ハード買い替え無しでBDの音質を向上
ドルビー、BDを高音質化する「ドルビーTrueHDアドバンスド96kHzアップサンプリング」を発表 − 大橋伸太郎が現地レポート
凡百のアップサンプラーが真似出来ない
“Dolby Media Producer"の高度な処理能力
映画BDの音質改善を目的に、ドルビーが48kHzサンプリングのため新たにアドバンスド96kHzアップサンプリング機能を追加した業務用エンコーダー・ソフト・スィートが“Dolby Media Producer"である。
MLPロスレス圧縮がドルビーTrueHDの基礎を成したのと同様、アドバンスド96kHzアップサンプリングにも英メリディアンの技術が活かされている。アップサンプラーは世の中に溢れているが、メリディアンの開発したアップサンプラーとアポダイジングフィルターは非常に高い処理能力を持ち、コンテンツ制作の上流でアンチエイリアスフィルターの弊害としてマスター内に発生するプリリンギング・ノイズを特定しマスクすることが出来る。
映画のサウンドトラックはセリフ、音楽、SEなど多岐に渡る要素をファイナルミックスして誕生するが、コンテンツ制作上最も肝要なプロセスである音源をAD変換する際、発生する歪とノイズの要因を抑圧する機能が“Dolby Media Producer"に今回追加された。
このドルビーTrueHDアドバンスド96kHzアップサンプリング機能をTrueHDエンコードに用いるの大きな利点として、エンドユーザーに製品の買い換え等新たな投資を要求せず、フルコンパチブルのまま高音質が得られることが挙げられる。
もともとの音声が48kHzで制作されていても、“Dolby Media Producer"で96kHzにアップサンプリングされたコンテンツのビットストリームは、AVアンプに入力されロックした後、アンプの内部の全信号経路で96kHz処理される。アンプ内部でロスレス音声がデコードされると、ルームイコライゼーションやベースマネージメントに至る様々な処理が行われるが、DSPのそうした作業にもハイサンプリングによる音質改善は大きい。
またAVアンプが同様のアップサンプリングをする場合の演算負荷をパッケージ内に移すことで、アンプの性能を高めることも期待できる。これら全てがドルビーTrueHDアドバンスド96kHzアップサンプリングのメリットである。