個性豊かな4モデルに迫る
ハイクオリティな音とデザインにこだわる「PHIATON」 − 注目ヘッドホン&イヤホンを集中試聴
音質・スタイルともに洗練されたポータブルヘッドホン「MS 400」
本機はハウジングの素材に大きな特徴を持っている。イヤーカップの部分はカーボングラファイトファイバー、メインのエンクロージャーはポリカーボネートにABS樹脂と、それぞれに強度の高い異種素材を組み合わせることで、振動をより効果的に抑え込むつくりとしている。
カーボン素材はこのヘッドホンの外観上においても大きなポイントになっている。カラーバリエーションにはレッドとブラックの2色があるが、特にレッドはイヤーパッドとヘッドパッドに配置したクッションの赤色に、ハウジング等のパーツに用いている黒色とカーボンの素材感の組み合わせが鮮烈なイメージを持たせている。
そのハウジング内にはアコースティック・マテリアル材と呼ばれるパーツが仕込まれており、これもハウジング内の共振を防ぎ、反射音を抑制する効果を持っているという。さらにバスレフ構造を採用し、ドライバー後方に発生する低音を位相調整したうえでポートから前面に放出し、低音を強める。
イヤーパッドは肌触りにもこだわった素材を採用。イヤーカップは耳をすっぽりと覆う形状ではないが、コンパクトながら十分なクッション性を備えているおかげで、耳に当たる感触は心地よい。なおこのイヤーパッドは着脱可能なので、万が一破損した場合などには取り寄せ交換が可能だ。
サウンドはしなやかな音調が魅力の「PS 500」に対して、本機はアタックの強さやキレの良さが印象的だ。Helge Lien Trio「Spiral Circle」のドラムスは、まさに強烈なアタック。PS 500の重量感に対して、MS 400はスピード感に溢れる。スティックが打面に当たったその瞬間に、音がこちらに飛んできていると感じさせる。鮮烈なルックスにふさわしい、尖ったサウンドだ。
ベース音はアタックの瞬間の生々しさがポイントだ。弦が指板に当たるいわゆるビビりなど、音色の細かな成分まで拾い落とさず、その描写力が生々しさにつながっている。
Jimi Hendrix「Valleys Of Neptune」ではギターの歪みの粒が粗く感触は硬質。このギターはこう鳴らしてほしいというところと見事に合致。ベースとドラムスはタイトな響きで、リズムをストレートに引き締める。
荒井由実「ひこうき雲」のベースもやはりタイト。音色の広がりよりも芯の太さで存在感を出し、ベースラインは堅実。曲の構築をより強固なものとしている。歌声は緊張感とともに、すっとまっすぐに届き、張り詰めた切なさを存分に感じさせる。
【MS 400のスペック】●型式:ダイナミック ●ドライバーユニット:40mm ●入力インピーダンス:32Ω ●再生周波数帯域:15Hz〜22,000Hz ●出力音圧レベル:98dB ●最大入力:1,000mW ●質量(ケーブル除く):185g ●ケーブル長:1.2m ●付属品:6.3mmステレオプラグアダプター、延長コード、キャリングケース
◆PHIATONオフィシャルサイト 「MS 400」の製品情報
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