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実はプレーヤーでも変わる3Dの「立体感」 − 話題の『アバター』で徹底比較
■3D視差補正でクロストークは抑えられるか
3D映像に関連した話として、最近しばしば話題になる「3D視差補正」についても触れておこう。
3D視差補正機能とは、近い、遠いという映像の距離感=深度を調整するため、深度の中心位置をオフセットさせる機能だ。
一部には、この補正機能を使えばテレビ側が原因のクロストークを抑えられるという見方があるが、これは正しい理解とは言えない。
3D映像において、遠くにある物体では、左目の映像は左に、右目の映像は右にズレることで、その物体を遠くにあることを感じさせようとしている。
逆に近くの物体は、左目用映像が右に、右目用映像が左にズレることになる。これらのズレの大きさが遠近感の大きさ、深度として知覚されるのだ。また、この映像の左右のズレが大きいほど、クロストークが目立ちやすくなる。
距離感の基準となるテレビの画面位置に物体がある場合、左右映像の位置のズレはない。そのため、このような映像はクロストークが発生せず、見やすい映像になる。
通常、ハリウッドのタイトルにおいては、シーンの中心人物を距離感のセンターに置くことで、視聴者の見やすさに配慮しているという。これに対して、こういったことにあまり配慮していない、例えばセンターが極端に手前側にあるような映像では、視聴中のユーザーの疲労度が増したり、映像が不自然に見えたりしてしまう。
このようなセンターがズレた映像では、3D視差補正を使うことで、映像がより自然に見えるように調整できる。しかし、これはあくまで、ズレた映像を的確な位置に調整するためのもので、クロストークを根絶できるわけではない。
先ほど「映像の左右のズレが大きいほどクロストークが目立ちやすくなる」と書いた。画面全体を3D視差補正で奥に移動させたら、手前側の映像はセンター付近に移動するため視差が少なくなってクロストークが減るが、それとは逆に、奥の映像はより左右のズレが増し、クロストークが目立ちやすくなる。
逆に画面全体を手前に移動したらどうだろう。これはまったく正反対で、奥の映像がセンター付近に出てクロストークが減る一方、手前の映像は左右のズレが大きくなり、クロストークが目立ちやすくなる。
3D視差補正は、ソースに応じて深度の中心位置を調整する分には有効だが、クロストークを一律に減らせるものではないことを覚えておきたい。
■家庭の本格3D映像の歴史はまだ始まったばかり
今回はプレーヤーの3D映像に対する影響、3D視差補正などについて紹介した。
家庭における3Dの歴史はまだ始まったばかりだ。これからもさまざまな課題が浮かび上がり、それらが解決されるというサイクルを繰り返しながら、普及が進んでいくことだろう。
我々は今、テレビの3D化という歴史的な出来事の始まりに立ち会っている。その表現力や視聴の快適性が、より進化していくのは間違いない。今後の3Dの進化に期待したい。
(一条真人)