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【特別企画】手軽かつ高音質にハイレゾを楽しめるコンパクトなDAC

ZOOM「TAC-2」を岩井喬がレビュー − Thunderbolt対応のオーディオインターフェース

公開日 2014/04/28 10:30 岩井 喬
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■素直な質感描写と分離良くクリアな空間性は価格帯を大きく超えている

それでは「TAC-2」を実際に試聴してレポートしていこう。「TAC-2」には「MacBook Pro」のRetinaディスプレイ搭載2012年モデル(CPU:Core i5・2.4GHzデュアルコア、メモリ:8GB、Mac OS X10.9.1)を接続。まずはスピーカー環境(スピーカー:ADAM「HM2」、パワーアンプ:アキュフェーズ「A46」、プリアンプ:アキュフェーズ「C-2820」)に本機をバランスケーブル(TRS→XLRケーブル:NEO d+ TXM class B)で繋ぎ、そのサウンドを確認してみた。

MacBook ProのRetinaディスプレイモデル(15インチ)と組み合わせたところ

取材ではTRS-XLRケーブルを用いてオーディオシステムに接続した

Macとの接続に当たっては専用ドライバーが必要となるので、予めZOOMのサイトからダウンロードし、インストールしておく。本機に電源スイッチはなく、Thunderboltケーブルを繋ぐと電源が入る。あとは『システム環境設定』の『サウンド』設定項目における入出力を“ZOOM TAC-2”に選択すればよい。本機側のセッティングとしてはインジケーター部のスピーカーマークにLEDが点灯するようボリュームノブを繰り返し押し、音量を調整するだけというシンプルな操作で済む。なお「TAC-2 MixEfx」についてはファイル再生のみであれば使わずとも音が出せるので、詳細については割愛させていただく。

MacBook ProにThunderboltケーブルを接続したところ

音量は本体のボリュームノブで調節できる

基本的なサウンド傾向として素直な質感描写と分離良くクリアな空間性を持っており、S/Nや解像度は価格帯をはるかに上回るクオリティを有している。肉付き良く存在感ある音像にも安定感があり、非常に音離れが良い。『飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013』(e-onkyo:96kHz/24bit)の『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章におけるハーモニーは程よい厚みを持っており、伸び良く弾力を持ったローエンドが下支えしてくれる。階調細やかな余韻はほんのりとウェットな艶を持つ。

『飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013』(e-onkyo:96kHz/24bit)

ビリー・ジョエル『ピアノマン』(mora:96kHz/24bit)では、アナログ録音の密度感やエッジの滑らかさを感じさせつつも、ボーカルやリズム隊を締まり良くまとめ、アタック感をソリッドに表現。スネアドラムもすっきりと響き、リヴァーブの加減も良くみえてくる。素直な中域の表現はエナジーに溢れており、ブライトなピアノのハーモニクスも無理なくスムーズに浮き上がってきた。音像の前後感もきちんと描いており、音源の古さを感じさせない鮮やかさに満ちている。

ビリー・ジョエル『ピアノマン』(mora:96kHz/24bit)

『イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ「ヴィヴァルディ:四季」〜春』(HQM:192kHz/24bit)においては、ハイレゾらしい高解像度な粒立ちを持った弦楽器が居並び、しなやかで甘く滑らかなハーモニーが音場に展開。余韻は艶良くウェットな響きを持ち、豊かに広がってゆく。シカゴ『17』(e-onkyo:192kHz/24bit)の「ワンス・イン・ア・ライフタイム」では、スカッとキレの良いベースの高密度な押し出しとともに、ヌケ良く鮮やかなボーカルやホーンセクションが重なってくる。

『イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ「ヴィヴァルディ:四季」〜春』(HQM:192kHz/24bit)

長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜「ゲット・バック」(筆者自身によるDSD録音:SonicStageMasteringStudioにて192kHz/24bit変換)においては、やや控えめなタッチであるがギターやウッドベースの弦のタッチやニュアンスを細やかに描き出し、アタックのたわみ感もスムーズに追随。ボーカルもしなやかに表現し、倍音感も素直に浮き上がらせてくれた。ハイレゾファイル再生における芯のぶれない音像のリアリティ、にじみない輪郭表現はリーズナブルな価格を感じさせない上位クラスの佇まいであり、Thunderboltによる余裕なのか空間のコントロールが非常に巧みだ。

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