PC+小型スピーカーで音楽を楽しむ
デスクトップで楽しむ高音質 − “ニュースタイルオーディオ”のススメ
無理のないナチュラルなサウンド傾向 |
<スピーカー/アンプ> ECLIPSE TD307PAII ¥63,000(税込) | |
<DAC> KEY SOUND UDA923BF ¥0PEN(予想実売価格43,000円前後) |
デスクトップに置くことができる手軽さとはある種相反するが、この限られたスペースでどれだけ原音に忠実な高音質を実現できるか、その一つの回答といえる組み合わせが「TD307PAII」と「UDA923BF」だ。音に対しての脚色が少なく、音源を鮮度良くストレートに再生してくれる傾向を持っており、ニュートラル基調のモニターシステムに近いサウンドを持っている。
「TD307PAII」はタイムドメイン理論をベースに開発されたTDシリーズの最小モデル「TD307II」と、円錐形状のユニークでコンパクトなパワーアンプユニット「TDA501II」を組み合わせた手頃なシステムだ。
6.5cmフルレンジドライバーを搭載した「TD307II」は、タイムドメイン理論の核となる時間領域に着目、音を構成する要素である振幅及び位相周波数特性が含まれた波形を元の通り再現するという点を重視した設計となっており、不要な振動をキャビネットに伝えない仮想フローティング構造や内部定在波及び回折効果、共鳴を抑えこむタマゴ型キャビネットを採用。他にはない独自性溢れるフォルムとサウンドを実現させている。
そしてこの「TD307II」とセットされる専用アンプ「TDA501II」であるが、円錐状の頂点部が電源スイッチ兼ボリュームになっており、底部は音質に考慮した3点支持方式を採用。RCAと2系統のステレオミニ入力、さらにサブウーファー出力も用意されるが、機能面ではリモコンやEQも廃してサウンドの純度にこだわったつくりとした。
「UDA923BF」はUSBバスパワーで駆動できるシンプルなUSB-DACで、48kHz/16bitまでの対応と幾分控えめの仕様となっている。一般的に音源として用いることが多いCDリッピングによる非圧縮ファイル再生を中心に捉えると、逆にその抑えたスペックの中で回路構成やパーツのチョイスにこだわった方が音質に対してのメリットがあるという信念の基、開発された意欲的なモデルである。
コンデンサーの持つ音色を嫌い、全段直結のDC回路構成とし、電源は±12VのDC/DCコンバーターを搭載。オペアンプ選択の幅を広げ、音質チューニングも一層踏み込んだものとすることができる。出力段はオペアンプのデメリットである雑味を解消するトランジスタバッファや安定度を増すDCサーボ回路を追加し、DACの基礎体力を根本から鍛え上げた構成としている。
無理のないナチュラルなサウンド傾向で、リアルな立体感とともに中域の厚い、落ち着いたトーンを味わえる。管弦楽器は伸び良く、ボーカルは滑らかで自然に浮き立つ。総じて付帯感は少なく、空間の広がり、奥行きも深く感じられる。クラシックの音場は粒立ち良く、ジャズピアノは厚みがあるタッチを響かせる。ウッドベースの胴鳴りは素直な響きで、指の動きも鮮明に感じられた。音場の密度は濃く、残響感も的確に描き出し、ソースの録音状況まで事細かに理解できる明晰なサウンドといえる。派手な脚色や誇張もなく、真の解像感の高さを実感できるシステムだ。
インテリアデザイナーが見たスピーカーデザイン |
アンプとスピーカーがセットでデザインされているというのは、購入にあたって大きなポイントのひとつだろう。デザインの統一感に敏感なユーザーというのは絶対に存在しているからだ。
例えば、アンプとスピーカーを別々のデザインのものを使っていて、アンプについてデザインがあまり気に入らないというケースもあるかもしれない。その場合でもアンプを隠してしまうわけにもいかないので、始めからデザインが統一されているという点に魅力を感じるユーザーもいるのではないだろうか。
インテリアとしては、何かにこの製品を合わせるというよりも、この製品が単体でハッキリとしたひとつの世界観を演出できるデザインと言える。このスピーカーが好きだとなったら、パソコンもこの製品に近い色のものを選んでしまいたくなるくらいの存在感だ。
現行機のカラーをホワイトにしたというのも時代に合っていると言える。インテリアとしては、こういう白は合わせやすいのだ。ちょっとアンティークな木の棚の上に置いてあっても栄えるような色ではないだろうか。