ネットオーディオのハイレゾ音源にもマッチ
「音色」の生まれる瞬間に立ち会えるスピーカー − ECLIPSE「TD510」× 大橋伸太郎
■ECLIPSE TDのスピーカーシステムが<時間>を制した
しかし、2000年代に入り画期的なスピーカー・システムが現れた。富士通テンのECLIPSE TDである。
ECLIPSE TDは音楽再生の立脚点を、周波数バランスから時間軸上の正確な波形再現へと180度転換した。着想の基本となったのが由井啓之氏の「タイムドメイン理論」で、その中核を成すものが音楽信号で最も重要な<インパルス>(高さが無限大、時間幅が無限小で、面積が1となる信号)の正確な再現と伝達である。
従来のスピーカーシステムは、それ自体の筐体振動によりインパルスに余分な2次/3次情報が加わり、音楽信号の本来の波形のままでの伝達を乱していた。ECLIPSE TDはフルレンジシングル駆動で、ネットワーク回路を持たないため電気的な遅延や逆起電力の悪影響、歪みから根本的に自由である。ドライバーは共振と回析現象を完全に排した卵型エンクロージャーにアンカーでリジッドに支持し、俊敏な高速運動を実現した。
こうしてインパルス再現への妨害要素を排し音楽信号の正確な再現を実現したECLIPSE TDは、従来のスピーカー・システムで得られなかった音の立上り・立下りの明瞭さとスピードで音楽を描き出す。そう、スピーカーシステムが<時間>を制したのである。