【特別企画】短期集中連載
ティアック「Reference 501シリーズ」を聴く(第4回) CDプレーヤー「PD-501HR」
試聴は本誌試聴室で行った。後述するが、試聴室の常備のアンプとシリーズのAI-501DAの両方と組み合わせて試聴した。PD-501HRの音質を一言で表現すれば、色付けや演出がなく端正で飾り気のないまっとうな音質の、小なりともプレイバックレファレンスとして使えるディスクプレーヤーである。
■小さな筐体に似合わないスケールの大きなサウンド
何よりも好印象を受けたのが、小さな筐体に似合わず再生にスケールがあることだ。ユンディ・リ(pf)が小澤征爾率いるベルリンフィルと共演した「プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第二番」のライブCDは音場表現に確かな奥行きがあり、ピアノとオーケストラの距離感を生々しく的確に表現して驚かされる。
最終楽章のBPOらしい凄みをちらつかせる低音効果も十分で、低域への伸びに本機の剛体設計とVACSの効果が覿面に現れている。色付きのないリファレンス的な実直な音作りが奏功してBPOの音色の多彩さをさり気なく描き分けるのもいい。
ユンディ・リのピアノの張り詰めた高域の芯も美しく表現し倍音の伸びもきれいに再現する。ジャズはエレクトリックベースの低域は解像感があってぼやけず量感は十分で弾力があり、音像表現に甘さがなく、コンボのインタープレイらしいビジブルな立体感がある。
実直で素直な音質がPD-501HRの持ち味だが、そこには色付けして誤魔化さない一種の「厳しさ」もあり、Referenceの名に恥じない硬派なピュアオーディオ製品だ。
こうした特長から、良いアンプと組み合わせるほど本機の音質の良さが引き出される。統一デザインのクラスDデジタルプリメインAI-501DAと組み合わせた場合、純正組み合わせの理で一定のバランスが確保されるが、そこに安住するよりも本機の音質上の伸びしろを見て、敢えてバランスを崩してでもより上級のアンプと組み合わせる方法が考えられる。それほど伸びしろの大きいディスクプレーヤーがPD-501HRである。
(大橋伸太郎)