3社のレコーダー最上位機でテスト
実はプレーヤーでも変わる3Dの「立体感」 − 話題の『アバター』で徹底比較
■プレーヤーで3D画質を向上させる要素とは
MPEG-4 MVCでデコードした映像データのフォーマットは4:2:0となっており、色情報が欠落している。出力するには内部で4:2:2、もしくは4:4:4の映像に引き上げなければならない。
パナソニックのブルーレイDIGAを例に取ると、同社では以前からクロマアップサンプリングの精度が画質に与える影響に着目。この精度を高めるため、マルチタップ・クロマアップサンプリング処理技術を開発し、年々進化を重ねることで、同社が標榜する「原画忠実主義」に沿った画質向上を行ってきた。
この考えは3D映像でも変わらない。2D映像処理の場合と同様、両目用の映像それぞれにマルチタップ・クロマアップサンプリング処理を施すことで、色解像度を高め、映像の表現力を向上させている。
実際に、パナソニックの社内で様々な比較検証を行った結果、2眼式立体視においては、左右の映像の微少な差分を忠実に再現することで、物体表面の反射光の微妙な違いが描写でき、これが奥行き情報の表現力に大きく影響すること、それが最終的に3D映像の質感の差につながることが分かってきたという。
これは人の視覚を考えたら納得できる。人が両目で物体を見るとき、左の目と右の目が異なる位置から見ている。両目に届く映像は、形状はもちろん反射光も異なっている。その微妙な違いを認識することで、人は物体を立体的なものとして捉えられるのだ。このことからも、3Dの両目用の映像をより忠実に再現すれば、立体感、質感などの3D映像の表現力が高まることがわかるだろう。
実際に音元出版の視聴環境で、Blu-ray 3Dソフト『アバター』を使い、プレーヤーごとの3D画質の違いを確かめてみた。用意したのはパナソニック“ブルーレイDIGA”最上位機の「DMR-BWT3100」と、そのライバルと目される大手AVメーカーA社、B社の3D対応BDレコーダー最上位機だ。テレビにはパナソニック“VIERA”「TH-P65VT2」を使用した。
なお、ご存じの通りBlu-ray 3D版の『アバター』は、今のところ3D対応のVIERA/DIGA購入者へのプレゼント品としてしか提供されておらず、一般販売は行われていない。リファレンスソフトとしては必ずしも適切ではないが、3D映像の品位の高さを理由に、今回はあえてこのソフトを使用した。
なおテレビの画質設定は、ジェームズ・キャメロン監督のチェックを通った、いわゆる「キャメロン・セッティング」で固定。レコーダー側の映像設定は、各モデルの、なるべく“素”の状態で出力されるモードや設定とした。