<山本敦のAV進化論>第8回
ハイレゾ対応「Xperia ZL2」の音質をチェック − “ウォークマン”F880と聴き比べてみた
メニューから効果をON/OFFで切り替えながら聴いてみる。「ClearAudio+」を有効にすると、ボーカルものは特にセンターのエネルギー感が増しながら、上下左右方向への音の広がりがグンと増す。低域は自然な伸びやかさと彫りの深さが加わり、高域の透明感も増してくる。
■初のデジタルNC機能対応も
Xperiaシリーズとして初めて、デジタルノイズキャンセリング機能が搭載されたこともXperia ZL2とXperia Z2のオーディオ技術にとって新たなハイライトだ。
対応するイヤホンは「MDR-NC31EM」。残念ながらスマートフォン本体とは別売になってしまうのだが、2009年10月以降に発売されたウォークマン用ノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NC31/NC033/NWNC33/NWN33S」を使っても、同じ“周辺騒音を最大98%カット”できるノイズキャンセル効果が得られる。Xperia用のイヤホン「MDR-NC31EM」は、Xperia Storeなどで5月下旬から販売され、価格は5,500円前後になる見込み。イヤホンの側面にはマイクも内蔵されているので、装着したままでのハンズフリー通話も行える。
そのノイズキャンセル効果をカフェの店内で試してみたところ、周囲の賑やかな会話や店内BGMがすっと消音され、Xperiaで再生する音楽に深く浸ることができた。「音設定」のメニューから「サウンドエフェクト」→「ノイズキャンセル」と辿って行くと、ノイズキャンセル機能の効果が「OFF」のほか、「ON(自動)」「ON(常時)」から選べるようになっている。「ON(自動)」を選んでいるときは、本体がスリープモードに入ると、WALKMANアプリで音楽を再生している時以外はノイズキャンセル機能がOFFになる。「ON(常時)」にしておけば、本体がスリープした状態でもノイズキャンセル機能がかかりつづけるので、飛行機や電車の中でイヤホンを着けて眠りたい時や、カフェなど屋外で勉強や仕事をするときに集中できて便利だ。
ただ、これだけ便利なノイズキャンセリング機能の切替が、本体設定の奥深くに入らないと選択できないのは残念なところ。ウォークマンのようにアプリ化され、ホーム画面に置いておけたら使い勝手もさらに高まるだろう。
スマートフォンは多くの人々が肌身離さず持ち歩くであろうオーディオ機器だ。そのスマートフォンに通勤・通学や旅行での移動時に人気の高いノイズキャンセリング機能が加わったことは、多くの方にとって魅力的に感じられるはずだ。かなり消音効果が高いので、屋外での使用は電車など公共交通での移動時にとどめ、歩きながら使うのは避けた方が良さそうだ。
■スマホでハイレゾを聴くなら大容量のmicroSDカードは必携
当サイトの読者であればご存知の通り、ハイレゾの音楽ファイルは1件あたりの容量が大きいので、スマートフォンの内蔵ストレージだけでは圧倒的に容量が不足してしまう。ましてやスマートフォンの場合は写真や動画を撮ってアプリを追加したり、音楽再生以外にも用途が幅広いので、内蔵ストレージの空き領域はなるべく確保しておきたい。Xperia ZL2でハイレゾを楽しむなら、microSDカードの併用は必須だと言えるだろう。
サンディスクがAndroidスマートフォン向けに提供している無料アプリ「SanDisk Memory Zone」は便利なアプリだ。今回は同社から発売された128GBのmicroSDXCメモリーカードのサンプルを使ってテストしたが、スマホに保存した写真や動画を自動的にSDカードに移し替えてくれる「SanDisk Memory Zone」アプリの「OptiMem」機能がとても便利だ。とかく逼迫されがちなスマホ本体内蔵ストレージの空き領域が効率よく確保できる。OptiMem機能を週単位で自動実行したり、その際に移動するコンテンツを「音楽ファイルだけ」などタイプ別に指定しておくこともできる。ハイレゾ音源ファイルに限らず、4K動画や高画素写真データなど、高機能なXperiaであるがゆえにコンテンツのファイルサイズも大きくなりがち。一緒に活用すればストレージ管理の負担も軽減される。
本体でデコードしたハイレゾ音源をUSBからデジタル出力できるようになったという、やや限定的なハイレゾ対応ではあるものの、まずはXperiaのハイレゾ化がはじめの一歩を踏み出したことを歓迎したい。既にハイレゾ対応プレーヤーやUSB-DACなど外部機器を所有しているユーザーにとっては、ハイレゾも楽しめるスマホとして、十分に活用できるサウンドを実現している。