【レビュー】第3世代「iPad」の実力を検証 − Retinaディスプレイに死角はないか?
■iPad 2と同程度のサクサク感を維持
ディスプレイが高解像度化すると、画像処理の負荷が上がる。特に今回は画素数が一気に4倍になったのだから、それ相応の対策をしないと、これまでのiPad 2のようなスムーズな表示感覚は得られない。
第3世代iPadでは、プロセッサーにカスタム設計のデュアルコアSoC「A5X」を搭載。グラフィックスプロセッサー部分はクアッドコアとし、高解像度をサポートする。
実際に様々なアプリを表示し、スクロールなどをさせてみると、iPad 2と同程度のキビキビとした動作を実現している。場合によっては、第3世代の方が上回っているのでは、と感じる部分もあったほどだ。画面の高解像度化によって、サクサク感を一切犠牲にしていないことは高く評価したい。
バッテリーの持続時間については、今回は時間の都合で厳密なテストはできていないが、体感的にiPad 2よりバッテリー残量が速く減っていくという感覚はない。アップルはiPad 2と同等の持続時間を維持していると説明しており、この言葉を信じれば、初代iPadからの長所である、ロングライフバッテリーという特徴は今回も維持されているようだ。
■カメラ部も進化。5メガピクセルの撮影に対応
カメラ部も5メガピクセルに進化した。AFにも対応している。撮影してみると、蛍光灯下の明るい部屋でもノイズが出てしまうなど、それほど性能は高く無い。特にiPhone 4Sと比べると、画質性能は少しガッカリしてしまうレベルだ。また、iPhoneで利用できる「HDR」なども使えない。
とは言え、iPad 2のリアカメラでは720×960ピクセルでしか撮影できなかったことを考えると、5メガピクセルに画素数が増えただけでも、用途は大きく高まったとも言える。
また本機は、1080pの動画再生にも対応している。ただしこちらもセンサーの能力不足によるものと思われるノイズが目立ち、高画質で撮影したいという方に薦められるレベルではない。
アップルでは今回の第3世代iPadの進化のポイントとして、カメラ機能の向上も挙げている。たしかにスペックが上がっていることは確かだが、最新のスマートフォンやコンパクトデジタルカメラなどに比べ、性能は明らかに劣る。ディスプレイが非常に高精細なだけに、iPad自体で撮影した静止画や動画のクオリティがそれほど高くないというのはもったいない。