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上位機「PMA-2000RE」での技術革新を惜しみなく投入

【レビュー】デノンの新プリメイン「PMA-1500RE」はどう進化した?

公開日 2013/08/26 11:16 大橋伸太郎
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■解像感と音像の定位が飛躍的に向上した

それでは、試聴に移ろう。PMA-1500SEでは、フラット指向の音作りだったその前のPMA-1500AEに比べてくっきりしたコントラスト感と明瞭感を前面に出した音作りが特徴的だった。そしてPMA-1500REを聴いての第一印象は、PMA-1500AEにおける音作りの指向が、表現力を洗練させた上で具現化されたというものだ。

一聴して感じることができるのが、解像感と定位感の向上だ。立体的な表現も魅力的である

具体的に言うと、ノイズと歪を極小化して解像感が研ぎ済まされている。また、電源供給能力を高めた結果として、音像定位と音場表現が格段に向上した。

ショスタコーヴィチ交響曲の第4番(SACD)は、PMA-1500SEの延長線上といえるダイナミックでくっきりしたメリハリ調で聴かせてくれる。ただし、感心したのが各楽器の定位が正確で、高級アンプ並の奥行き感と立体感がある点だ。Fレンジも広く低域も力強い。ただし、さすがに最低域の沈みについては上位機の表現力に譲る。

本機と同時に発表されたSACDプレーヤー「DCD-1500RE」との組み合わせをメインに試聴を行った

アルド・チコリーニの弾くドビュッシー(CD)は、響きの音塊を立体的に解像していくのに感嘆させられる。「RE」になっての著しい進境は、この音場感の表現。ここでは前後に豊かな立体感の音場が出現し、その中に引き込まれていく。層を成す響きの一つ一つに手で触れられるような、立体的なピアノの表現がある。

低域の表現もこの演奏のニュアンスと一致し、強靭な持続音を再現される。朗々と伸びる中音域で力強く前に出て奥行きも深い。欲を言えば、音色の明るさが際立つ一方で、陰影感がもう少し欲しくなる。

ミクラス・ペリーニ(チェロ)の弾くブリトゥンの無伴奏チェロ曲は明るく鮮明で、定位の向上がやはり目覚しい。この点はPMA-1500REの最大の聴きどころだろう。イザベラ・ファウストのソロバイオリンのゆるぎない描写は立派で、奥まった位置にすっくとした立ち姿をくっきり描く表現の冴えがある。

スピーカー端子は2系統を搭載している。アンプ出力は70W+70W(8Ω)となる

入力端子はフォノの他、パワーアンプダイレクト入力も備える。AVシステムとの組み合わせも想定できる

ポピュラー系ソースはどうだろう。カサンドラ・ウィルソンのジャズ・ボーカル(CD)では、力のないシステムではボヤけがちになるベースの音程を正確に拾っている。粘っこい響きの芯も解像してくる。演奏とPMA-1500REの低域再現の持ち味が一致した例で、ギターソロの前に出てくる積極的な表現も素晴らしい。

■歴代“1500”ユーザーのシビアな期待に応えるモデル

冒頭に書いたように、多くのオーディオファンの注視の中でPMA-1500REは開発され、完成した。歴代の“1500”を愛用したユーザーたちは、耳が肥えてシビアである。期待値も大きく、表面的なリニューアルでは容赦しない。普及価格帯のモデルだが、それゆえにPMA-1500REに課せられたものは大きい。

そうした使命に答えてアンプの基本である電流供給能力の余裕を掲げ、フォーカス感と音場感という、しばしば対立する表現力を兼ね備えたアンプが生まれた。価格は3万円近く上昇して126,000円(税込)となったが、それに見合った技術と物量が投入され、音質の向上も実現している。歴代1500のファンにも、音質の良いプリメインアンプを求めているユーザーにも、ぜひ自分の耳でその進化を確かめてもらいたい。

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