個性豊かな4モデルに迫る
ハイクオリティな音とデザインにこだわる「PHIATON」 − 注目ヘッドホン&イヤホンを集中試聴
外部騒音95%カットを実現したノイズキャンセル機能搭載の「PS 20 NC」
ノイズキャンセル機能を搭載する“ハーフカナル型”イヤホン。同社がハーフカナル型と呼ぶこのタイプの形状は、イヤーピースを耳に深く挿し込むカナル型ほどの違和感や圧迫感がなく、音質面でも密閉感が控えめで、聴き疲れしにくいのが特長だ。代わりにカナル型と遮音性が変わってくるわけだが、本機は独自の「ノイズブロッカー」技術によるノイズキャンセル機能を搭載しているので、その点も弱みにはならないというわけである。
そのノイズキャンセルの効き具合は極めて良好だ。試しに秋葉原の街中を歩きながら、本機のノイズキャンセリング機能の効果をテストしてみたが、ビル内ではオフィスビル独特の重い空調の響きをほとんど消し去ってくれた。そのままビルを出て交通量の多い通りに出たが、ゴォーというロードノイズなど、不快な低域騒音も見事にキャンセルされた。
バッテリーは単4形電池1本で約50時間の使用が可能だ。また電源オフ時にもスルー出力が可能なので、普通のイヤホンとして機能する。今回、実機で試聴を行ってみたが、ノイズキャンセリング機能をオンした状態と、オフした状態とで音質の違いが気にならなかったことも非常に好感触だった。音楽ソースが持つ魅力が、ノイズキャンセル機能オン/オフいずれの状態でも素直に再現される。ふだんメインのイヤホンとして使用するにあたっては、電池が切れても快適にリスニングが楽しめる安心感も大きなメリットになるだろう。
基本的な音質に関わるところでは、14.3mmの大口径ドライバーを搭載している。大口径ドライバーの振幅を、ハウジングの素材に合わせたダンパーなどを内部に効率よく配置したことで、音質のグレードを高め、不要な振動の徹底排除を実現している。このように入念なチューニングを行った結果なのだろうが、実にバランスのよいサウンドが再現される。
Helge Lien Trio「Spiral Circle」より、冒頭のドラムスは太さと引き締まり方の具合がちょうど良く、乱暴ではないパワフルさだ。そこに入ってくるウッドベースも木質の響きをよく引き出して好感触。ピアノは硬質さと滑らかさを併せ持ち、フレーズがよくつながっている。この音源はもっとガチガチとした音調での再生が妥当ではあるのだが、こういったしなやかな描き方もありだなと思わされる完成度だ。
Hilary Hahn「Bach: Violin Concertos」では空間性の良さが印象的だ。ハーフカナル型の利点として挙げられている部分だが、確かに閉塞感は薄く、ホールの広がりを想像できる音場感である。またヴァイオリンの高域が鋭すぎず、しかし心地よく切れ込んでくるのもよい。
優秀なノイズキャンセル機能によって生み出される静かな背景に、柔らかなタッチで音楽を描き出す。そのコンビネーションは大きな強みである。
【PS 20 NCのスペック】●形式:ハーフカナルタイプ ダイナミック型 ●ドライバーユニット:14.3mm ●インピーダンス:26Ω ●再生周波数帯域:15Hz〜22,000Hz ●出力音圧レベル:101dB ●最大入力:30mW ●質量:32.5g(バッテリー含む) ●ケーブル長:1.5m ●付属品:4種類のシリコンイヤーチップ(XS/S/M/L)、航空機対応デュアルプラグアダプター、キャリングケース、単4乾電池(1個)
◆PHIATONオフィシャルサイト 「PS 20 NC」の製品情報
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