[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第51回】大好評につき第2弾! オススメのスマホ高音質化アプリ紹介 〜iOS編その2〜
このアプリでは再生中の曲を表示する画面から効果のオンオフを切り替えることができるので、試してみよう。
SHURE「SE215」を使って試した印象としては、まず高音域が落ち着きを増す。相対性理論「マイハートハードピンチ」では、オフの状態だとハイハットシンバルやスネアドラムのスナッピー(共鳴弦)など金属質の音の荒さが目立つが、オンにするとそこが穏やかで癖のない音色にまとめられる。ボーカルの感触も変化する。
前述の「マイハートハードピンチ」と宇多田ヒカルさんの「Flavor Of Life - Ballad Version -」のどちらにおいても、オフからオンにすると声の厚みと柔らかさが増す印象だ。声の明るさやストレートな抜けっぷりは控えめになるが、女性ボーカルの湿度感やしなやかさをより楽しめる音にしてくれる。
他に「SE535」とApple標準付属イヤホン「EarPods」でも試聴してみたが、総じての印象として落ち着きと厚みを増すことは共通する。また前述のスネアドラムとハイハットシンバルの音色はSE535でも大きく変化した。このあたりの帯域のチューニングにAudysseyのこだわりがあるようだ。
さてこのアプリには、音をさらに自分好みにカスタマイズする機能も用意されている。
「TILT」は日本語にすると「傾き」といった意味。ライン上のポイントを左側の「MORE LOWS」または右側の「MORE HIGHS」に向けてドラッグすると、それに合わせて低音から高音までのバランスを整えてくれる。
実際使ってみると、効果が極端ではないのがポイントだ。最も低音側にしても高音がモコモコになりすぎることはないし、逆に最も高音側にしても低音がスカスカになりすぎることはない。まずは両極端のセッティングで効果を試してみて、好みに近い音がした側で音質を微調整すればよいだろう。
「BASS / TREBLE」はそのまんま、低音と高音のイコライザーだ。それぞれの帯域をプラスマイナスで調整できる。
こちらも効き具合は大袈裟すぎず、イコライザー機能としては使いやすい。しかし前述のTILTならば低音と高音を連動して一発でバランスよく設定できて使いやすいため、まずはそちらで調整することをおすすめする。
ただ、TILTは低音を上げれば高音が下がり、高音を上げれば低音が下がるというように連動しているため、低音も高音も共に上げるまたは共に下げるというセッティングはできない。なので例えば、低音と高音を共に持ち上げたドンシャリにしたい場合は、BASS / TREBLEを使うことになる。
という感じで、お使いのイヤホンが対応リストに含まれてさえいれば、これはかなり効果的なアプリだ。派手ではない節度のある効き方に好感が持てるし、もう少し味付けがほしい場合に対応できる設定も備えているので万全と言える。
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