HOME > レビュー > ティアック「Reference 501シリーズ」を聴く(第1回) ヘッドホンアンプ「HA-501」

特別企画:短期集中連載

ティアック「Reference 501シリーズ」を聴く(第1回) ヘッドホンアンプ「HA-501」

公開日 2012/10/23 10:16 岩井喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

HA-501は、左右チャンネル間の干渉を抑えるデュアルモノラル構成を採用したほか、入力段のオペアンプには美しい高域と芯のある低域再生を両立させるFET入力方式のMUSES8920を左右に1基ずつ配置。内部電圧は±15Vの高電圧でドライブさせることでS/Nの改善も図っており、厳密な試聴を繰り返して決定されたという各部の高品質パーツの投入もサウンドの上品さを決定づける重要なファクターとなっている。

本機の大きな特徴といえるのが“ダンピングファクターセレクター”機能である。ドライバーにおける振動板の構造や材質、特性によってヘッドホンごとにばらつきのあるダイアフラムの動作を理想的にコントロールできるように考慮された機構であり、音量ボリュームの隣に設けられた5段階(LOW、MID、HIGHと各々の中点)の切り替えスイッチによって最適なダンピングファクターを選択できるというものだ。

ダンピングファクターを切り替えられるのが本機の大きな特徴だ

ヘッドホンが持つ大きな課題として、モデルごとにインピーダンス値が数Ωから600Ω、1kΩという非常に広い範囲でばらつきがあり、ヘッドホンアンプ側もヘッドホンごとに最適なドライブができるよう、これに合わせることができる柔軟な設計が求められている。

このダンピングファクターとインピーダンスも相関関係にあり、ローインピーダンスモデルはハイダンピングファクターとなり、引き締まったサウンド傾向となる。もちろんそうしたサウンドが好みであれば問題はないが、ダンピングファクターセレクターをLOW側に切り替えることでマイルド指向のサウンドに変化してゆく。使用するヘッドホンのインピーダンス値とともに、好みやその時々の気分で臨機応変に活用したいユニークな機能といえるだろう。

このほか電源部には磁束漏れを抑えて電磁誘導ノイズを防ぐ大容量トロイダルコアトランスを搭載。電源コネクターもIECタイプの着脱式となっており、将来的に電源ケーブルのグレードアップも可能だ。入力はノイトリック製の高信頼性コネクターを搭載したバランスXLR入力1系統とアンバランスRCA入力(ワイドピッチ)2系統、前面パネルのステレオミニジャック入力1系統を装備。ヘッドホン以外のライン出力はアンバランスRCAが1系統用意されている(ボリューム連動・非連動・出力オフの切り替えも装備)。ボディはバンパーを兼ねるサイドパネルやフロントパネル、トップパネルにはアルミ材を採用。内部にはフロントとリアを繋ぐ強固なスチール製ビーム板を取り付け、徹底的な強度と制振性を追求した。

背面端子部。バランスXLR入力1系統とアンバランスRCA入力(ワイドピッチ)2系統を装備。前面にはステレオミニ入力も備える

トップパネルにはアルミ材を採用

さらに細かいポイントでは、アルミ製ノブによる上質な操作性と電源スイッチのトグル操作の小気味良さによって安定的な高級感を演出するほか、ヘッドホンの差し替えで不意の大音量から耳を守るためのオートミュート機能も装備され、細部まで配慮が行き届いた日本ならではの上質なプロダクトと評価できる。

電源はトグルスイッチを採用

次ページHA-501の品位を様々なヘッドホンで確かめる

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: