことがわかった。運用9カ月を経たこともあるのか、画質は大幅に改善されていた。

細かなことを言えば、ブルーレイディスクと比較した場合、やや黒の引き込みが早いといったことなど、差はもちろんあるのだが、テレビの調整で対応可能な範囲である。これなら、店頭でのパッケージの購入や、WOWOWなど有料放送の録画に対抗する第三の存在として、誰もが認めないわけにはいかない。

多くのタイトルがサラウンド音声に対応せず、字幕のオプションがないことがパッケージとの大きな違いだが、テレビと一体のシステムと考えれば、現状ではこれでノープロブレムだろう。録画テレビの枠にとどまらず、映像メディアの大きなパラダイムシフトに真っ先に対応しているテレビがWoooであり、P50-XP03/P50-XP035なのである。

大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数。2006年に評論家に転身。

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