[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第51回】大好評につき第2弾! オススメのスマホ高音質化アプリ紹介 〜iOS編その2〜
■エフェクターメーカーBBE Soundから登場した「SonicMax Pro」
今回最後の紹介は「SonicMax Pro」(250円)。音質設定機能が簡略化されている代わりに少しお安い「SonicMax」(85円)も用意されている。
「SonicMax Pro」
https://itunes.apple.com/jp/app/sonicmax-pro/id478366186
開発・販売元のBBE Soundは、スタジオやギター向けのエフェクター分野では名の知れたメーカー。そのBBEの代表的な技術は原音に忠実な再生を実現する「BBEプロセス(ソニック・マキシマイザー)」だ。
ざっくりと説明するとこの技術は、信号が伝送・処理される際に高音域に遅れが生じることに着目し、中音と低音に僅かな遅延を加えることでその遅れを相対的に補正。それによって本来の音質を回復させるというもの。1984年に開発されて現在まで磨かれてきた、実績のある技術だ。このSonicMaxアプリにもそれが搭載されている。このアプリは他にもBBEの音質技術をいくつも搭載している。
まずは特に設定を変更せずに、デフォルトの状態での音質を確認。設定画面で各種音質機能を一括してオンオフできるので、それを利用して素の音と比較した。
相対性理論「マイハートハードピンチ」ではベースが明らかに強められている。しかしボヨンとした膨らみ方ではなく、弾力のある良質な太さなので、これはこれでアリだ。ボーカルも同様に太さ厚みを増している。スカッとした抜けは控えめになり音場全体の密度が高まり、図太く重厚な再生だ。これはこのままの設定でも十分に気持ちいい。
しかし、このアプリの本題は「FANTABIT」とは対照的に豊富な音質調整設定だ(Proではない無印版ではこの部分が省略されている)。まずは設定画面を見てほしい。
設定項目が「BASS」「TREBLE」とかではなく、このメーカー独自のものとなっていることがポイントだ。だから、項目の名称から効果をストレートには推測しにくい。実際に使う際には、それぞれの項目をタップすると小さな文字で説明が表示されるので、それを参考にしつつ設定を動かして効果を探っていこう。参考までに、以下にそれぞれの説明の意訳と僕が実際に聴いての効果の印象を並べておく。
Lo Contour:低音域の細部描写や暖かみを復元。主にベースの帯域の太さや存在感が滑らかに変化する
BBE Process:高音域の透明感や鮮明さを復元。ボーカルやギターを筆頭に全体の明るさや抜けが滑らかに変化する
iSet:中音域のツボとなる周波数帯域を設定。BBE Processを最大にした上でこれを動かすと、中音域を強調あるいはすかっと抜くといった効果がわかりやすい
Sound Field:ソニックデプス(←何のことやら…)と超高域を拡張。おおまかな効果としてはBBE Processと重なるのだが、効き具合のニュアンスが異なる
Mach3 Bass:もっとドカンと来るように低音域を引き上げる。このツマミで強調する低音の帯域を決めてMach3 Gainで強調の度合いを決める
Mach3 Gain:もっとパンチを効かせるために低音のゲインを引き上げる。Mach3 Bassで設定した帯域に対してこのツマミで強調の度合いを変える
効果が重なっていたりふたつのツマミが連動していたりと、ちょっとわかりにくいとは思う。しかし前述のようにデフォルトの状態でもよい音なので、それをベースに各ツマミをいじってみてそれぞれの効果を徐々に把握していけばよいだろう。なお設定画面の下の方に「Reset」ボタンが用意されている。いじりすぎて元の音がわからなくなったときにはそれを使ってデフォルト設定に戻せばよい。
という感じで、デフォルト設定で図太い音を得ることができて、詳細なカスタマイズも可能というのがこのアプリの特長だ。設定次第では繊細な音にもできるだろうが、持ち味を生かして図太い音を出したい方に特におすすめしたい。
…というわけで今回は、iOSの高音質再生アプリ紹介の第二弾をお届けした。手軽に安価に試せるのがアプリのよいところなので、気になるアプリがあった方はぜひ試してみてほしい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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