導入手順を易しく解説
古いiPodが生まれ変わる! FLAC再生も可能にする「Rockbox」とは?(前編)
■Rockboxを導入するまえに
Rockboxをインストールするまえに、Roxboxの機能の概要と導入に際しての注意点を解説しておこう。
非公認のファームウェアを自己責任のもと導入する作業となるため、自分のiPodが対象機種かどうかなどのチェックはもちろん、そのiPodが万一回復不能になっても惜しくはないのか、冒すリスク以上のメリットが得られるのか、慎重に検討したうえで実際の作業に臨んでほしい。
・対象機種の確認
RockboxがサポートするiPodは、第1世代(1G)から5.5GまでのiPodと、iPod mini、iPod nano(1G〜2G)だ。
それらのiPodには、MP3やAACのリアルタイムデコードや、TFT/STN液晶コントローラ、NTSC/PALのテレビ出力など一種のSoCとしての機能を持つ、32 bitARM7コアを2基載せたPortalPlayer社製デュアルコアCPUが採用されている。仕様の多くは非公開だが、Samsung製CPUに代わられた第6世代以降とは互換性がないため、現行バージョンのRockboxは表2に挙げたiPodにしかインストールできない。
表2:Rockbox(v3.8.1)がサポートするiPod
モデル | 世代 | 発売開始 | 搭載されたCPU | 備考 |
iPod | 第1世代 | 2001年11月 | PP5002 | B/W液晶、機械式スクロールホイール |
第2世代 | 2002年7月 | PP5002 | B/W液晶、タッチセンサー式ホイール | |
第3世代 | 2003年4月 | PP5002 | Dockコネクタ | |
第4世代 | 2005年7月 | PP5020 | クリックホイール。iPod Photo含む | |
第5世代 | 2005年10月 | PP5021 | 別名iPod Video。QVGAカラー液晶 | |
第5.5世代 | 2006年9月 | PP5021と同等 5Gのマイナーチェンジ版 | ||
iPod mini | 第1世代 | 2004年1月 | PP5020 | 4GBモデルのみ |
第2世代 | 2005年2月 | PP5022 | 4GBと6GBの2種類 | |
iPod nano | 第1世代 | 2005年9月 | PP5021 | カラー液晶 |
第2世代 | 2006年9月 | Samsung ARM | CPUは337S3291-8701 |
・リスクの確認
RockboxにはWindows/Mac用のインストーラが用意されているため、導入の難易度はそれほど高くない。しかし、失敗するとiPodとしての機能は失われてしまい、外付けHDDとしてすら利用できなくなってしまう。
Appleは、iTunes経由で適用するという正規のファームウェアアップデート以外、iPodを保証対象外として扱うものと考えられるため、ファームウェアが破損したiPodは廃棄処分にせざるを得ない。このリスクをじゅうぶん認識したうえで、自己責任のもと作業に臨んでほしい。
・フォーマット種の確認
iPodに内蔵のディスクは、母艦にMacを利用するときはHFS Plus、Windowsを利用するときはFAT 32でフォーマットされている。Rockboxは、FAT 32でフォーマットされたディスクのみを対象とするため、Mac用に初期化されたiPodは、そのままでは使用できない。いちどWindows版iTunesでFAT 32に初期化しなおしたうえで、Rockboxのインストールに臨もう。
なお、FAT 32でフォーマットしても、転送速度の違いなど若干の機能差を除けば、Mac OS X版iTunesで支障なく利用できる。Windows版iTunesを使わずにフォーマットする方法もあるが(参考)、UNIXコマンドを使うなど難易度が高くお勧めできない。作業自体は数秒で終わるため、Windows版iTunesが手元にない場合は、知人のWindowsユーザーに依頼した方がいいだろう。