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PC+小型スピーカーで音楽を楽しむ

デスクトップで楽しむ高音質 − “ニュースタイルオーディオ”のススメ

公開日 2011/11/30 15:09 岩井喬
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魅力溢れるデスクトップの環境を生かしたスピーカー再生を


ネットオーディオの裾野が広がりつつある現在、PCが身近なミュージックプレーヤーといえるようになってきた。PCを使っているデスクトップ上でいかに良い音を楽しめるか、限られたスペースそして環境的に本格的なサウンドを求めるのは難しいと半ば諦めてしまってはいないだろうか。PC内蔵のスピーカーやデスクトップ用の小型アクティブスピーカーでもそれ相応の鳴りっぷりのものも増えてきているので、限られた環境下のなかでは満足しているという方も居られるかもしれない。

またその一方で、スペースを必要としないヘッドホンやイヤホンであれば、純粋にそのクオリティの高い製品を選んでいくことで最高のパーソナルサウンド空間を手に入れるということも可能である。確かに現在ヘッドホン/イヤホン市場は堅調に推移しており、高級モデルを愛用しているユーザーも少なくないだろう。

ここで、ヘッドホンアンプの中には小型スピーカーを駆動できる一般的なプリメインアンプとして使えるモデルも存在することにも注目したい。気分転換に普段のクローズドなヘッドホンの環境から一歩踏み出し、スピーカーを鳴らしてみるという選択肢も目の前に広がっているのだ。こうした選択肢を視野に入れてみるのも面白いのではないだろうか。

今回のテストの様子

かつてから小型スピーカーを楽しむ手法として、至近距離で楽しむ“ニア・フィールド・リスニング”というスタイル存在していたが、デスクトップの環境はまさにこのニア・フィールド・リスニングを踏襲したものである。

鼓膜までロスなくダイレクトにサウンドを届けるヘッドホンに対し、スピーカーは空気の伝播を利用し広がるように音が伝わる点で大きな違いがある。人の頭を模した特殊なマイクで収録するバイノーラル方式の音源ではむしろヘッドホン以外では楽しめないものだが、世間一般的に普及している音源の多くはバイノーラルではなく、マルチマイクやワンポイントマイクでの収録によって作られたものである。そうした音源に込められた音場感はスピーカーでないと自然に再生できないというものも少なくない。

それではデスクトップ環境で高音質は再現できるのか、というそもそもの疑問についてであるが、PCとオーディオを繋いでくれるUSB-DACの普及によって、現在実現できるニア・フィールド・リスニング環境では、サウンドボードからアナログで接続されるかつての小型アクティブスピーカーのサウンドとは大きなクオリティの差が生まれている。

PCに溜めた音楽ファイルを再生するプレーヤーソフトウェアの精度も高まっており、ソース元として最有力なものがPCとなっているなか、一番親和性が高いものがデスクトップに対応した小型スピーカーシステムなのだ。

定番の音楽再生ソフトのひとつ「foobar2000」

USB入力とアンプを内蔵したアクティブスタイルはもとより、USB-DACそのものが小さくなったので、小型アンプとスタイリッシュかつ個性的な小型スピーカーを組み合わせてオリジナリティ溢れるデスクトップ環境を構築することも可能である。

今回PCをソース源としたいくつかのシステムを提案させていただくが、いずれも見映えからは想像できない本格的な再生を目指したものばかりとなっている。そのなかにはリスニングルームでもなかなか味わえない、ナチュラルで鮮度の高い音場、音像描写を見せてくれるシステムも含まれている。

PCとオーディオを分けて考えている方、ヘッドホンで楽しまれている方もぜひ、魅力溢れるデスクトップの環境を生かしたスピーカー再生を実践いただければと思う。

【プロフィール】
岩井 喬 Takashi Iwai
東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。


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