[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第38回】人気モデル後継機の実力は? USB-DAC搭載ポタアン、FiiO「E07K」を試す
■はiPhone 5と組み合わせてポタアンとして使う!
まずポタアンとしての機能をチェック。iPhone 5とSHUREの「SE535」を組み合わせて聴いてみた。
iPhone 5のヘッドホン出力の特徴であるカチッとした硬質さを和らげて、アナログ的な馴染みの良さを出してくれることが本機の持ち味と感じる。
上原ひろみの「MOVE」では、冒頭のピアノの艶やかさでiPhone 5直結との違いをいきなり感じる。ライドシンバルをあまり薄刃にせず、厚みもある音色にすることも特徴的。ベースとドラムスは少しもこっとするのだが、暖かみのあるもこっとなので、好ましくも感じられる。音色の押し引きの幅が広がるおかげか、音場の立体感が増すのも嬉しい。
相対性理論「ミス・パラレルワールド」も、ほどよい柔らかさで描き出す。この曲のハイハットシンバルは荒く強い音色なのだが、それを少し優しく整えることがポイントだ。ロック的な荒いキレは弱まるが、聴きやすい音になっている。ベースのスタッカートも、スパスパッとは切らず、スタッカートではあるけれどつながりを少し残した、滑らかなフレージングに聴こえる。ボーカルもシャープな成分は強く出さずにソフトタッチだ。
宇多田ヒカルの「Flavor Of Life -Ballad Version-」との相性は特に良好。声の輪郭を適当にほぐして、ふわっと優しく耳に届けてくれる。
■続いてMacと組み合わせてUSB-DACとして使う!
続いてはMacBook Air+再生アプリ「Audirvana Plus」を再生ソースとして、USB入力時の実力をチェック。
iPhone 5からのアナログ入力と比べるとやや硬質で、音色の艶やクリアさをより強く感じられる。それでいてやはりカチカチとした感触にはしておらず、良質な硬質さだ。
上原ひろみ「MOVE」の冒頭のピアノは、その心地よい硬質さを特に感じられる部分。高音をキンと響かせながらも耳障りではない。アナログ入力時と印象が異なる部分としては、ライドシンバルはより薄刃でシャープ、ベースはアタックのゴリッと来る成分もほどよく引き出す。一方で全体としては、解像感を確保しながらも強調はせずに馴染みの良さが印象的という、アナログ入力時と変わらない持ち味を備えてもいる。
相対性理論「ミス・パラレルワールド」でも、ベースはゴリッと来る成分もほどよく出してくれる。またアナログ入力時には少しおとなしくなっていたハイハットシンバルのズシャッと濁点の効いた荒さもこちらでは生かされる。ボーカルもアナログ入力時よりはシャープで明るい印象。
宇多田ヒカル「Flavor Of Life -Ballad Version-」では、柔らかさも生かしつつの、声の張りと透明感がポイント。歌に勢いとクリアさがあり、耳に気持ちよく飛び込んでくる。
なお両環境でイコライザーの効き具合も確認したが、高音も低音も段階ごとに滑らかに自然に調整できた。イコライザーの帯域や増減幅がうまくチューニングされていることに加えて、土台となる基本の帯域・音質バランスが整っているからこそだろう。特に+2〜+4(+2段階)程度のイコライジングだと、本当に自然にその帯域を軽くプッシュしてくれる。
というわけで、Fiio E07K。USB-DAC搭載ポタアンとして、手頃な価格と十分に納得できる音質と機能を兼ね備えた製品だ。USB-DAC搭載ポタアンに興味を持ち始めた方はチェックして損はなし!
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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