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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第51回】大好評につき第2弾! オススメのスマホ高音質化アプリ紹介 〜iOS編その2〜

公開日 2013/06/28 10:15 高橋敦
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WAVやALACにも効果アリ! 音源復元アルゴリズム搭載アプリ「FANTABIT」

続いて紹介するアプリは「FANTABIT」(800円)。この手のアプリとしてはやや高価だが、それだけの価値があるアプリだ。

「FANTABIT」
https://itunes.apple.com/jp/app/fantabit/id506232017

このアプリは日本のDIGITAL ACTというメーカーが開発した音源復元アルゴリズム、その名も「FANTABIT」を搭載。その効果によって音声データの圧縮によって失われる空間表現力を回復し、ニュアンスやディテールを復元し、音の柔らかさや豊かも復元するとのことだ。

再生中の画面。レベルメーターと再生中の音源の形式やスペックの表示が特徴

ライブラリブラウズの画面。標準のミュージックアプリとは違い、プレイリストやアルバムをタップしても画面は移動せず、その画面の中で内容が表示される

売り文句としては言ってしまえば昔からよくある「圧縮音源の補完機能」なのだが、その性能=音質の優秀さがこのアプリにならではの価値を生んでいる。さて、まずはその高音質化技術を含めて音質周りの設定を確認していこ…

せ、設定項目がない!?

…実はこのアプリ、核心であるFANTABIT技術のオンオフも含めてイコライザーも何も、音質周りの設定項目というのがない。「いいから黙って聴け。悪いようにはしない」的な自信を感じさせる仕様だ。その自信、嫌いではないっ!

では黙って聴くとしよう。AAC/256kbpsの音源を標準のミュージックアプリで聴いた後にFANTABITで再生して聴き比べてみた。圧縮音源と言えどもAAC/256kbpsの音質はかなり優秀だが、それでもFANTABITは効果を発揮するのか?

…結果、効果大!特に音の明るさと抜けについては大きな効果を実感できる。

相対性理論「ミス・パラレルワールド」では、全体の明るさが増して見通しがよくなったことで、売り文句通りに空間性が実に豊かになっている。またハイハットシンバルも確かに嫌な硬さを和らげているのだが、しかしそれでいてピシッと芯の通った感じは強まっており、実に好ましい明確さを持った描写だ。ボーカルもほどよく明るく、やくしまるえつこさんの声の倍音成分をシャープにしすぎずに柔らかく表現してくれるのもまた好ましい。

宇多田ヒカルさんの「Flavor Of Life - Ballad Version -」のボーカルも好感触だ。やはり絶妙にソフトタッチで、声の輪郭が柔らかい。その柔らかさが彼女の声の低音の豊かさもより引き出してくれている。

なおFANABITは非圧縮のAIFF/WAVやロスレス圧縮のApple Losslessに対しても効果を発揮する。変化の傾向としてはAAC/256kbsの場合とおおよそ同様だ。

という感じで、何の苦労もなくというか何も工夫の余地もなく、自然な高音質を得られてしまうアプリだ。アプリとしては少しお高いが、新しいイヤホンを買うよりは格段にお安い。いま使っているイヤホンを基本的に気に入っていて、その音調をそのままにさらりと音をよくしたい方には特におすすめだ。

ただし最後にひとつだけ注意点。これを使って再生しているとバッテリーの減りが少し早くなる。音声処理にCPUパワーを多く投入しているためだろう。なので普段からiPhoneのバッテリーのやりくりに苦労しているという方は、少しきついかもしれない。そこで、それでもこのアプリの音が気に入ったという場合は、お古のiPhoneに音楽再生専用として復帰してもらうのも手だろう。手元にある方は検討してみてほしい。

次ページ最後は、名の知れたエフェクターメーカーBBE Soundから登場したアプリをご紹介!

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