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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第22回】「秋のヘッドホン祭2012」− これが高橋敦の“超”個人的ベスト5!

公開日 2012/11/02 10:10 高橋敦
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【第3位】TEAC「UD-501」

第3位はTEACの「UD-501」。TEACが新たに展開するA4サイズハイクオリティコンポーネント「Reference 501」シリーズに属するDSD対応USB-DAC/ヘッドホンアンプだ。これにはあらかじめ注目しており、実物を確認する機会を楽しみにしていた。

上段が僕的な主役のUD-501、下段はHA-501。左右に装備されたハンドルが業務用のラックマウント機器を想像させ、かっこいい

この表示を見かけるとついついアップで写真を撮りたくなるのが僕の癖だ。しかし今回はこの表示も珍しいものではなくなっており、DSD-DACの進展を感じられる

まず実物を見るとサイズ感が絶妙で、本格コンポーネントとしてはコンパクトなのだけれど物量を投入するための内部スペースは十分にありそう。またスイッチ、ボリュームの感触の良さも好印象だ。

同シリーズのデュアルモノラルヘッドホンアンプ「HA-501」との組み合わせでセッティングされており、万全の試聴環境が用意されていたので、ありがたく聴かせてもらった。

僕がDSD音源に期待する音色の滑らかさや艶やかさ、そして密度感のある厚みが確かに発揮されている。それでいてそれらの要素を過剰には押し出しておらず、DACとヘッドホンアンプの癖のなさも感じられ、バランスが良い。これはかなりオールマイティな対応力を持った組み合わせと感じられる。好感触だ。

なお再生ソースとして接続されていたPC上では「TEAC Media Player」というアプリが動作していた。これはTEAC独自のDSD再生対応プレイヤーアプリで、購入者向けにダウンロード提供されるとのことだ。

【第2位】MYTECH DIGITAL「Stereo 192-DSD DAC M」

第2位はMYTECH DIGITALのDSD対応USB-DAC/ヘッドホンアンプ「Stereo 192-DSD DAC M」。しかしこれの印象の強さは単独でのものではなく、展示システムの組み合わせに「なるほど」と思わされたのだ。

Stereo 192-DSD DAC M。末尾の「M」はマスタリングバージョンを表しており、入力端子の一部が「P」(プリバージョン)と異なる

そしてその下段に組み合わせられていたのが同じく今井商事が取り扱うCANOR AUDIOの真空管搭載ヘッドホンアンプ「TP10」

このDSD-DAC+真空管ヘッドホンアンプという組み合わせは実に魅力的な音を出していた。前述した僕にとってのDSDの大きな魅力、滑らかさに艶やかさ、密度感のある厚みといった要素は、真空管の魅力とも重なる。そこに相乗効果が生まれ、お互いの魅力がより引き出される印象なのだ。

それぞれ20万円超、10万円超の製品なのでなかなか手が届かないのだが、この組み合わせに気付かせてもらえたことは大きな収穫だ。もっと安価なDSD-DACと、安価&小型な真空管ヘッドホンアンプ(例えばCarot One FABRIZIOLOとか)といった組み合わせは、いずれぜひ試してみたい。

【第1位】R.S.A サミエルズ「EMMELINE A-10」

さて、そして秋のヘッドフォン祭2012で僕に強い印象を残した第1位は、R.S.A サミエルズのブースに鎮座していた「EMMELINE A-10」だ。

本体+電源供給セクションの二段構成。写真だと大きさがいまいち伝わりにくいかと思うが、「でかい…でかすぎる」とだけ言っておこう

えーと真空管なヘッドホンアンプなのだが、とりあえずまずは、何をどうしたらヘッドホンアンプで9本もの真空管が必要になるのか「??」と思わされた。で、確認したところ、エレクトロスタティック型ヘッドホンに対応するアウトプット(パワーアンプ部)の駆動に4本の真空管を使っているとのこと。

まあそれも含めて相当に贅沢な中身であることは、その真空管の本数と、全体の巨大さ、さらには電源供給が別筐体というところから容易に想像できる。想像できるというかむしろ、強制的に想像させるだけの迫力がある。

ヘッドホン出力端子には「ELECTROSTATIC HEADPHONES」の記載があり、そして端子形状はこれ。つまりSTAXのイヤースピーカーに対応する。なんとピンポイントでマニアックな…

もちろんSTAXのエレクトロスタティック型イヤースピーカーがセッティングされており、それで試聴させていただいたが、厚みと繊細さを兼ね備え、音色の充実感というか音にエネルギーが込められている感も素晴らしく、これはひたすら純粋に感心させられた。これを第1位に選んだ理由は、見た目の第一印象の強烈さもあるが、何しろ音の印象の強さだ。これが6,500ドルなら安い!…いや安くはない!(←あまりに僕好みの音に冷静な判断力を失いかけた)

以上、今回も実に満足度の高い展示内容だった。だがしかし個人的には大変な失敗を犯してしまったのである。ア、「アンティークヘッドフォン友の会」のブースのチェックを忘れてしまった…毎回楽しみにしているのになんでこうなった。無念を抱えたままレポート終了です…。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。


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