【レビュー】第3世代「iPad」の実力を検証 − Retinaディスプレイに死角はないか?
■iPad 2に比べ明らかに本体が熱くなる
最後に、気になった部分について触れておこう。今回はケースを未装着の状態でテストしたのだが、第3世代iPadはiPad 2に比べ、明らかに本体が熱くなるのだ。ホームボタンを下にして、左手で縦持ちするというスタイルはごく一般的なものだと思うが、この状態で、左手の手のひらから指先あたりが最も熱くなるのは残念なところだ。
iPad 2と第3世代iPadの、該当部分を表面温度計で計測してみたところ、iPad 2はおおむね30度前後で、手に持ってもほぼ熱さを感じないレベルなのに対し、第3世代iPadは33度前後をキープし、少し持っているだけで不快に感じられる。これを回避したいのであれば、縦持ちする際は本体の上下を逆にし、ホームボタンを上にした状態で持つことを心がけたい。さらに横持ちにする際も、なるべくこの発熱部分を避けてグリップした方が良いだろう。
第3世代iPadは、ほぼすべての部分でiPad 2を上回っている、あるいは同等レベルにキープしているが、この発熱だけはかなり残念なポイントだ。
もっとも、多くの方が背面カバーなどを装着するだろうし、カバーで熱をある程度吸収できるのであれば、この発熱はそれほど神経質に考える必要はないかもしれない。
第3世代iPadの実力を駆け足で見てきた。画質をはじめとした作り込みの精緻さに唸らされると同時に、そのベースとなったiPad 2の高い完成度に、改めて気づかされた。
今回の第3世代iPadのディスプレイのクオリティは文句なく素晴らしいが、発熱など、おそらくはこのディスプレイのために犠牲にしている部分もある。
第3世代iPadはAndroidタブレットなどに比べて非常に高い商品性を実現していると考えるが、もしディスプレイやカメラの画質にそれほどこだわらないというのであれば、第3世代iPadに比べ安価に購入でき、同程度のサクサクした動作を実現し、なおかつ発熱が少ないiPad 2も、依然として魅力的なモデルと言えるだろう。