【特別企画】手軽かつ高音質にハイレゾを楽しめるコンパクトなDAC
ZOOM「TAC-2」を岩井喬がレビュー − Thunderbolt対応のオーディオインターフェース
■グリップ力が高く緻密なサウンドが楽しめるヘッドホン出力
続いてはヘッドホンでのサウンドチェックである。ヘッドホンについてはソニー「MDR-CD900ST」などの一般的なモニターヘッドホンの使用を想定しているということであるが、前述のようにヘッドホン出力へのこだわりも高いため、ハイインピーダンス機でなければ想定上のサウンドバランスで楽しむことができるだろう。
今回の試聴では「シュアSRH1840」を用いてみた。非常にグリップ力が高く、このヘッドホンならではの持ち味である付帯感の無さを生かした明晰で細部までコントロールされた、緻密なサウンドを聴くことができた。音場のリアリティに関しては従来のバスパワー駆動・コンパクト機では感じる事のできなかった一つ壁を越えた境地に達しており、S/Nや解像度に優れた奥行きさえ感じる空間性と密度を持った音像の音離れの良さを同時に味わえる。
長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』音源では定位感や位相表現も見事で一つ一つの音像が自然に引き立つ。飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラのハーモニーもいきいきとしたウェットな響きとなり、奥行き感を含めてすっきりと描写。イ・ソリスティ・ディ・ペルージャの『四季』も弦やチェンバロのアタックをキレ良くまとめ、プレイニュアンスを緻密でありながら分解能高く表現してくれる。ハーモニーの一体感や押し出しの密度も重心が下がり、華やかな余韻を聴かせながらも安定感ある空間性を感じさせてくれた。
■Thunderboltのポテンシャルの高さを生かしたハイレゾ再生
「TAC-2」はThunderboltの持つポテンシャルの高さを生かして、これまでのオーディオインターフェイスのサウンドの可能性をさらに引き上げてくれた。価格を抑えた構成ながらそのパワフルさと繊細さ、音場のクリアな表現力は、USBを用いたモデルであればもう数ランク上の製品でないと味わえない世界観である。
ただ、これまでUSBケーブルでは楽しむことができたオーディオグレード品への交換は、認証チップを内蔵するThunderboltケーブルにおいては難しいことが予想される。USBよりも大電力伝送を可能としている分、信号線への干渉も高くなっているのではないかとも感じるところであるが、ZOOMではこれまでエレキギターで用いるエフェクター開発で培ったノウハウを生かし、「TAC-2」に突発的な大電力が入力されるのを抑えるなどの細やかな配慮も行っているとのこと。伝送時におけるノイズや微小な電気的な揺らぎによる音質への影響も最小限に抑えているということもあり、Mac用の標準的なThunderboltケーブルであっても前述したようなサウンドクオリティの高さを実感することができた。このケーブルについてはThunderbolt対応DACの将来的な伸びしろといえるポイントといえるのではないだろうか。
これまでThunderbolt対応オプションを載せたインターフェイスでしか味わうことができなかったサウンドが、リーズナブルなUSB-DACと肩を並べる規模で体感できるようになったことは、大変意義深いことである。なおかつ「TAC-2」はそうしたエントリー価格機の常識を超える安定感、サウンド素性の高さを実現しており、今後のThunderbolt対応機への期待を膨らませてくれる魅力的なプロダクトに仕上がっている。
加えて、Thunderboltケーブル1本でMacと接続すれば、AC電源不要で最高192kHz/24bitのハイレゾ再生環境をシンプルにセットアップできる魅力も大きい。たとえば“Windows XP”からの買い替えにThunderbolt対応のMacを検討しているユーザーにとって、この「TAC-2」はネットオーディオ再生用のファーストステップとして用意したいアイテムといえるだろう。
続いてはヘッドホンでのサウンドチェックである。ヘッドホンについてはソニー「MDR-CD900ST」などの一般的なモニターヘッドホンの使用を想定しているということであるが、前述のようにヘッドホン出力へのこだわりも高いため、ハイインピーダンス機でなければ想定上のサウンドバランスで楽しむことができるだろう。
今回の試聴では「シュアSRH1840」を用いてみた。非常にグリップ力が高く、このヘッドホンならではの持ち味である付帯感の無さを生かした明晰で細部までコントロールされた、緻密なサウンドを聴くことができた。音場のリアリティに関しては従来のバスパワー駆動・コンパクト機では感じる事のできなかった一つ壁を越えた境地に達しており、S/Nや解像度に優れた奥行きさえ感じる空間性と密度を持った音像の音離れの良さを同時に味わえる。
長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』音源では定位感や位相表現も見事で一つ一つの音像が自然に引き立つ。飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラのハーモニーもいきいきとしたウェットな響きとなり、奥行き感を含めてすっきりと描写。イ・ソリスティ・ディ・ペルージャの『四季』も弦やチェンバロのアタックをキレ良くまとめ、プレイニュアンスを緻密でありながら分解能高く表現してくれる。ハーモニーの一体感や押し出しの密度も重心が下がり、華やかな余韻を聴かせながらも安定感ある空間性を感じさせてくれた。
■Thunderboltのポテンシャルの高さを生かしたハイレゾ再生
「TAC-2」はThunderboltの持つポテンシャルの高さを生かして、これまでのオーディオインターフェイスのサウンドの可能性をさらに引き上げてくれた。価格を抑えた構成ながらそのパワフルさと繊細さ、音場のクリアな表現力は、USBを用いたモデルであればもう数ランク上の製品でないと味わえない世界観である。
ただ、これまでUSBケーブルでは楽しむことができたオーディオグレード品への交換は、認証チップを内蔵するThunderboltケーブルにおいては難しいことが予想される。USBよりも大電力伝送を可能としている分、信号線への干渉も高くなっているのではないかとも感じるところであるが、ZOOMではこれまでエレキギターで用いるエフェクター開発で培ったノウハウを生かし、「TAC-2」に突発的な大電力が入力されるのを抑えるなどの細やかな配慮も行っているとのこと。伝送時におけるノイズや微小な電気的な揺らぎによる音質への影響も最小限に抑えているということもあり、Mac用の標準的なThunderboltケーブルであっても前述したようなサウンドクオリティの高さを実感することができた。このケーブルについてはThunderbolt対応DACの将来的な伸びしろといえるポイントといえるのではないだろうか。
これまでThunderbolt対応オプションを載せたインターフェイスでしか味わうことができなかったサウンドが、リーズナブルなUSB-DACと肩を並べる規模で体感できるようになったことは、大変意義深いことである。なおかつ「TAC-2」はそうしたエントリー価格機の常識を超える安定感、サウンド素性の高さを実現しており、今後のThunderbolt対応機への期待を膨らませてくれる魅力的なプロダクトに仕上がっている。
加えて、Thunderboltケーブル1本でMacと接続すれば、AC電源不要で最高192kHz/24bitのハイレゾ再生環境をシンプルにセットアップできる魅力も大きい。たとえば“Windows XP”からの買い替えにThunderbolt対応のMacを検討しているユーザーにとって、この「TAC-2」はネットオーディオ再生用のファーストステップとして用意したいアイテムといえるだろう。